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078. 狼人の決意
しおりを挟む座っているリリナの前で片膝をつき、目線を合わせるラウル。
「リリナ……。
……すまない。勝手にいなくなってしまって。」
返事を待たずに話を続ける。
「そんなつもりは毛頭無かったはずなんだが……。
段々と……その……。
何だ……。」
途中でもごもごと口籠る。
そして目を反らし、言葉を慎重に選んでいく。
「情……いや……愛着……(ぶつぶつ)」
独り言をするように言葉を厳選し始めてしまう。
聞き取り難い程の声量で呟いている為、
目の前のリリナも耳をラウルの方へ向けるが、よく聞き取れていない。
それを見かねたアシュリィがラウルの後ろから声を掛ける。
「リリナちゃんのことが大好きになっちゃったんだってー。」
特に感情も乗せず、リリナへと端的に言葉を伝える。
それを聞き、ラウルが物凄い勢いでアシュリィへと振り返る。
「ばっ……!」
「なぁに~? 違うとは言わせないよ~?」
にやにやと不敵な笑みを浮かべながら、
まだ寝床の上にあった手紙を人差し指と中指で挟み、
ラウルの目に入るようにぴらぴらと動かしている。
「くっ……!」
何も言い返せず、再びリリナの方を向くラウル。
きらきらと目を輝かせているリリナが、
胸の前に両手で握り拳を作りながら
「ほんとっ? ほんとっ!?」
返事をわくわくと期待しながら待っている。
唾液はまだ拭い切れていないが、最早それ所ではないようだ。
「ま……まぁ、手紙の通りだ……。」
観念したように、或いは照れ隠しをするかのように
目を横に反らしてぼそりと呟くラウル。
「手紙……。」
リリナもぽつりと呟く。
それを聞いたアシュリィが、
わざとらしく頭をこつんと叩き、おちゃらける。
「あっ、いっけなぁい♪
慌ててどこかの誰かさんを追いかけちゃったから
リリナちゃんに手紙の内容、教えてなかったぁっ。」
「――――!?!?」
再び振り返り、口を開いて目を丸くさせ、
驚愕の表情を見せるラウル。
「何て書いてあったの?」
何かを考えることもなく、リリナが純粋に質問をする。
無下にすることもできず、何とも言えず口を噤むラウル。
「……。」
少し悩む様子を見せたあと
「……いや、これも自業自得か……。」
口元を綻ばせるように呟いたあと、スッとリリナを見据える。
「今まで色々とお前の処遇について話したと思うが……。
一旦全て忘れてくれ。
そして、これから話すことは俺の本心で、お前の将来へも関わる。
……いいか?」
「……?
――!
うん……!」
ラウルの言葉を全て理解している訳ではなく、少し傾げる様子も見せるが、
概ね真剣であることを察して姿勢を正して頷くリリナ。
「そうか、ありがとう。
なら……単刀直入に聞こう。」
部屋の空気に少しの沈黙と緊張が走る。
アシュリィもラウルの後ろで固唾を呑んで見守っている。
リリナは一言一句聞き逃さないよう、ラウルをじっと見つめている。
先程まで賑やかだった部屋の中で、音を発する者は誰も居ない。
軽い深呼吸をした後、ゆっくりと口を開くラウル。
「 俺と一緒に旅をしないか? 」
――アシュリィの拳が天高く振り上げられる。
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