イケボな宰相と逃げる女騎士

ほのじー

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ジュリアの克服大作戦

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「本当にすみませんでした!!」


ジュリアはなんとか立てるようになり、必死に心を落ち着かせサイラスに向き合い、頭を下げた。サイラスは何かを考えているようで顎に手を当てている。


(どうしよう、騎士失格だ。王妃付きの仕事辞めさせられるかもしれない)


「王妃の護衛には支障ありませんのでその辺りの心配は無用です。この症状が出るのはサイラス様の前だけですので・・・」


まだ無言を貫くサイラスに不安になりジュリアは色々と言い訳をした。


「・・・そうですね、護衛の仕事は続けてもらいましょう」
「あ、ありがとうございま・・・」
「ただし、その症状は治さないといけませんねぇ。私の声に慣れるよう護衛の後、三十分は私の事務室に滞在していただきましょうか」
「ここにですか・・・?」
「ええ、そうです」


サイラスが求めているのは、ジュリアの日勤の仕事後報告書を提出するついでに三十分程サイラスの事務室に滞在することとのことだ。サイラスもできるだけ休憩時間になるよう調整するそうだ。


「そ、そんなサイラス様の休憩時間をお邪魔するなんて」
「それでは護衛を諦めていただくしかありませんね」
「あ、明日から宜しくお願いします」


ジュリアは職を失いたくない。サイラスには申し訳ないが案を飲むことにした。


「では明日から忘れないように」
「っ・・・」


サイラスはジュリアにそう囁いて朝の会議へと向かっていった。ジュリアは「はぁ」とため息をついた。


(三十分もサイラス様と同じ空間なんて、耐えられるかな)



夜勤だったのでジュリアは今日は休みとなるのだが、気が重い一日となった。


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