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スノーランド婚約結婚編
前の私と今の私
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(は・・・恥ずかしい・・・)
“女戦士ミリア”の小説を一気に読んだ。自分の恥ずかしい台詞たちに身悶えた。
(やだやだ!しかもこの話・・・フェリス国とスノーランドで知らない人はいないって言ってた気が・・・)
枕に顔を埋めてベッドの上でゴロゴロと転がる。
(明日どうやってランドルフに顔合わせればおいのよー!)
ミリアは今日もあまり眠れぬ夜を過ごした。
「フォスター王子とヴィヴィアン王女がいらっしゃいました」
「ようこそスノーランドへ」
「歓迎ありがとうございます、ケネス王子」
とうとうアングレ国一行が到着した。今日から一週間滞在する予定だ。シルベスターも二日後に到着する予定で、三カ国協議も行われる予定だ。つまり二日後にランドルフはシルベスターの騎士へと戻ることになる。
「いやぁ、雪を見るのは初めてですよ。素晴らしいですね」
「毎日見てたら飽きるものですよ、ささ、お疲れでしょう。今日は温泉にでも浸かってごゆっくりなさってください」
「それはありがたい。そうさせていただこう」
アングレの第二王子フォスターは第三王女ヴィヴィアンとは年齢が少し離れており、もう三十近い歳である。明るい茶髪で髪を後ろに一つにくくり、その後ろ毛を前にたらしている。顔は整っているのだが、印象は少し薄い。そのフォスターは侍女に連れられて温泉へと向かっていった。
「ランドルフ・・・会いたかったわ!!」
フォスターとケネスが去ったのを見計らってヴィヴィアンはランドルフに抱きついた。
「もう、ランドルフったら、私がわざわざフェリス国に会いに行こうと思ってたのに、あなたスノーランドにいるって言うじゃない。だからフォスターお兄様に付いてきちゃったわ」
「そうですか」
ランドルフは淡々とヴィヴィアンに返事をしている。ヴィヴィアンはミリアに気がつき、冷たい視線を向けた。
「あら・・・平民の子が、なんでこんなところにいるの」
ヴィヴィアンはミリアを見下してミリアに辛辣な言葉を投げ掛けた。ヴィヴィアンはランドルフにすり寄ったままだ。
「ランドルフ、今日はずっと一緒にいてね。お願いよ!」
「でも・・・」
「ランドルフ殿、未来の婚約者様に今日は付いてあげても大丈夫ですよ。ミリア王女は私とスノーランドの騎士たちがお守りしますので」
リッヒはランドルフに今日の仕事を終えるように伝える。ランドルフはしかめ面になったが、断れないことを悟ったのか、ランドルフはヴィヴィアンと共にどこかへ向かっていった。
(なんでだろ・・・なんだかむねが苦しいわ)
ヴィヴィアンがランドルフに触れているだけでモヤモヤとした気持ちが溢れてくるのだ。ミリアは気分転換に庭で散歩をすることにした。雪の量は真冬の時期より少なくなったが、まだ草の上には雪がうっすらと積もっている。
「ミリア王女・・・」
「なぁに?」
元気に返事したつもりだが、ミリアの泣きそうな表情にリッヒが気づく。リッヒはミリアの腕を引き、ミリアをぎゅっと抱きしめた。
「リッヒ・・・?」
「あなたは・・・記憶喪失になっても・・・彼を好きになるんですね」
「っ・・・」
リッヒはミリアの耳元でささやいた。
「俺では駄目ですか?俺だったら・・・」
「え・・・」
ミリアは耳を疑った。
「・・・いえ、なんでもありません。寒いので部屋に戻りましょう」
リッヒは何かを言いかけて止めた。ミリアとリッヒは室内に戻っていった。
王城の窓から庭を見渡すことができる。ヴィヴィアンに腕を引かれながら窓の外を覗いていたランドルフは、リッヒと一瞬目が合った。
“女戦士ミリア”の小説を一気に読んだ。自分の恥ずかしい台詞たちに身悶えた。
(やだやだ!しかもこの話・・・フェリス国とスノーランドで知らない人はいないって言ってた気が・・・)
枕に顔を埋めてベッドの上でゴロゴロと転がる。
(明日どうやってランドルフに顔合わせればおいのよー!)
ミリアは今日もあまり眠れぬ夜を過ごした。
「フォスター王子とヴィヴィアン王女がいらっしゃいました」
「ようこそスノーランドへ」
「歓迎ありがとうございます、ケネス王子」
とうとうアングレ国一行が到着した。今日から一週間滞在する予定だ。シルベスターも二日後に到着する予定で、三カ国協議も行われる予定だ。つまり二日後にランドルフはシルベスターの騎士へと戻ることになる。
「いやぁ、雪を見るのは初めてですよ。素晴らしいですね」
「毎日見てたら飽きるものですよ、ささ、お疲れでしょう。今日は温泉にでも浸かってごゆっくりなさってください」
「それはありがたい。そうさせていただこう」
アングレの第二王子フォスターは第三王女ヴィヴィアンとは年齢が少し離れており、もう三十近い歳である。明るい茶髪で髪を後ろに一つにくくり、その後ろ毛を前にたらしている。顔は整っているのだが、印象は少し薄い。そのフォスターは侍女に連れられて温泉へと向かっていった。
「ランドルフ・・・会いたかったわ!!」
フォスターとケネスが去ったのを見計らってヴィヴィアンはランドルフに抱きついた。
「もう、ランドルフったら、私がわざわざフェリス国に会いに行こうと思ってたのに、あなたスノーランドにいるって言うじゃない。だからフォスターお兄様に付いてきちゃったわ」
「そうですか」
ランドルフは淡々とヴィヴィアンに返事をしている。ヴィヴィアンはミリアに気がつき、冷たい視線を向けた。
「あら・・・平民の子が、なんでこんなところにいるの」
ヴィヴィアンはミリアを見下してミリアに辛辣な言葉を投げ掛けた。ヴィヴィアンはランドルフにすり寄ったままだ。
「ランドルフ、今日はずっと一緒にいてね。お願いよ!」
「でも・・・」
「ランドルフ殿、未来の婚約者様に今日は付いてあげても大丈夫ですよ。ミリア王女は私とスノーランドの騎士たちがお守りしますので」
リッヒはランドルフに今日の仕事を終えるように伝える。ランドルフはしかめ面になったが、断れないことを悟ったのか、ランドルフはヴィヴィアンと共にどこかへ向かっていった。
(なんでだろ・・・なんだかむねが苦しいわ)
ヴィヴィアンがランドルフに触れているだけでモヤモヤとした気持ちが溢れてくるのだ。ミリアは気分転換に庭で散歩をすることにした。雪の量は真冬の時期より少なくなったが、まだ草の上には雪がうっすらと積もっている。
「ミリア王女・・・」
「なぁに?」
元気に返事したつもりだが、ミリアの泣きそうな表情にリッヒが気づく。リッヒはミリアの腕を引き、ミリアをぎゅっと抱きしめた。
「リッヒ・・・?」
「あなたは・・・記憶喪失になっても・・・彼を好きになるんですね」
「っ・・・」
リッヒはミリアの耳元でささやいた。
「俺では駄目ですか?俺だったら・・・」
「え・・・」
ミリアは耳を疑った。
「・・・いえ、なんでもありません。寒いので部屋に戻りましょう」
リッヒは何かを言いかけて止めた。ミリアとリッヒは室内に戻っていった。
王城の窓から庭を見渡すことができる。ヴィヴィアンに腕を引かれながら窓の外を覗いていたランドルフは、リッヒと一瞬目が合った。
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