星獣の機迹

なビィ

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068. 微睡の勧誘

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汁物屋を後にする三人。


満足そうに、身体に負担が掛からないようゆっくりと歩いているリリナとアシュリィ。

その後ろをついていくようにラウルが


「……くっ。」


と悔しそうな顔をしながら汁物屋の方を何度も何度も振り返っている。



「最後の一品、もらえば良かったのに。」


アシュリィが呆れたように言葉を発する。


「いや、いいんだ。俺の為に待たせるわけにもいかん。

 ……それよりも馳走になった。良い経験をした。」



「いいよいいよ。集会所で言ったでしょ?

 あたしがお昼ご飯選んで良いならあたしに払わせてって。」


そういうと


「リリナちゃん、ここのお店美味しかった?」


とリリナの両肩に優しく手を乗せ話し掛ける。

頭上にあるアシュリィの顔を見上げながら


「うんっ!」


と眩いばかりの笑顔で答えるリリナ。



「そっか!」


快い返事ににっこりと返すアシュリィ。



「うんっ。私ももうお釣りが出るくらい満足だよ。

 ……ラウルからもいっぱい良いものもらったしね~。」


リリナからラウルへと、優しい笑顔で話していたが、

段々と悪戯心が垣間見える笑顔になっていく。



好きにしてくれ。と言わんばかりに軽く肩を竦めるラウル。


だが、アシュリィの気風きっぷの良い振る舞いを見て吹っ切れることができたらしく、

いつもの落ち着きを取り戻し、淡々とした口調でリリナへと話し掛ける。


「リリナ。この後はお前の自由にさせてやりたい。

 どこか行きたい所や欲しい物はあるか?」



大きな手の平を優しくふわりとリリナの頭へ乗せる。


こそばゆく、しかし嬉しそうに

その大きな手の人差し指と小指に小さな両手を乗せる。



「えっとねっ。それじゃあ……。」



頭に手を乗せながら体を二人の方に向き直し、





「みんなで……お昼寝……したいな。」



微睡まどろみながらも笑顔を絶やさずはっきりと意思を持った言葉。

ただ単に眠いから出た言葉、というわけではない。


しかし、そこまでの意図を汲み取ることができなかったラウルは

少し焦りながら質問をする。


「えっ、あっ。いや……他には何もないのか?

 折角の良い町なんだ。色々あるだろうに。」



目を瞑ってゆっくりと首を振り、微笑みながら



「ううん、いいの。」



その言葉だけ言うと黙り、頭にある手を自分の胸の前まで降ろし、握る。



「まぁ……お前が良いのなら……。」


困惑した様子だが、受け入れるラウル。



「あっ! アシュリィも! お昼寝!」


思い出したように確認をするリリナ。



「うん~、そういうことなら行く行く~。

 お昼寝するのに良い場所知ってるよ~。」


アシュリィも大分眠気が来ているらしい。

喉の奥から時折ゴロゴロとした音が聞こえ、

喋る言葉はふにゃふにゃしながら昼寝に同意している。





 ――



アシュリィの先導により、

一行はゆったりとした足並みで一度町の外に出る。


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