12 / 37
セカンドキス
しおりを挟む(だ、団長・・・やば・・・気まずい・・・)
馬車からレオンと意識を持ち直したエリカがふらふらと降りる。すると護衛に参加できなかったビッグが王城の門で待っていた。ビッグの愛するレオンがエリカにキスをして、失神してしまったという罪悪感で、彼から顔を反らしてしまった。
「彼女、久々の外出で少し疲れてしまったようだよ。僕も部屋まで送ろう」
レオンはそう言ってエリカの腰を持ちながら部屋まで向かう。その後ろを護衛としてビッグが付いてきた。
「大丈夫、エリカ」
「だ・・・大丈夫です・・・!!ちょっと疲れてしまっただけで・・・」
(レオン王子、なんでビッグ団長が後ろにいるのに、そんな余裕なのよぅ)
「じゃ、僕はこれで・・・じゃあね、エリカ」
そう言ってレオンが帰ろうとすると、何故かビッグがレオンを引っ張り一緒に部屋に入った。ビッグはカチャリと鍵をかけることも忘れない。ビッグはレオンの耳元で呟いた。
「数分なら、バレないだろ。もう少しここにいろ」
「うん・・・じゃあ少しだけ」
レオンがエリカをソファーに寝かせ、ブランケットを被せる。その横でビッグがレオンの唇に親指を乗せ、ゆっくりと愛しそうに擦っていた。ビッグは手を動かしつつ、レオンの唇を熱い瞳で見つめていた。
(もしかして・・・レオン王子が私にキスしたのバレてる!?もしかして嫉妬してる!?ヤバい・・・ヤバいよ・・・)
エリカは気まずさと恥ずかしさで胸のドキドキが止まらない。エリカは隠れるようにブランケットの中に潜り込む。しかし見守り隊として見届けなければと思い、寝ている振りをしてチラッと覗く。
「レオン・・・お前エリカにキスしたんだろ?バレバレだ。どんな感じがしたか言えよ」
「・・・すごく、柔らかくて・・・しっとりとしてたよ」
(レオン王子・・・なんでそんなこと言うんですか──!!)
「味はどうだった?」
「すごく甘かった・・・」
二人はお互い熱く見つめあっているのにエリカとのキスの話をしていて、そんなあべこべな状況にエリカは戸惑う。
「おい、変態・・・見てんだろ・・・」
エリカは覗いていたブランケットを再び被って見ていない振りをするが、ビッグは立ち上がり、ブランケットを剥ぎ取った。
「顔真っ赤にしやがって・・・俺にも少し味見させろ」
ビッグはエリカの頭の後ろを大きな手で掴み、エリカに唇を押し付けた。下唇を何度も甘味みされ、噛まれているだけなのに気持ちがいい。
「ビッグ、どう?彼女の味は」
向い側のソファーで一人座っているレオンが二人のキスを見ながらニコリと笑っている。
「ああ・・・お前の言ったとおり・・・甘いな・・・」
──プシュゥゥゥゥ!!
「あ・・・またやり過ぎちゃったね」
エリカは白目を向いて二度目の爆発を遂げた。
41
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる