【R18】義弟は私を溺愛している

ほのじー

文字の大きさ
8 / 30

準備

しおりを挟む

「はぁ、あなたたち二人はどんな遊びをして帰ってきたのでしょうか」


スコットが呆れた表情で二人の帰りを出迎えてくれた。


「さあお嬢様、風邪をひきますよ。マニーさん、お嬢様をお風呂に連れていってください」


マニーはお風呂に柚子を入れてくれた。エリザベスはポカポカと温もりその日はゆっくり寝ることができた。








(なんで、こうなったのかしら)



あの日、フィルとの距離がまたぐっと縮まったように感じていた。しかし次の日からフィルからは以前とは違うよそよそしさを感じるようになった。使用人を部屋に連れ込むこともなくなったのだが、夜遅くに出ていき朝家に帰ってくるのだ。聞くところによると街のホテルにとまっているらしい。


「フィル、今日も朝帰り?ちゃんと寝てるの?」
「ええ、心配無用です。家にいるよりもホテルの方が仔猫ちゃんを可愛がれますのでね」
「・・・まったくあなたって人は」



ドタバタと使用人たちが駆けてきた。


「お嬢様!早く準備しないとザック様が来てしまいますよ!!」
「ほら、フィル様もそろそろ服を着替えてください」


今日は王城でパーティーが開かれる。終戦後初の王族の公式パーティーとあって使用人はエリザベスを着飾ろうと必死だ。


「さあ、エリザベス様、息を吸ってください」
「すぅーーーーっ」


使用人たちはエリザベスにコルセットを力一杯引っ張りあげた。


「ぐぐぐ・・・パーティーて始まる前からこんな疲れるものなのね・・・」
「お嬢様が成人になって初の公の御披露目ですもの。噂通り完璧な妖精に仕上げてさしあげますわよ!」


エリザベスが十六歳になろうとした際に戦争が始まったのでまだ成人としての御披露目が終わっていなかったのだ。



「まぁまぁまぁ!!なんてお美しいのでしょう」
「まるで絵本の中の妖精ですわね。魔法のスティックを持たせたいです!絶対皆妖精と勘違いするはずです!」


使用人たちは目をキラキラさせてエリザベスを着替えさせた。特に使用人セナはエリザベスをいつも着替えさせようとして鼻の穴をヒクヒクと膨らませている。


「さあ、旦那様とフィル様にも見せてあげましょう。絶対びっくりしますから」
「もう、大げさねえ、セナは」



父とフィルがいる部屋にエリザベスが入ると二人は大きく目を開いた。そのリアクションにセナは満足そうにほくそ笑んでいる。



「いやぁ、エリザベス・・・本当に綺麗だよ。お母さんにも見せてあげたいくらいだ」
「・・・」


父は少し涙ぐみ、フィルは固まっている様子だ。


「・・・可愛らしいですが、子供のお遊戯会みたいな格好ですね」
「まぁ・・・お世辞でも褒めるのが本物の紳士ジェントルマンでしょ」


フロックコートで身を包んだフィルは軍人らしさがなくなりどこから見ても紳士だ。艶やかな茶色の前髪を垂らしておりそこからチラリと見える眼帯はミステリアスさを醸し出している。大人の色気があり、今回の表彰で女性からさらにモテるだろう。


「もう、お嫁に行くわけじゃないのに、そんな感傷的にならないでよ、お父様」
「・・・ああ、そうだな・・・娘の成長を見れて嬉しくない親はいないんだぞ」





ーコンコン


「お嬢様、ザック様の馬車が到着されました」
「はい。お父様、フィル、お先です」


エリザベスが家を出ようとするとフィルが後ろを追いかけてくる。


「姉上・・・」
「どうしたの」
「会場の外でザック様と二人きりにならないように。彼が姉上に何をするか分かりませんからね」


フィルはいつになく真剣な表情をしている。



「ザック様は紳士だから大丈夫よ」
「あの優男は信用なりません」
「なっ・・・彼はあなたのような軽い男じゃないわ!!」



エリザベスはフィルがなぜそのようなことを言うのか分からなく少しイライラしたがザックが待っているので話を途中にエリザベスは彼の馬車に向かった。


(フィルに少し言い過ぎたかしら)


先ほどエリザベスの言葉にどこかフィルが傷ついた顔をしていたのだ。エリザベスは心を引きずりながらパーティー会場に向かった。





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる

狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。 しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で……… こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

処理中です...