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第四章:この国の末路
不本意な式
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「皆のもの、良く参ってくれたのぉ。我の新しい花嫁を紹介しようじゃないか」
コロセオムには、貴族だけでなく、東の国から多くの来賓が訪れていた。国王の嫌がらせである。設置された舞台にゆっくりと花嫁が進む。
──ジャラッ──
──ジャラッ──
リリィには白い特注のドレスが着せられている。それは花嫁のような白さがあるにも関わらず、布の面積は少なかった。スカートは短く、足は裸足で手にも鎖が付いていて、歩く度にジャラジャラと音がし、なかなか前に進むことができない。東の国の者たちは巫女の異様な姿に顔を青ざめている。
──シーン──
それを観客はじっと見つめている。リリィの鎖の擦れる音だけが会場に鳴り響いた。
(リリィ・・・)
それを見つめるのはヴィンセントだ。ヴィンセントは招待客としてこの式に参加していた。ヴィンセントは同じく参加しているカイルに目配せする。
「それでは余興とまいるか」
国王はオーケストラに演奏を促し、リリィに剣を持たせる。リリィの目の前には東の国の奴隷たちが並んでいた。
「さあ、この者たちを殺して我を楽しませよ!!」
──ヒュンッ──
リリィが剣を振り上げるのが、その合図だ。
──パーン!!──
コロセオムに花火が打ち上がる。空高く打ち上げられた花火に、国王の兵士たちから困惑の表情が垣間見える。
『なんだ、こんな余興の計画なんてあったか』
『国王のことだから予定に押し込んだんじゃねえか』
兵士たちがお互いの顔を伺っている。ヴィンセントやカイル、他の協力者はそっとその場を離れ、持ち場にスタンバイする。
──ドーン!!──
『それ、進軍しろ!!』
『いけ───!!』
第二騎士団の兵士たちが雪崩れ込む。コロセオムの近くの森にひっそりと隠れている他の兵士たちも花火を確認してこちらに向かってきているはずだ。
「皆のもの、何をしておる、戦え、戦うんだ!!」
国王兵士たちも異常事態に気付き、戦闘態勢に入る。第一騎士団、第三騎士団の兵士たちが対応している。
──キーン!──
「国の兵器が、裏切ったか」
もう四十歳を越えるであろう第一騎士団の長である男がヴィンセントに向かった。彼のオーラはヴィンセント程ではないが、さすが多くの修羅場を乗り越えてきた男だ。ヴィンセントの剣を受け流している。彼の一撃にヴィンセントの頬にピリッとした痛みが走った。頬から一筋の筋が入り、そこから赤い血が流れる。
「ふん、兵器もこの程度か」
(絶対に負けられない)
彼の挑発にヴィンセントは挑んだ。互角のように見えるが、ヴィンセントはじりじりと彼を追い込んでいく。
「ぐはぁっ」
ヴィンセントはオーラの込めて彼の腹に剣を突き刺した。彼はまだ息をしているが、もう戦えないであろう。ヴィンセントは他の敵に注意を向けた。
『かかれー!!』
他の援軍も到着し、カイルやヴィンセントに合流した。国王はギリリと歯を食い縛り、「こちらの援軍はまだか!!」と叫んでいる。
「国王っ、援軍が来ました!」
「よし、あちらはオーラもないクズだらけだ。すぐに皆殺しにしてしまえ」
カイルの援軍はオーラの持たない国である。国王は先ほどの焦りは消え、勝利を確信する。
「野蛮人め、後悔するがいい」
カイルの軍が押され始める。ヴィンセントも斬っても斬っても現れる敵に疲れが見えはじめた。
(リリィ、リリィはどこだ)
ヴィンセントがリリィを探していると、ふと空から眩しい光が舞い降りてくる。その光の先には奴隷たちに囲まれた、祈りを捧げるリリィの姿があった。
───シュンッ──
(オーラが・・・消えた)
コロセオムには、貴族だけでなく、東の国から多くの来賓が訪れていた。国王の嫌がらせである。設置された舞台にゆっくりと花嫁が進む。
──ジャラッ──
──ジャラッ──
リリィには白い特注のドレスが着せられている。それは花嫁のような白さがあるにも関わらず、布の面積は少なかった。スカートは短く、足は裸足で手にも鎖が付いていて、歩く度にジャラジャラと音がし、なかなか前に進むことができない。東の国の者たちは巫女の異様な姿に顔を青ざめている。
──シーン──
それを観客はじっと見つめている。リリィの鎖の擦れる音だけが会場に鳴り響いた。
(リリィ・・・)
それを見つめるのはヴィンセントだ。ヴィンセントは招待客としてこの式に参加していた。ヴィンセントは同じく参加しているカイルに目配せする。
「それでは余興とまいるか」
国王はオーケストラに演奏を促し、リリィに剣を持たせる。リリィの目の前には東の国の奴隷たちが並んでいた。
「さあ、この者たちを殺して我を楽しませよ!!」
──ヒュンッ──
リリィが剣を振り上げるのが、その合図だ。
──パーン!!──
コロセオムに花火が打ち上がる。空高く打ち上げられた花火に、国王の兵士たちから困惑の表情が垣間見える。
『なんだ、こんな余興の計画なんてあったか』
『国王のことだから予定に押し込んだんじゃねえか』
兵士たちがお互いの顔を伺っている。ヴィンセントやカイル、他の協力者はそっとその場を離れ、持ち場にスタンバイする。
──ドーン!!──
『それ、進軍しろ!!』
『いけ───!!』
第二騎士団の兵士たちが雪崩れ込む。コロセオムの近くの森にひっそりと隠れている他の兵士たちも花火を確認してこちらに向かってきているはずだ。
「皆のもの、何をしておる、戦え、戦うんだ!!」
国王兵士たちも異常事態に気付き、戦闘態勢に入る。第一騎士団、第三騎士団の兵士たちが対応している。
──キーン!──
「国の兵器が、裏切ったか」
もう四十歳を越えるであろう第一騎士団の長である男がヴィンセントに向かった。彼のオーラはヴィンセント程ではないが、さすが多くの修羅場を乗り越えてきた男だ。ヴィンセントの剣を受け流している。彼の一撃にヴィンセントの頬にピリッとした痛みが走った。頬から一筋の筋が入り、そこから赤い血が流れる。
「ふん、兵器もこの程度か」
(絶対に負けられない)
彼の挑発にヴィンセントは挑んだ。互角のように見えるが、ヴィンセントはじりじりと彼を追い込んでいく。
「ぐはぁっ」
ヴィンセントはオーラの込めて彼の腹に剣を突き刺した。彼はまだ息をしているが、もう戦えないであろう。ヴィンセントは他の敵に注意を向けた。
『かかれー!!』
他の援軍も到着し、カイルやヴィンセントに合流した。国王はギリリと歯を食い縛り、「こちらの援軍はまだか!!」と叫んでいる。
「国王っ、援軍が来ました!」
「よし、あちらはオーラもないクズだらけだ。すぐに皆殺しにしてしまえ」
カイルの援軍はオーラの持たない国である。国王は先ほどの焦りは消え、勝利を確信する。
「野蛮人め、後悔するがいい」
カイルの軍が押され始める。ヴィンセントも斬っても斬っても現れる敵に疲れが見えはじめた。
(リリィ、リリィはどこだ)
ヴィンセントがリリィを探していると、ふと空から眩しい光が舞い降りてくる。その光の先には奴隷たちに囲まれた、祈りを捧げるリリィの姿があった。
───シュンッ──
(オーラが・・・消えた)
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