安楽椅子ニート

お赤飯

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風習 解答編

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水島「おわかりいただけただろうか」
火野「お前、言いたいだけだろ?」

水島「お久しぶりです、火野さん。三週間ぶりぐらいでしょうか。僕がいない間、変わった事はありませんでしたか?」
火野「ええ、まぁ。・・・・・水島さんがいなくても何ら支障なく仕事が回る事が確認された位でしょうか。」
水島「これ、お土産です。東京バナナです。」
火野「・・・どうも。」
水島「行って来ましたよ、取材で。例の、村。呪いの村。」
火野「呪い? あの、水島さん。色々、ごっちゃになっちゃってますよ?」
水島「”呪いの村”とか言っちゃった方がセンセーショナルでしょ?」
火野「完全に誤解されると思います。それが狙いなんでしょうけど。」
水島「呪いで廃村になった、なんて、いかにもB級C級ホラーで売れそうですよ。その、A級じゃない感じが凄く良い!」
火野「ありそうで、なさそう、バカバカしいけど、自分に起きたら嫌だ、程度の怖さって、丁度いいですもんね。東スポより怖くて、学術的には信憑性がない。まさに、記事にうってつけ。・・・・・私はあんまり好きじゃないですけど。」
水島「尾ヒレ腹ヒレを付けていくのが僕達の仕事じゃないですか!・・・所説ありますでだいたいなんでも切り抜けられますから。」
火野「所説ないですけどね。」
水島「嫌だなぁ、火野さん。相変わらず厳しいなぁ。」
火野「わざわざ現地まで行ったんですか?」
水島「はい?・・・ええ。そうです。地元じゃ、有名な廃村でしてね。まあ駅から遠くて。タクシーじゃ高いから、レンタカー借りて、山ん中、行きましたよ。いやぁ、怖かった。怖かった。祟られそうでしたよ。」
火野「祟られたら、文字通り、呪いの村っていうことで、検証終了です。・・・ごくろうさまでした。」
水島「ちょっと、待って下さい!それじゃ僕が祟られちゃうじゃないですか?」
火野「既に祟られているようなもんじゃないですか、減るもんじゃあるまいし、目一杯祟られちゃって下さい。」
水島「嫌ですよ・・・・えぇ?」
火野「水島さんが祟られるのは良いとして、あの掲示板にも書かれていましたが水島さん。鹿とか熊とか、大丈夫でした? 今、結果的に生きているから大丈夫だったんでしょうけど、廃村する位の山の中でしょう?猪、熊に襲われなくて良かったですね。」
水島「ええ?ええ?え?なんで?」
火野「あと、蚊、アブ、ヒル、マダニ・・・。どっちかって言うと、獣よりそっちの方が実害があると思うんですけど、大丈夫でした?」
水島「どういう事ですか?・・・火野さん、どういう事ですか?」
火野「獣は一発で即死ですが、小さい生き物は、病原菌やらウィルスやらを持っているので、長く苦しんで死にます。すぐ死ぬか、苦しんで死ぬか、水島さん選びたい放題ですよ。」
水島「僕は死ぬの前提ですか?」
火野「ヒトスジシマカなんかは、重度呼吸器疾患を催す感染症を運んできてくれるのでけっこう危険なんですよ。」
水島「藪ん中だったから、けっこう刺されましたが・・・・」
火野「ああ。ご愁傷様です。あ、ちなみに私はワクチン打ってますので、・・・ま、海外も行きますしね。破傷風とか。ある程度、免疫は持っていますけど、この線から、近づかない様にして下さい。・・・感染されたくないので。」
水島「ちょ、ちょっと、火野さん!火野さん!」
火野「だから、この線からこっち来るなって言ってんでしょ?聞いてた?水島さん!」
水島「聞いてましたけど。」
火野「本来なら、違う部屋に隔離してもらいたい所ですけど、」
水島「だから、なんか、マスクしたり、空気清浄機がフル稼働色ているんですね?」
火野「水島さんの事だから、取材から直帰なんてしないと思いますから、まぁ、三日は経っているとして、急性症状も出ていないから、今のところ、イエローシグナルです。まだ、安全と決まった訳ではありません。水島さん、取材するにあたって、公衆衛生の勉強とかしないんですか?勉強不足にも程がありますよ?戦場なら死んでますよ?」
水島「僕、戦場カメラマンみたいな事、しませんから。」
火野「はい。マスク。私、優しいでしょ? お土産は、個包装で助かりました。」
水島「・・・せめて、よかったら、食べて下さい。」
火野「ところで現地の取材、生け贄の話は本当だったんですか?」
水島「ええ、そこなんですが、村がなくなっちゃったから、そういう話を聞ける相手もいませんでしたよ。残念ながら。」
火野「えぇ? じゃぁ、何の為に現地に行ったんですか?取材と言う名の慰安旅行ですか?ウィルスだけもらってきて。」
水島「そういう風に言わないで下さいよぉ。廃村になった集落の、写真を撮ってきました。凄いでしょ、雰囲気あって。」
火野「・・・勝手に?許可は取ったんですか?」
水島「え? 取ってないですけど。廃墟に入るのに許可、いります?」
火野「いるに決まってるでしょ?不法侵入ですよ? この地球上で、権利が発生していない土地は南極大陸くらいですよ? いくら人が住んでいない土地だったとしても、最低限、所有者に取材の連絡は入れるべきじゃないですか?取材人として当然だと思うんですけど。」
水島「はぁ。・・・ごもっともです。すみませんでした。」
火野「迷惑ユーチューバーと一緒ですよ。水島さん。・・・・・取材中、誰かに見られましたか?」
水島「いや、誰にも、見られてはいないと思うんですけど。」
火野「現行犯じゃなくて良かったですね。同僚がタイホとか、いいですけど、困るんで」
水島「・・・タイホされるのはいいんですね。」
火野「じゃあ、生け贄に関する、情報は得られなかったって事ですよね。」
水島「はい。残念ながらそういう事になります。」
火野「水島さんは、生け贄イコール呪い、祟りみたいな煽りで見出し、つけようとしてますけど、呪いとか祟り、関係ないですからね。むしろ、宗教儀式で、祈祷に近いものですから。」
水島「え・・・・そうなんですか。」
火野「この村の生け贄に限らず、何百年、何千年は言い過ぎか、千年ちょいの歴史のある儀式、奇祭は、神様への畏敬の表れです。無病息災、豊年満作。どれもこれも土着信仰ですよ。土地の神様に、敬意を示しているのです。例えば、巨大な張りボテで山車を作ったり、巨大な丸太と言う名のご神木と共に山を下ったり、喧嘩祭り、女だけの祭りとか、馴染みのない人間からしてみたら一見、奇抜に見える祭りも、土地の人にしてみたら、それこそが神様への信仰そのものです。」
水島「由来を知らないと、その意味を理解できませんものね。」
火野「その通りです。ただ、奇抜と思われる儀式、奇祭も、昨今の人口減少でファッション化しつつあるのも事実です。」
水島「ファッション化? お祭りがですか?」
火野「あれです。目的と手段が逆になるパターンですよ。お祭りの目的は神様への信仰だったはず。それが手段の方がヒートアップしてしまい、派手なパフォーマンスばかり楽しむようになってしまった。それはそれでニュースで取り上げられる事は増えるでしょうが、信仰を続けている土地の人間にしてみたら苦々しい思いもあるようですしね。あまりファッション化してしまうと、お祭り自体をやめてしまう自治体もあるようです。それは英断だと思いますよ。神様への冒涜ですから。」
水島「ちょっと分かる気がします。」
火野「贄をお供えするにしても、人殺しとか、人減らしみたいな風潮がありますが、古来より贄は、神聖なものと相場が決まっています。仮に、贄が人間だったとしても、誰でも良い訳じゃありません。むしろ、高位で名誉あるものだったとされています。ようく考えてみて下さい。神様への貢ぎ物ですよ?下賤な人間で良いはずがありません。それなりに位の高い人間でなければ、神への供物に相応しくありません。下手な人間を贄にしてしまい、逆に神様を怒らせたら元も子もないじゃありませんか?」
水島「確かに。」
火野「昭和のほの暗い、モノクロ映画が良くない印象を与えている説もあります。映画に感化されるって奴です。身分が低い村の娘が生け贄だか何だか殺される。それに神様だったり大魔神だったりが激怒して悪人を滅ぼすなんて、映画的には面白い展開ですが、そんな事はまずあり得ません。」
水島「明らかに映画から、そういう印象操作を受けてしまいますよね。」
火野「それに、人間を贄にするという事自体、日本に仏教が入ってからは、廃れていったと思います。当時、仏教は先進的な考えでしたし、時の権力にも強い影響力がありました。何も、仏教は、仏の道を説く宗教ではなく、読み書きを教えたり、今でいう漢方、薬膳で病気を治したり、金のない人間に仕事を斡旋したり、金を貸したり、庶民の世話をやいていたと聞きます。現代では葬式のイメージが強いですがむしろ、亡くなった方の供養は、数ある仕事の一つに過ぎなかったみたいです。」
水島「・・・ほら、即身仏とかあるじゃないですか?」
火野「あれは修行です。贄とは違います。趣旨からして違いますよ。即身仏は、人間が生きて仏になる行です。簡単に即身仏って言いますけど、十年単位で修行を行うんですよ。」
水島「ええぇ?」
火野「まず、仏になる為の体づくりから始めるそうです。普段の食事から、肉類や脂分を徐々に抜いていくんだそうです。それだけで数年。普通の人間ではそれだけで苦行だと思いますよ。もう体から脂肪を落とせるだけ落とすんだそうですから。そこから、一生、修行を行う祠に入って、行を、永遠に行うそうです。仏になるとは、人間を捨てその上の位に上がる行為です。人々の平和を祈る為に、自らが仏となって、見守る、という意思と信念がなければ、到底、成せる行ではないと思います。人々の為に自ら人を捨てるんですから。並み大抵じゃ出来る事じゃありません。」
水島「・・・いや。なんて言うか、話を聞くだけでも圧倒されますね。」
火野「仏教は近代的で、庶民の生活に根付いたものでしたから、余計、生け贄を肯定する事はなかったと思います。ただし、生け贄という表現が正しいかは分かりませんが、生き物を供物として、神様に、奉納するという習慣は土着信仰の一つとして、各地に残されています。」
水島「掲示板に書かれていた、鹿、猪などを捧げるという奴ですね。」
火野「その通りです。海彦、山彦の伝説にもある通り、神様は、どこにでもおいでになるので、山の神様、海の神様、川の神様、雨の神様、日照りの神様、まぁ様々です。それらの神様に対して、事故や怪我がなく仕事が行えるとか、作物や獲物が多く収穫できるとか、子孫繁栄、無病息災、安全第一、そういったものを超自然的なものとして捉え、神様にお願いするのは極々当然の事だと思います。くだんの村で、生け贄が、山に生息する動物だったのも、当然と言えば当然の事だと思います。」
水島「なにも不思議ではないと?」
火野「山の命を、山の神に返す、というのは、神を称える儀式では、真っ当な行為だと思います。」
水島「神様への貢ぎ物は、神聖な物という意味でも、山の動物の命の方が、確かに、神聖な気がします。」
火野「ええ。それに人が少なくなって、生け贄が出来なくなったから村が消滅したと書いてありましたが、これも、至極当然の事で、人口減少で廃村なんて、日本中、どこにでもある話ですよ。それに、村が消滅した、という表現が気にかかりまして、消滅の仕方にも色々あります。物理的に、森に喰われた、とか。」
水島「森に喰われる?」
火野「林業が衰退したり、山林の保全が行き届かなくなると、山林が荒れ放題になります。これ、現代でも問題になっていますが、土砂災害の要因だったりするんですよ。人間が管理しないで森を放置すると、大雨、雪解けの大水などで、地盤が緩み、倒木、岩石といったものが、麓へ流れ込む危険が示唆されています。そうならない為に、砂防ダムを作ったりしている訳ですが。」
水島「あれ、山でたまに見ますけど、意味ある構造物だったんですね。」
火野「水島さん。一回、祟られた方がいいですよ?」
水島「嫌ですよ!怖いもん」
火野「次に考えられるのは、書類上、いわゆる地図上から、消滅するケース。」
水島「地図から消える?・・・・怖いじゃないですか。」
火野「これもよくある話ですよ。別段、村だけじゃくて、都市部でも見られるケースです。市町村合併、統廃合によって、名前が変わる。ほら、村が消滅するでしょ?」
水島「??? え?」
火野「昨日まで、水島村だったのが、今日から市町村合併で、火野市になりました。水島村はなくなりました。そういう事です。」
水島「そんな屁理屈なぁ」
火野「私は、この市町村合併で村が消えた説が一番、信憑性があると思っています。人口減少で、村の税収が減る訳ですから、実質、機能的に不全を起こします。近隣の市に併合する方が、村民も生活できますからね。」
水島「なるほど、って言えば、なるほど、です。」
火野「市町村合併で土地の名前が変わるだけならまだいいですが、郵便番号なんかはそれ以上にコロコロ変わる事がありますから、住所よりよっぽども注意が必要ですよ。」
水島「・・・・・本来なら郵便番号は7ケタもあるんだから、住所の何丁目まで辿り着かないと、番号を割り振った意味ないですもんね。」
火野「それから、生け贄の儀式を行う村が本当にあったとして、その儀式に参加した人間がいるはずです。・・・どこかしら、話が漏れるでしょう?うちの村では生け贄やってたんだ?って。あのぉ、匿名掲示板でスレが立てられるような話じゃないと思います。もっとアカデミックな、民俗学の研究になるような話ですよ。それが、まったく無い。人の口には戸は建てられないって言うじゃないですか?大々的に知れ渡っていないといけないはずなんです。生け贄をしていたなんてセンセーショナルな話が、小さい村だけで留まっている方が、よっぽどもおかしいんですよ?」
水島「・・・・はぁ。そうなると火野さん、この話は」
火野「水島さんが思っているような、人を殺して生け贄にするような、風習のある村ではないと、私は思います。」
水島「えぇ?そんなぁ! じゃぁ、僕、取材に行っちゃったじゃないですか?これ、どうなるんですか?くたびれ損じゃないですか!」
火野「水島さんが、その裁量で、しっかり記事にまとめた方がよろしいんじゃないですか?三週間も取材してきたんだから。・・・コタツ記事にしないようにくれぐれもお願いしますよ。」
水島「そんな事、言われても。火野さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」



※本作品は全編会話劇です。ご了承下さい。
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