星獣の機迹

なビィ

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080. 猫人の意思

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「一緒に……いてもいいの?」


先程の言葉を確認するかのように問い掛けるリリナ。


「あぁ、もちろんだ。

 俺の目的にも付き合ってもらう形にはなってしまうが……。」


「ううんっ、だいじょうぶっ!」


勢い良く首を振り



「……嬉しい……嬉しいよぉ……。」



腰掛けた寝床の上で、ふにゃりと顔を綻ばせ涙を拭っている。

安堵の表情を作ったラウルがふっと軽く溜息をつき



「本当に……お前は泣いてばかりだな。」



と、穏やかに呟いている。





「……で、だ。」



もう一つの寝床を見てみると

腕を目元に当て、呼吸を整えようと試みているアシュリィがいる。



「アシュリィ、お前も来る……ということでいいのか?」



アシュリィが同じ姿勢のままピクリと反応する。

彼女の唾液を拭い切れていないことを思い出し

布で髪を拭いていたリリナが目を丸くする。



「えっ?」



その布を横に置き、アシュリィの所へと駆け寄る。



「アシュリィも一緒?」



顔を覗き込むようにして、アシュリィが寝ている脇に立つ。



「え……えっとぉ~……。

 何でぇ……?」



素っ惚けるように、腕の下にある顔を二人とは反対の方に向ける。

片膝を付いていた巨躯を持ち上げ、リリナが座っていた対面の寝床に腰掛けながら



「服……はともかく、そこにある荷物はお前のだろう?

 明らかに旅支度だ。


 ……いや、一人旅を始めるという線もあったか……。」



思い直すように呟き



「もしそうなら俺の早合点だったか、すまない。」



「え~……アシュリィ一人で行っちゃうの……?」



寂しそうに見つめるリリナ。





「――!

 ――!」


よくよく観察してみると、アシュリィがぷるぷると震えている。



 ――



「(すっごい言い出しにくい!!)」


ラウルが昨日、昼頃に旅立つという旨の話をしていたので

例えそのままリリナを置いていかれようとも、

自分が一緒に連れて行ってラウルに無理やり合流してしまおうと考えていた。

ラウルがリリナのことを大切に思っていたのは火を見るより明らかだった。

一度合流してしまえば何とかなると思っていた。


しかし、実際には派手に大立ち回ってしまい

尚且つ、先程はラウルを揶揄うような真似をした後、

二人の良い感じの旅立つ約束を見てしまった。


その上、一人旅の方向に話が進行している。

そこに割って入るような……。



「(どうしようどうしようどうしよう……!)」


疲労と焦りで頭が混乱し、うまく整理ができない。



 ――



「あう、あう……。」


もはや訳が分からず、泣きじゃくりそうになりながら腕を下ろし

横になったまま二人の方へ顔を向けようとする。


すると。





「アシュリィ。一緒にいこっ?」





リリナの顔が目の前に。

つい先程前まで泣いていたとは思えないくらいに明るい笑顔で語り掛けてくる。

その声はとても穏やかで、信頼に満ち、母性すら感じられた。

少なくとも今この時のアシュリィにとってはそうだった。





「……うんっ!」





アシュリィもまた、まるで無垢な子供のように優しい笑顔を返す。


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