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最終章:輝かしい未来
変化
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「で、リリィはどこだ」
「さすがに『巫女様』の力をあんな大勢の前で使っちゃったんですもん、今は安全な場所に匿われてますよ」
ジナはヴィンセントの熱を計り、薬を飲ませた。医師は三ヶ月は安静にしなければならないと言っていた。
「ああ、リリィに会いたい・・・」
「よっ、ヴィンセント!元気?」
独り言を言っていると、疲れが貯まっているのか隈をつけた男が入ってきた。
「ああ、なんとか。お前はなんだか忙しそうだな」
「そうなんだよ。僕が新しい国王になるって決まっちゃって大忙しなんだよね」
カイルはなんてことないように、国王になると言っている。
「そんな、未来の国王がこんなとこ来て良いのか」
──ガラガラ──
「サボってこんなところにいたんですか!!」
「げっ・・・」
アスター侯爵が怒りの形相でカイルに仕事を促した。
「まったくもう、国王としての自覚がないのですかね・・・あ、ヴィンセント。一度心臓が止まったと聞いて心配しましたよ」
「ええ、おかげさまで」
「これで予言通り、『兵器は死んだ』ようだね。まさか死の淵から戻ってくるとは、執念だねぇ」
カイルはうんうんと納得したように頷いた。
「そんなこと言ってないで早く仕事に戻りなさい」
「はーい、じゃ、早く怪我治しなよ。リリィちゃんは僕が匿ってるから~早く怪我治さないとリリィちゃん妃にしちゃうよ~」
「お、お前!!待て!!ぐうっ」
最後の発言が気になりヴィンセントはカイルを引き留めようとするも、痛みで顔が歪んだ。
「ほら、ヴィンセントさん。安静、安静ですよ~」
ジナが子供をあやすようにヴィンセントを寝かせた。彼女の看護はどこか適当であるが、文句は言えないので黙っておく。
(うう・・・なんだか扱いが雑すぎる)
+
+
+
「さすが、国の兵器と呼ばれたお方ですね・・・回復力が半端ない」
医者が感心したようにヴィンセントを診察している。全治三ヶ月と言われた怪我は一ヶ月もせぬ間に治っていた。
(それもこれもカイルが煽るからだ)
見舞いに来てはヴィンセントを脅かして、リリィにも会わせようとしない。治ったら会わせてあげると言われては、治すしかないではないか。
「治ったと言っても、しばらくは過度な運動はお控えくださいね」
「ああ、分かってる」
ヴィンセントは鈍った体をボキボキと鳴らした。ヴィンセントが部屋を出ようとしたとき、それより先にドアが開き、向こう側から誰かが入ってきた。
「ヴィー?」
「・・・リリィ?」
(やばい、一ヶ月禁断症状で幻覚でも見ているのか・・・)
そこにいたのはフードで顔を隠したリリィであったのだ。リリィはヴィンセントが退院すると聞いて、カイルからもGOサインが出たようで、駆けつけたそうだ。
「よかった、ヴィー・・・すごく心配した」
「リリィ、こっちこそ、凄く心配したんだからな。あのエロ親父に捕らえられたと聞いて、どれだけ心配したか!!」
「ご、ごめんなさい」
ヴィンセントはリリィに近づき、頬にそっと手を触れた。
「ヴィー、泣いてる・・・?」
ポタリと滴が一粒落ちる。ヴィンセントはその滴が自分の瞳から出ていることに気づいた。
「あれ、俺、すげえカッコ悪いな。お前見たら安心して、涙が出てきた」
「ヴィーがカッコ悪いことなんてない!!」
ヴィンセントはリリィを抱きしめる。ヴィンセントは胸の中に本当にリリィがいるのか確かめるように、しばらくヴィンセントはリリィを離さない。
「なあ、リリィ。俺、意識が朦朧とする中で、お前が俺のこと愛してるって聞こえたんだ・・・」
「・・・うん」
リリィは顔を真っ赤にしている。それは肯定の意味とヴィンセントは捕らえる。
「なあ、もう一度言ってくれないか」
「うぅ・・・」
「夢じゃないって、はっきりと知りたいんだ」
「・・・ヴィー、愛してる」
ヴィンセントはリリィにキスを浴びせる。リリィもヴィンセントを受け入れ、久々のキスに二人は体を熱くする。
「ごっほん!!ここは医務室なんじゃがの」
医者がヴィンセントとリリィを追い払った。
「さすがに『巫女様』の力をあんな大勢の前で使っちゃったんですもん、今は安全な場所に匿われてますよ」
ジナはヴィンセントの熱を計り、薬を飲ませた。医師は三ヶ月は安静にしなければならないと言っていた。
「ああ、リリィに会いたい・・・」
「よっ、ヴィンセント!元気?」
独り言を言っていると、疲れが貯まっているのか隈をつけた男が入ってきた。
「ああ、なんとか。お前はなんだか忙しそうだな」
「そうなんだよ。僕が新しい国王になるって決まっちゃって大忙しなんだよね」
カイルはなんてことないように、国王になると言っている。
「そんな、未来の国王がこんなとこ来て良いのか」
──ガラガラ──
「サボってこんなところにいたんですか!!」
「げっ・・・」
アスター侯爵が怒りの形相でカイルに仕事を促した。
「まったくもう、国王としての自覚がないのですかね・・・あ、ヴィンセント。一度心臓が止まったと聞いて心配しましたよ」
「ええ、おかげさまで」
「これで予言通り、『兵器は死んだ』ようだね。まさか死の淵から戻ってくるとは、執念だねぇ」
カイルはうんうんと納得したように頷いた。
「そんなこと言ってないで早く仕事に戻りなさい」
「はーい、じゃ、早く怪我治しなよ。リリィちゃんは僕が匿ってるから~早く怪我治さないとリリィちゃん妃にしちゃうよ~」
「お、お前!!待て!!ぐうっ」
最後の発言が気になりヴィンセントはカイルを引き留めようとするも、痛みで顔が歪んだ。
「ほら、ヴィンセントさん。安静、安静ですよ~」
ジナが子供をあやすようにヴィンセントを寝かせた。彼女の看護はどこか適当であるが、文句は言えないので黙っておく。
(うう・・・なんだか扱いが雑すぎる)
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「さすが、国の兵器と呼ばれたお方ですね・・・回復力が半端ない」
医者が感心したようにヴィンセントを診察している。全治三ヶ月と言われた怪我は一ヶ月もせぬ間に治っていた。
(それもこれもカイルが煽るからだ)
見舞いに来てはヴィンセントを脅かして、リリィにも会わせようとしない。治ったら会わせてあげると言われては、治すしかないではないか。
「治ったと言っても、しばらくは過度な運動はお控えくださいね」
「ああ、分かってる」
ヴィンセントは鈍った体をボキボキと鳴らした。ヴィンセントが部屋を出ようとしたとき、それより先にドアが開き、向こう側から誰かが入ってきた。
「ヴィー?」
「・・・リリィ?」
(やばい、一ヶ月禁断症状で幻覚でも見ているのか・・・)
そこにいたのはフードで顔を隠したリリィであったのだ。リリィはヴィンセントが退院すると聞いて、カイルからもGOサインが出たようで、駆けつけたそうだ。
「よかった、ヴィー・・・すごく心配した」
「リリィ、こっちこそ、凄く心配したんだからな。あのエロ親父に捕らえられたと聞いて、どれだけ心配したか!!」
「ご、ごめんなさい」
ヴィンセントはリリィに近づき、頬にそっと手を触れた。
「ヴィー、泣いてる・・・?」
ポタリと滴が一粒落ちる。ヴィンセントはその滴が自分の瞳から出ていることに気づいた。
「あれ、俺、すげえカッコ悪いな。お前見たら安心して、涙が出てきた」
「ヴィーがカッコ悪いことなんてない!!」
ヴィンセントはリリィを抱きしめる。ヴィンセントは胸の中に本当にリリィがいるのか確かめるように、しばらくヴィンセントはリリィを離さない。
「なあ、リリィ。俺、意識が朦朧とする中で、お前が俺のこと愛してるって聞こえたんだ・・・」
「・・・うん」
リリィは顔を真っ赤にしている。それは肯定の意味とヴィンセントは捕らえる。
「なあ、もう一度言ってくれないか」
「うぅ・・・」
「夢じゃないって、はっきりと知りたいんだ」
「・・・ヴィー、愛してる」
ヴィンセントはリリィにキスを浴びせる。リリィもヴィンセントを受け入れ、久々のキスに二人は体を熱くする。
「ごっほん!!ここは医務室なんじゃがの」
医者がヴィンセントとリリィを追い払った。
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