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押しカプ発見!!
あれから一週間が経ち、エリカは数組のカップルを覗き見していた。どれも素晴らしく、毎日夢のような世界に昇天しそうな気持ちになる。
「はぁ~、とうとう今日は、第二選考の日ね」
第一王子はまだ候補者たちに姿を表していない。第二次選考で初めて彼が現れるのだが、女性と戯れる第一王子に嫉妬した警備にあたる騎士団長が、始めて彼に告白するシーンがあるのだ。
(これだけはっ・・・見逃せません!!)
エリカは鼻の穴を広げ、意気込んだ。第一王子と騎士団長のカップリングはエリカの大のお気に入りで、携帯の待ち受け画面にもしていたくらいだ。
「では皆さん、第二選考を始めます。今回は王子とお茶会をしていただき、半分の方が選考に落ちることとなります」
『は、半分も!?』
ざわざわと令嬢たちが不安そうにしている。伯爵令嬢ローズはまだ自信あり気だ。
(できるだけ目立たないようにして、落ちないようにだけしないと)
ゲームの世界でエリカは最終選考にまで上り詰めている。理由は害がなさそうだからだ。最終選考に残るのは伯爵家のローズ、伯爵家のアルマ、男爵家ネネ、そして子爵家エリカである。
(伯爵家の二人は・・・政治的な選考だけどね)
どうしても政治的権力を持つ伯爵家の二人の令嬢は最終選考まで残さないと親たちからのやっかみが怖いのだ。残り二人はただただ王子が無害そうな人物を選んだだけである。
(まあ最後には第二王子に国王の権利を譲って、独身を貫いたんだっけ・・・正しく、純・愛・・・)
エリカはニヤケそうになる顔を引き締め第二選考のお茶会に進んでいった。
『キャァァァア、レオン王子よぉ!!』
冷静になれない令嬢たちが黄色い声をあげた。王子の隣は伯爵令嬢二人が陣取り、エリカは一番遠い席だが、第一王子と騎士団長を同時に眺めることのできる席に座った。
(うわ~特等席だな~ここは)
エリカは真ん中に座る王子レオンを見た。彼の金色に輝く髪は美しく、晴れた日の海のような青い瞳は多くの女性を魅了する。細身であるのに筋肉が程よくつき、背もスラリと高い。
『はぁ~、王子様・・・すてきぃ』
思わず声が漏れてしまう令嬢もいて、皆が彼に注目している。
「やあ、待たせたかい。わぁ、皆蝶のように美しいね」
多くの令嬢が着飾り、まるで花に群がる蝶のようである。エリカは王城に着ていくようなドレスがなかったので、母から貰ったものをリメイクした少しくすんだピンク色のドレスを着ていた。
(おおおおおおお、嫉妬しておりますぞ、騎士団長・・・あっ、今レオン王子、ちらっと団長見た!!)
レオンの斜め後ろに控えるのは大きな体をした騎士団長ビッグだ。彼は孤児で、孤児院の前に捨てられていたそうだ。既にその時から体が大きかったのでビッグという名前がついたそうである。
(想像以上に・・・でかい・・・)
どこの筋肉も盛り上がり、腕の大きさは平均男性のの二倍はあるかもしれない。少しうねりのある黒髪で、整った彫りの深い顔をしている。騎士団の制服に身を包んだ彼は、騎士団でもとても人気があり令嬢が彼のために練習試合を見に来る程だ。
(でも、あの怖い顔を笑顔にするのは、レオン王子だけなのよね~)
エリカは二人の様子をじっと観察した。レオンは女性たちと会話に花を咲かせており、レオンの横でローズがレオンの腕に自身の腕を絡ませた。ローズはわざとらしく豊満な胸を押しつけていたのだが、ビッグがそれを見てピリッと殺気が飛んだ。
(ひっ・・・こわ・・・)
その殺気に気がついたのはエリカとレオンだけで、レオンも時々彼の様子を伺っている。
(うわ~、こんだけあからさまで気づかないって、どうなのさ)
ビッグの瞳は獰猛な野獣ようにぎらついている。茶会も終盤となり、エリカは冷めたお茶を喉に流し込んだ。
「では、明日二次選考の結果を発表いたしますので、お帰りください」
進行の男がそう言い、女性たちは名残惜しそうに帰っていった。レオン王子は「またね、子猫ちゃんたち」と言って帰っていった。
(さあさあ、私のお仕事はこれからですよぉ~!!)
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