殺人兵器が溺愛する戦場の天使

ほのじー

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最終章:輝かしい未来

ミヒトの嫌がらせ

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「巫女様、今夜は水神の祠へ向かいませんか」
「水神の祠ですか?」
「ええ、船でしか渡れない湖の真ん中にある小さな祠ですが、その湖がとても美しく反射して写し出される月がとても綺麗で圧巻ですよ」
「そうなんですか、それでは是非」


リリィの滞在時間も残り少なくなり、リリィはずっと籠っていた城から出ることができる喜びで、すぐにミヒトに返事をした。







ミヒトとリリィ、後ろからは東の国の使者やヴィンセント十人程が馬に乗り祠へ向かう。リリィはミヒトの高そうな馬に乗せられ、進んでいた。

「あなたの騎士ナイトにずっと睨まれてますね」
「え?」

リリィが斜め後ろを見るとヴィンセントがリリィとリヒトが乗る馬をじっと見ている。


「独占欲丸出しのあんな男のどこが良いのですか、巫女様」
「・・・あんな顔ですけど、とても優しいんです」
「巫女様は趣味が悪いのですね。あなたの世界とこちらの世界の感覚は違うのでしょうか」
「ふふ、ミヒト王子はお厳しいのですね」


湖の畔にたどり着くとリヒトは紳士にリリィを馬から下ろした。


「すごい・・・綺麗・・・」


満月の光が湖の上の祠を照らし、光っている。神々しいその場所には蝶が舞い、まるで踊っているようだ。


「さあ、船に乗って向かいましょう。この湖には水龍がいると言われています。起こさないよう静かにお願いしますね」


船は祠にたどり着き、リリィは肩に止まる蝶に微笑んだ。リリィや他の者たちもまるで心が洗われるかのような感覚に襲われる。


「さあ、そろそろ戻りましょうか」
「はい・・・」


船はゆっくりと戻っていく。しかし船はガタリと揺れる。


「キャァー!!」


侍女の一人が、船の揺れに叫ぶ。水恐怖症だったようで、侍女はパニックになったようだ。彼女は「申し訳ありません!!」と謝ったが手遅れだったようだ。


──ガタガタガタ──


水が大きく揺れだした。



「水龍だ!!」
「くそっ、目を覚ましてしまったようだ」


船の速度を速めるも、水龍はこちらに襲いかかる。船が大きくぐらつき、皆水中に放り出された。


「リリィ!」


水に沈むリリィをヴィンセントが掴む。ヴィンセントは水龍にオーラを放つと怯んだようだ。ヴィンセントはその隙にリリィを岸にあげた。そしてもう一度水の中に入っていく。ミヒトも重たい正装で水を吸われ、必死にもがいているようだったが、ヴィンセントは呼吸ができるよう顔を上に上げさせ、肩を持ちながら岸に向かっていく。


──睡眠を邪魔する奴は誰だ
──水龍さん、ごめんなさい。騒いだりして。もう帰るのでゆっくりお休みください


リリィは水龍からの意志が伝わってくる。他の者たちには分からないようだが、リリィには聞こえていた。


──ああ、巫女か。あの強いオーラを持つ奴、お前を守ろうと必死なのが伝わってきたぞ。良い伴侶に巡り会えたようだな
──はい
──お幸せにな。我はまた寝るとしよう



水龍はそう言い残して、水の底へ沈んでいった。深い深い眠りにつくそうだ。



「はぁ、はぁ、これで全員か」


無事皆岸にたどり着くことができたようで、リリィもホッと安心する。


「ヴィンセント殿、皆を助けていただき、感謝する」
「当たり前のことをしたまでです」


ミヒトはヴィンセントに感謝を述べた。その時からミヒトはヴィンセントへの考え方を変えたようだった。仲が良くなったとは言わないが、対等な相手としてリヒトも見るようになったようだ。



「ちゃんと巫女様を一生お守りしてくださいね」
「分かっています」
「巫女様も、この男に飽きたら是非私にもチャンスをください」
「そ、それは・・・」
「それは絶対にないですね」


ヴィンセントはリリィの言葉を遮った。リリィはオロオロするも、ヴィンセントとミヒトは満足したように、すっきりとした顔をしている。










「では、俺たちの結婚式には是非お越しくださいね」
「ええ、それまでに巫女様の気が変わるのを待っています。ああ、そうだ。図書室にネズミが入りこんでいるようなので、駆除しておきますね」
「ああ、それは大変ですね」


ヴィンセントはしれっとそう言った。図書室での行為はバレていたようで、リリィは顔を赤く染める。


「巫女様」


ミヒトは馬車に乗り込む前にリリィを引き留めた。ミヒトはリリィの頬に口づけをしようとしたのだが、ミヒトは考え直し少し顔をずらした。ミヒトの唇がリリィの唇の端を掠めたのが、側にいたヴィンセントにだけ見えた。


「っ・・・」
「では、またお会いしましょう」
「貴様っ・・・!! 」


ミヒトは最後の嫌がらせをして、二人を見送った。王族たちや兵士も、また必ず来るようにリリィに言い残した。


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