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ダンス
「では、今日は皆さんにダンスをしていただきます。皆様に予告しておりましたとおり、レオン王子も練習に参加していただきますので、今までの成果をお見せください」
伯爵家のローズ、アルマ、そして男爵家のネネが参加する予定だったのだが、ネネは本日体調が悪いとのことでお休みしている。
(うわぁ~ネネさん・・・靴の釘踏んじゃったんだぁ・・・)
ローズが嫌がらせで靴に釘を入れて、ダンスの練習に参加できないようにしたのだ。エリカの靴にも釘が入っていたのだが、ビッグが護衛をする日は彼がいつもエリカの靴を履かせるので、持ち上げた瞬間に彼が気がついたのでエリカは怪我はなかった。
(釘は地味に痛いからなぁ・・・って、ん?)
どこからかピリピリとした視線を感じ、エリカは顔を上げた。
(ひぃ・・・!!ローズ様怖っ!!そんな顔してたらライト王子にバレるって!!まあもう既にバレてるけど)
ローズはエリカが何事もなかったように参加しているのを見てエリカをギロッと睨み付けた。最近エリカが前髪や服のイメージチェンジしてから、彼女の嫌がらせや嫌みが増えた。それらをエリカは全てかわしているのでローズのイライラは募る一方であろう。
「では順番に練習致しましょうか。ではアルマさんから」
「はい・・・お願い致しますわ、レオン王子・・・」
(わぁ・・・アルマ様・・・素敵)
アルマの踊りは白鳥のように優雅だ。その姿に皆見惚れて、時間が一瞬で過ぎたってしまう。アルマは足を高く上げ、最後に大きく二回回転し、礼をした。
──パチパチパチパチ
「素晴らしかったです、アルマさん。でも妃となるには王子を引き立てることも必要ですよ」
「はい・・・」
ダンスの講師が指摘する。アルマはダンスのテクニックが凄すぎて、二人のダンスというよりは、個人プレイのような踊りかたであった。レオンはただ引き立て役のように踊っていたのだ。
「ありがとう、素敵なダンスだったよ」
「ありがとうございます、王子・・・」
指摘されたアルマにレオンがしっかりとフォローを入れる。アルマは頬を染めて、礼をした。
「次、ローズさん」
「はい!」
ピアノの曲が始まりローズとレオンが踊りだした。わざと密着をして、レオンの胸に彼女の胸を引っ付けていた。レオンが少し離れようとしても、再び胸を押し付けるので彼は苦笑いである。
──パチパチ・・・
「ローズさん、足のステップは素晴らしいのですが、少し体を寄せつきすぎなのではないでしょうか・・・体の使い方がどことなく下品です」
『ぷ・・・』
誰が笑ったのか分からないが、エリカではない。しかしローズはエリカをキッと睨んだ。
「最後はエリカさんですね。頑張ってください」
「は、はい・・・」
エリカはダンスの授業は一番苦労していた。運動神経は良い方ではないので、何度も練習時に転んで足を挫いてしまっていた。
「今日も派手に転ばないようにね。あなたのダサい下着はもう見たくないわ」
ローズが横を通った瞬間エリカにだけ聞こえるように呟いた。レオンの前に立ってエリカはガチガチに固まっている。そんなエリカにレオンが小声で「大丈夫。僕に任せて」とウインクをすると音楽が始まった。
「ひやっ・・・!!」
早速少し躓いてしまい、笑い声が聞こえる。しかしレオンはエリカの手を離さなかった。「力を抜いて、そうだよ、僕を信じて」そう呟きながらレオンはエリカを導く。レオンはまるでエリカの体の全てを知り尽くしているかのように、リードした。
(うそっ、普通に踊れてる・・・)
その感覚が楽しくなり、エリカはレオンを見て笑顔を向けた。レオンも自信を持ち出したエリカに甘い笑顔を向ける。まるで二人の世界に入ったかのようだ。
──パチパチパチパチパチパチ!!
「ブラボー!!エリカさん!!今までで一番素晴らしかったです!!でもレオン王子のお陰ですわね・・・もっと練習して精進するのですよ」
「は、はい。ありがとうございます!」
エリカはダンスの講師に礼をした。レオンも「よくやったね」と言って頭を撫でてくれた。しかし先ほどからローズの憎しみの視線が痛い。
「では本日はここまでに致しましょうか。レオン王子、時間をお使いいただきありがとうございました」
「いえ、こんな素敵なレディたちと踊れて光栄でしたよ」
レオンは殺し文句を最後に言って去っていった。
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