殺人兵器が溺愛する戦場の天使

ほのじー

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最終章:輝かしい未来

歓迎

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『巫女様だ』
『巫女様がいらっしゃったぞ!!』

東の国の中央に近づくとリリィに気づき、手を振っている者や手を合わせて拝んでいる者もいる。王城へとたどり着いたリリィは驚いた。外観はイーストランドと同じ石造りなのだが、王城の中はまるでリリィが昔いた日本のような和を感じるものであった。


「ようこそいらっしゃいました、イーストランド国王殿下、巫女様」
「お久しぶりです、ミヒト王子」


サラサラの茶色の髪を伸ばし、後ろにゴムで縛っている優しそうなこの男性は第一王子であるミヒトだ。リリィが召還された際にリリィより少し年上の男の子がいたことを思い出したが、きっと彼だったであろう。リリィは部屋の中の屏風や盆栽などキョロキョロと部屋を見回していた。


「ここは先々代の国王が、当時の巫女様からニホンについて聞いたものを真似て作ったのですよ」
「へぇ、そうなんですか」
「私の部屋にもたくさんニホンの者があるんですよ。また部屋にお越しください」
「はい、是非・・・」


ミヒトはリリィにニコニコと話していたのだが、ピュウッと冷たい風が吹いた。


「会った瞬間レディを部屋に誘うなんて無礼ではないですかね」
「護衛の方ですか?なかなか厳しそうなお方だ」


二人の間にバチバチと何やら光が見えるようだが、気のせいであろうか。リリィは目をゴシゴシと擦った。カイルは苦笑いをしながらヴィンセントとミヒトの間に立つ。


「ミヒト王子、こちらはヴィンセント。彼が言っていた彼女の恋人です」
「・・・へぇ、護衛かと思いました。年もだいぶはなれているようですし」


──バチバチバチ──


ピリピリとした空気がまとったが、リリィが長旅で少し疲れた様子を見せると、ミヒトはリリィが滞在する部屋に案内をした。カイルの部屋も同じ階にあるのだがヴィンセントや使用人たちは下の階に案内されているようだった。


「巫女様、フトンで少しお休みください」
「ありがとうございます」


リリィは侍女に連れられ、畳の部屋に布団が敷かれた部屋で目を瞑る。







「巫女様、準備のお時間です」
「ん・・・は、はい」



リリィは時間の声で目を開ける。うとうととして、少し眠っていたようだ。リリィは式典に参加する為、白い着物のような巫女の正装に着替え、少し化粧も施してもらった。


「リリィちゃん、準備は良い?」
「カイル、うん。ヴィーは?」
「彼も式典に参加するみたいだよ。こっちの使者や騎士たちと一緒に来るみたい」


カイルとリリィが式典の会場に進むと、正面に痩せ細っているも、茶色の眼には威厳のある国王と、ミヒト王子に似た優しげな印象の王妃がカイルとリリィを迎えた。ミヒト王子や王女たちも会場脇で拍手をしている。


「お二人とも、ようこそいらっしゃいました。ぜひ東の国でゆっくりしていってください」
「はい、二日間どうぞ宜しくお願い致します」


東の国の兵士たちは、カイルとリリィに敬礼をする。リリィは前列を見ると、コロセウムでリリィが治療した将軍や兵士たちも見受けられた。リリィは彼らにこっそり手を振ったのだが、それに気づき嬉しさで涙ぐむ兵士もいた。


(よかった、皆さん元気そう)


リリィは一安心して会場を後にした。





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