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最終選考と団長の護衛
『発表します、呼ばれた者は前へ。最終選考に残るのは、ローズ嬢』
「当たり前ね」
髪を縦巻きロールにしたド派手なローズが前に出る。
『アルマ嬢』
「うふふ、よかった」
足のスラリと長い、セクシーなアルマが前に出る。
『ネネ嬢』
「わ、わたしが?」
ヒラヒラのドレスを着た、まだ幼い少女ネネが前に出た。
『エリカ嬢』
(ひええええ、本当に最終選考に残っちゃった)
エリカは小鹿のように震える足を前に出した。
『呼ばれなかった者は帰るように』
ゾロゾロと呼ばれなかった者が立ち去っていく。悲しみで崩れ落ちる令嬢や、怒りで発表者に怒鳴りつけてる者もいた。
『最終選考は三ヶ月後となります。今日から王子が交代で会いに来られるので、それ以外の日は淑女教育に勤しむように。尚、最終選考まで各自に護衛が付くようになります』
最終選考になると護衛という名の監視が付くようになる。他の男と逢い引きをしていないか、他の女性を陥れようと毒を盛ったり、怪我をさせたりしていないかなど常に見張られることとなる。
(まぁ、ローズはただの護衛だと思ってるだろうけど・・・)
このことは公表されておらず、ゲームではローズが他の令嬢に様々な嫌がらせをしていた。その部分はきちんと審査員によって減点される予定だ。
(ああ、面倒くさいなぁ)
いくら疚しいことがなくとも常に監視が付くのは気が滅入ってしまう。特に前世は引きこもりがちで、あまり人と接するのは好きでない。
──ガチャッ
エリカは与えられた少し大きな部屋に入り、ホッと息をついた。少し疲れたので、靴を脱いでうーんと背筋を伸ばしてストレッチする。
「ここがお前の部屋か、地味だな」
「ギャァアアアアア!!」
急に聞こえた声にエリカは恐怖で叫んだ。ビッグが壁の近くに立っていたのに気がつく。
「ななななんで!!」
「聞いてなかったのか?護衛だよ、お前の」
(え、私につく護衛が、なんで団長!?)
「ビッグ騎士団長が、わざわざ私の護衛・・・ですか?」
「ああ、部下のウェインと交代でお前の護衛をすることになった」
「ぜ、絶対私監視するためですよね!?言ってません、言ってませんよ、秘密は!王子とあなたが・・・」
ビッグはエリカの口を大きな手でふさいだ。苦しくてフーッフーッと必死に手の間から空気を吸い込んだ。ビッグはエリカの耳元で囁いた。
「無闇にでけぇ声で発言すんじゃねえ・・・誰に聞かれてるかわかんねえんだぞ・・・分かったか」
エリカはコクコクと顔を上下に振った。
「ぷはっ・・・ビッグ団長・・・乙女に酷いです・・・」
「覗き見してる奴が、何が乙女だ」
ビッグは呆れた顔でエリカを見て向い側のソファーにドサリと座った。護衛自体はあまり真剣にするつもりはないのか、ビッグも目の前にあるクッキーを一つ摘まんで食べた。
(・・・暇だな)
夕飯まで暇になったエリカはビッグを観察することにした。大きな喉仏に、広い胸板はとてもセクシーだ。ソファーで右足をくの字にして組んでいて、ズボンに食い込むアソコの部分が少し盛り上がっており、立ち上がる前でも大きいのが伺える。
「おい、どこ見てんだ、てめえ!!」
「す、すみません!!」
エリカは彼の胯間をおもいっきり凝視してしまっていたようだ。
「ったく、まじで変態だな、お前」
「・・・すみません」
エリカは気を紛らわすために読書をすることにした。本が面白く、集中して目の前で存在感を醸し出している大きな男性も気にならなくなる。
「・・・お前・・・よく見たら綺麗な顔してるな。なんで前髪伸ばすんだ?」
「ひっ・・・!!」
気がつくとビッグが隣に来てエリカをじっと見ていた。エリカは人と目を合わせるのが苦手でいつも前髪を伸ばして、前髪越しに人を観察している。
「唇も・・・気持ち良さそうだな」
ビッグはエリカのぷっくりとした唇をぷにぷにと触る。そして下唇をスーっと擦った。その手つきはどこかいやらしい。
「変態のくせに、ウブなんだな。触られるのに、慣れてないのか?」
「ひゃぅっ・・・」
ビッグはエリカの耳にフッと息を吹きかけた。ゾクゾクした感触にみるみる顔が真っ赤になる。
「か、か、か、からかうのは、やめてくだしゃい!!」
「ふっ、面白い奴」
あきらかにビッグはエリカをからかって遊んでいるようだ。ビッグはエリカの耳たぶを触りながら読んでいた本のタイトルに気がつく。
「へぇ、ボレロの本か。お前もするのか?」
「ち、父とかとたまに・・・」
エリカは前世ではあらゆるゲームが好きで、今世でもゲームを研究していた。ボレロは前世のチェスのようなもので、男性に人気のゲームなのだ。
「へぇ、女なのにな。お前って本当に変な奴」
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