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079. 二人の意思
しおりを挟む――ピシッ。
「う゛っ!?」
膝立ちをし、勢いよく拳を振り上げた反動で
負担を掛けていた身体の節々が悲鳴を上げる。
「ニアあああああ……!!」
激痛に耐え切れず、寝床の上で悶え始めるアシュリィ。
その声に反応し、アシュリィの方を向くリリナとラウル。
悶えている様子を少し黙視した後、
「で……どうだろうか。」
すっとリリナへ向き直り、改めて確認を取る。
「あっ……うん……。」
アシュリィから視線を戻し、返事をするが
手をもじもじとさせ俯いてしまう。
「でも……。
……。
ラウル……優しいから――。」
その一言を聞いて、ラウルが手の平をリリナに見せて言葉を制止する。
頭をぽりぽりと搔きながら、
「そうだな……お前はそういう奴だった。
変な所で気を遣い過ぎる。」
再びリリナを見据え、
「……聞き方を変えよう。
……。
……そうだな……。」
少し悩んだ後。
穏やかに、且ついつもの調子で淡々と説明をする。
「これからいくつか質問をするが、
頷くか、首を横に振るかだけでいい。
……いいか?」
――……コクン。
内心どきどきとさせながら慎重に頷くリリナ。
― 森の中で瀕死の少女を助けた。
「俺はお前と旅がしたいと思っている。これは本心だ。」
――……コクン。
少し何か言いたげな様子をしながらも頷く。
― その少女は美しく、純粋で
「お前の成長と安全を願っている。これも本心だ。」
――コクン。
納得をするように頷く。
― 周りの者を不思議と笑顔にさせる。
「この町は良い町だな。アシュリィとも出会えた。」
――コクン。
素直に頷く。
― ――見守りたい。
「出会ってからまだわずかだが、この町までの旅は……楽しかったか?」
――コクン。
力強く頷く。
― 例え、力及ばずとも。
「そうか……俺もだ。この先も続けていけたらとさえ思っている。」
――コクン。
嬉しそうに、少し照れ臭そうに頷く。
― この日々に報いたい。
「……お前と過ごす日々は楽しかった。
お前もそうだと嬉しいが……。」
――コクッ。コクッ。
当然と言わんばかりに前のめりにぶんぶんと頷く。
― それが、少しでも彼女の幸福へと通じるのなら。
「そうか。
……なら、一緒に旅を続けることができたら楽しいと思わないか?」
――コクッ!コクッ!
嬉しそうに、そして、少し涙目になりながらも頷く。
― ともに、成長していきたい。
「……もう一度聞く。
俺と一緒に旅をしないか?」
――……。
ぐっと俯き。
――コクン。
ゆっくりと頷く。
顔を上げると、大粒の涙がぽろぽろと頬を伝い、
感情が今にも溢れ出してしまいそうなのを堪えている。
湿り気のある銀髪がキラキラと眩く光り、
窓から差し込んだ朝日が頬の涙を輝かせる。
――ラウルの後方では、寝床の上のアシュリィが声を出さないように堪えながら
悶えつつも嬉しそうに発狂している。
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