星獣の機迹

なビィ

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061. 猫人の案内

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――キイィ。



集会所の扉が開き、

中から身長差のある三人の姿が現れる。


瞼が開き切っておらず、両眼を擦っているリリナ。

太腿に滴っていた唾液を拭っているアシュリィ。

拭うために代わりの布を渡そうとしているラウル。



眩しいほどの陽が町を覆い、通りの賑わいが最高潮に達している。



「お昼ご飯かぁ。ほんとにあたしが選んじゃっていいの?」


借りた布は明日すぐ返すから。と、身振り手振りで伝えつつ確認をするアシュリィ。

それに頷きつつ



「ああ、頼む。何せ我々は土地勘がないからな。

 それで良ければの話だが。」



「……ん。そっか。

 いいよ! とっておきの見繕ってあげる!」



そう言うと顎に指を当て、目を閉じ



「ん~……。


 ……。

 よし! 決めた!」


口角が上がり、目をぱっと開く。



 ――



がやがやとした大通りを抜け、

幾分か静かな、細い路地へと足を運ぶ一行。

道は周辺の住民によるものか、小綺麗に掃除されていることが分かる。



「この辺、あたしが借りてる宿の近くなんだけどね。」


先導しているアシュリィが声を掛け、

歩いている最中に目が冴えたのか、リリナが元気にアシュリィの横を歩いている。



「落ち着いた良い所じゃないか。」



「えっへへ、そうでしょ?

 割と気に入ってるんだ。」



後方を歩くラウルの感想にニコニコと気を良くするアシュリィ。



「で、あそこが目的地。

 リリナちゃんも寝起きだし、これくらいの方が良いでしょ?

 ……というか、あたしも朝あれだけご馳走になっちゃったからあまり入らないし。」



腹部をぽんぽんと軽く叩きながら進路の先を指差す。



その先にあるのはこじんまりとした汁物専門店。

そこからは空腹感を誘う香ばしくもあっさりとした匂いが流れ出している。



「ラウルには物足りないかもだけど……ごめんねっ。」


おどけて許しを乞うアシュリィ。

それを見てはっとしたリリナが格好を真似している。



「……気にするな、俺がでかいだけだ。」


手の平を見せて二人を制止するラウル。



「何せアシュリィの案内だ。味に期待するさ。」





アシュリィが金色の瞳をぱちくりと、驚いた表情を見せ、

リリナにひそひそと耳打ちする。


「あたし、そんなに信頼されてる……?」



それを聞いたリリナはにっこりと満面の笑みをすることで返答としている。



再び目を丸くするアシュリィ。

口元に指を当て、くすくすと笑っている。


「……そっか。嬉しいな……。」


いつもの快活な笑顔とはまた違う、

憂いを帯びたような穏やかな笑みを零す。





「さっ、いこいこ!

 味はちゃんと保証するからさっ!」



二人の後ろに回り込み、ぐいぐいと背中を押していく。


押されていることを楽しむリリナ。

安堵するような、優しい笑顔でその押圧を受け入れるラウル。



顔に溢れてしまう感情を、照れ隠しをするように俯きながら押しているアシュリィ。


――尻尾がピンと立っている。


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