秘密の師弟関係

ほのじー

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第三章:真実

葛藤Sideランドルフ(前)

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ー数日前ー

ランドルフがエドアルドの家を訪ねに行くと、彼はすぐに出てきて、急に訪れた訪問者に少し驚いた顔をしていた。

「エド、急にすまない」
「ええ、大丈夫ですよ、どうぞ中に・・・」

エドアルドはランドルフを招き入れた。家はスタイリッシュで、センスの良さをうかがわせた。以前ミリアと買い物に行った際に買ったものも置いてあり、二つずつ揃えられた食器などを見ると、家庭の暖かみも感じられた。

「ミリア殿は外出中かな」
「ええ。今日は副団長さんと劇を見に行くって言ってました」
「・・・そうか」

しばしの沈黙が訪れる。ランドルフは懐から分厚めの封筒を取り出した。

「これ、納めてくれ」
「なんですか、これは」

エドアルドが中を確認すると、札が何枚も入っているのが分かった。

「君に最後に会った日に酷い怪我をしただろ?その治療費をずっと支払いたいと思ってたんだ。あんだけ刀で深くえぐられたんだ、かなり治療に時間がかかっただろう」
「・・・いえ、こんなお金団長に払っていただかなくて結構です」
「いや、これは受け取ってくれ。君が男だったのがせめてもの救いだよ。女性であれば結婚もできないであろう。この国で女性の体の傷は不幸の象徴と忌み嫌われているからな」
「・・・そうですね」


ランドルフは当時の話など昔話をしたが、エドアルドは「ああ」「そうですね」とあまり会話を続ける様子はなかった。


(もしかするとあの時のことがトラウマになって、もう過去の話はしたくないんだろうか)



しばらくしてランドルフは腰をあげ、帰る旨を伝えた。


「では、俺はこの辺で」
「玄関まで送ります」

エドアルドがランドルフの上着を取りに行っている隙に返された封筒を玄関のレターボックスにこっそりと入れた。エドアルドから上着を貰い、玄関を出たところに、馬車が一台停まった。そこから着飾ったキースとミリアがチラリと見える。何か会話しているようだが帰り際ミリアはキースにキスをしているのが見えた。


「じゃあまた明日」


そう言ってキースは馬車を走らせた。


(っ・・・)


ランドルフはその場をすぐに去ろうと、エドアルドにお別れをし、少し歩いたところにミリアが追ってきた。


(くそっ・・・なんで追ってくるんだ)




「待って下さい、ランドルフ騎士団長」
「・・・なんだ」



(今近づかれたら彼女に俺は何をするか分からない・・・近づかないでくれ)


彼女はランドルフが避けていることに対しての説明を欲しがった。しかし俺は何も答えられなかった。そして彼女はランドルフの背中を守りたい、心の支えになりたいと言ってランドルフの広い背中に手を触れた。


(何を言ってるんだ、こいつは。俺を支えるだって?そんな安い言葉、俺が信じるとでも思ってるのか)


俺はその手を振り払い彼女を突き放した。


「どちらにしろ俺には君を必要としていない。女性なんだから結婚でもして家庭でも支えたらどうだ?君もどうせキースの顔と金に集る女性なんだろう。その美しい体を使ったら喜んであいつは君を受け入れてくれるだろうさ」
「そんなことっ・・・!!ーーーいえ、ごめんなさい余計なことでしたよね。ではお時間取らせてすみませんでした。失礼します」



(酷いこと言っちまった。俺は最低な男だ。でもこれでいい、俺と彼女は釣り合わない・・・)



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