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053. 猫狼の会話
しおりを挟む歩きながら話をしている一行。
リリナが真ん中でアシュリィと手を繋いでいる。
「――それ以来、今日まで避けていたと?」
一通りの話を聞き終え、確認をするラウル。
アシュリィが苦渋の表情でゆっくり頷く。
「うん。それで今は別の仕事をもらいながらね。
向こうの方にある集会所がちょっとした仕事も斡旋してくれてるから。
それで何とか稼いでる感じかな。」
宿屋よりも町の奥の方を指差し、
まるで自分自身に対して呆れ笑いをするように説明する。
「成る程な……、だが……どちらが悪いとも言えんな……。
主人の言うことも最もではある。」
「そうだね……。あたし自身ちゃんと答えられなかったのは情けないと思ってる。
でも、言い方ひどくない?
【半端もん】って! 別に見た目は関係ないでしょって!」
「それはまぁそうだが……。
……。
ちなみに先天性か?」
先程の別れ際にその単語を聞かされたが、
そのことは取り上げず話を続けるラウル。
二人の顔を交互に見ながら話を聞いていたリリナが
その言葉を聞いて口を挟む。
「せんてんせい?」
「うん、生まれた時からあたしは半人だよ~ってことね。
人によっては『星の道』で混ざっちゃう人もいるらしいよ。」
「ふえぇ。」
リリナが不思議そうに感嘆の声を漏らす。
再びラウルへと視線を戻し
「おやじさんが腕の良い主人っていうのも分かるから余計悔しいのよね。
あれ以来遺物や紛い物の取り扱い方とかも必死になって調べて、
さっき店内を見た時、
あのお店にあるものは私が分かる範囲でも正しく綺麗に処理されてた。」
「そうだな。
手際といい、鑑定結果に関しても真摯な対応だったと思う。
少なくとも仕事に対して人を騙すような御仁ではないのだろう。」
それを聞いたアシュリィの顔がむぅっと膨れっ面になる。
……だが、すぐに落ち着きを取り戻し
目を伏せて悲し気な表情を見せる。
「ただ……ね。
おやじさん言ってたのよね。
『いつか死ぬぞ』『そんなもんはもううんざりだ』って……。」
「……経験談……なのだろうな。」
「そう。だからね。
今日久しぶりに顔を見て、見た目は全然変わってないんだけど。
……哀愁っていうか。普通にしてるはずなんだけど。
……何だか悲しそうに見えちゃって……。」
耳と尻尾から元気がなくなっていく。
「已むに止まれず店を出たと。」
ラウルがアシュリィの語尾を続ける。
素直に頷くアシュリィ。
「……だから……見返したい……っていうか。
安心させて『やっぱり雇わせてくれ』って言わせたいっていうか……。」
ごにょごにょと口籠ってはっきりとしない。
煮え切らない様子にラウルが鋭く、しかし流すような口調で直言する。
「要は『認めてもらいたい』わけだ。」
それを聞くや否や、
アシュリィの毛という毛が逆立ち、顔がぼっと赤面する。
悔しそうにラウルを見つめ、
「……ラウルが普段、他の旅人と接点がないっていうの
納得した気がするぅ……!」
「――!!」
驚いて尻尾がピンと立ち、
すぐに垂れて傷付いた顔をするラウル。
そんな二人の白熱の表情合戦を
口は開いてしまっているが、
真剣な眼差しで二人を交互に見守っているリリナの姿があった。
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