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六章 魔法は狭間から見る
6話 道具の使い方知るのは
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昼間だというのに、強烈な火花はなかなか綺麗だった。
パチリ、パチリと音を立てて飛び散る。
昔、どこかの山でドラゴンと殴り合ったときによく見た光景に似ていた。
「……なあ、じいさん。俺の家を壊すのはやめてくれ」
熱核魔法が、俺の家の壁にじわじわと穴を開けていた。
「じいさん、何がしたいんだ。もしその”軽い金属”が足りないなら、まだあるだろうから探してくるよ。だから、まずはその物騒な火を止めてくれ」
魔法を帯びていた白い瞳が、ぱちりと瞬く。
いつもの可愛らしい目に戻った。
「早く言わんかい」
……切り替えが雑すぎる。
それから俺は、以前“軽い金属”を見つけた滝の場所まで、じいさんを案内した。
どうやら、じいさんには作りたいものがあるらしい。
理由は聞いていない。
じいさんは、目をきらきらさせる。
俺が、「こっちにあるぞ」と教えるが――
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、じいさんは杖で地面をつつき、水音の向こうを覗き込んだ。
俺の指差しなど、最初から視界に入っていない。
まるで、宝探しでもするように。
じいさんは、嬉しそうに金属を探していた。
「わしもじゃが……勇者くんも、あの頃はこれに目もくれなかったな」
そう言われても、今の俺が、同じものを見ているとは思えない。
魔王城に、こんなものがあっただろうか。
――いや、あったのかもしれない。
ただ、俺は、真正面しか見ていなかった。
剣を振るう先だけを追って、足元も、脇も、見る余裕がなかった。
若さ、というより――
速さに慣れすぎていたんだな。
「では、行くかの」
その声と同時に、じいさんの瞳が、再び白く見開かれた。
地面が、震える。
滝が、悲鳴を上げるように砕け散った。
まるで、山の奥で眠っていたベヒモスが、喉を鳴らしたかのような音だった。
粉々になった土も、引き裂かれた水も、重さを忘れたように空中へと浮かび上がる。
そういえば昔、精霊魔法にまで精通しているのか、と聞いたことがあった。
「ただの物理魔法じゃ」
じいさんは、そう言っていた。
あの頃は、みんなで馬鹿みたいに褒めまくったな。
――ただ、それから誰も褒めなくなると、この魔法も使われなくなった。
俺は浮かび上がる土と水を見上げながら思った。
褒めておいたほうが、いいだろうか……と。
「勇者くん、今じゃ。引っ張り上げるんじゃ」
崩れた山肌の中に、“軽い金属”が埋まっていた。
――いや。
見た目だけなら、まったく軽そうには見えない。
土に半ば飲み込まれた、とても巨大な金属の塊だ。
俺は足を踏ん張り、両腕に力を込める。
土の抵抗が、じわりと腕に伝わってきた。
何とかそれを引き抜き、転がすようにして横へ降ろした。
これは一体……。
まるで、立方体の部屋ひとつが、そのまま埋もれていたようだった。
「じいさん。この部屋は、なんだ?」
振り返った時には、滝はもう直っていた。
少し形は違うが、さきほど壊した気配は、まるきり残っていない。
「じいさん凄いな……」
それは、思わず口からこぼれた、素直なひとことだった。
「さあ、家に持ち帰ろうか」
「いいや、ここでいいじゃろ。試したいことも、色々あるのでの」
じいさんは、杖で金属の表面に線を書き出していた。
「なんじゃ? 少し持って行くか?」
考えてみれば、どちらも道具だと言われた、この金属と種だ。
どちらも、自分なりに調べてみようと思い、少しだけもらうことにした。
金属の塊から、どう切り出すべきか――
マルチツールを手にした。
何の問題もない。
軽くパンを切るようにして、小さな立方体の金属を切り出す。
先ほどまで機嫌がよかったじいさんが、何やらぼそぼそと呟いた。
「選ばれし者はいいのう。これを、そんな簡単に切るのじゃから」
昔から、幾度となく聞いた、似たようなセリフだ。
……何だか、懐かしかった。
それだけ言うと、じいさんは金属の壁に向かっていった。
……まあ、何かあれば、呼べばいいか。
俺は、持った気にならないほどの“軽い金属”を片手に、そこを後にした。
家に帰ると、そこではトリスが駆け回っていた。
頭の上にミナリーを乗せているせいか、操縦されているようにも見える。
何をしに来たのかと聞いてみた。
「あ、なんだか火事というか……すごい音、しましたよね?」
「いいや、何にもないよ」
家の壁には穴が開き、焦げ跡も残っている。
匂いだって、まだしている。
だが、説明するのは面倒だった。
「火事なら、あたしに任せて」
ミナリーが腕をバッテンにする。
ポン、ポンと軽い音を立てながら、水玉が生まれて飛んでいった。
気づけば、至るところ水浸しだ。
どうせなら、畑に撒いてくれればいいのだけれど――
そう思ってから、ふと気づく。
最近、種を蒔いていない。
そこで、ひとつ新しい気持ちが湧いてきた。
手の中にある“軽い金属”と、“虹の種”。
これを使って、何かを育てるのは――
きっと、悪くない。
……だけど。
以前のような失敗は、したくない。
どうすればいいんだ?
種の革袋を覗いていると、ミナリーがやってきた。
「ふーん、種袋なんだ。どんな花があるの?」
……まだ、花を咲かせたことはない。
考えてみれば、“いろんな”種なのだろうか。
“虹の種”の個体差なんて、今まで気にも留めていなかった。
俺は袋の中身を、半分ほど取り出す。
掌から地面へ、静かに置いた。
ミナリーも一つ手に取っては、置いて、また別のものを見る。
ころころと、気ままに選んでいた。
そして――
俺にとっては、一瞬で背筋がひやりとすることを言い出した。
「これ、食べたら美味しいかしら?」
……いや。
俺も、最初はこいつらでお茶を飲んでいた。
しかも、種の中身は食べられると聞いたこともある。
そう考えれば――
食べたとしても、おかしくはない。
はずなのだが。
「水の精霊が、これを食べるのか……?」
「あたしたちは、飲んだりするのよ。味付けに、花の蜜とかね」
「そうか。蜜を、か……なるほど」
「でもね、種の中身をかき混ぜてから飲むのも、美味しいって聞いたわ」
……俺は、ミナリーからそっと種を取り返そうとした。
それを察したのか――
「あたしは、飲まないわよ! ……勝手には、ね」
そう言いながら、種を持ったまま、俺の手から逃げていく。
……あいつは、鳥か?
羽もあるしな。
やっぱり、周りを囲わないと駄目だろうか。
種も金属も、目の前に置いたまま考えていた。
どうすれば、新しい芽を出せるのかを。
外か、内か。
囲むとしても、薄い殻のようなものなら……問題ないかもしれない。
水の中で育てるのも、悪くはない。
そんな時、ミナリーが、すぅっとやってきた。
何も言わず、立方体の金属の上に、種を置く。
悪戯っ子のような笑みを浮かべて、そのまま去っていった。
……食べてないよな?
気になって、種を取り上げようとした、その瞬間だった。
種の表面が割れ、芽が顔を出し始めていた。
ミナリーの、おかげなのか?
それとも、水か。
金属か。
考える間もない。
もう、育ち始めている。
……これでは、前と同じだ。
そう思った。
でも、何かが違う。
芽の先に、黒い“眼”があった。
金属質の光沢を帯び、夕日を受けて、ぬらりと反射する。
生き物の眼のように、こちらの姿を虹彩に映しながら――
それは、見る見るうちに育っていった。
それは、金属で育っているのか……
それとも――
薄い金属の衣を、まとっているだけなのか。
判別はつかない。
ただ一つ確かなのは、
芽が伸びるたびに、金属が、少しずつ減っていくことだった。
双葉、三つ葉、四つ葉。
葉脈の一本一本までが銀色に輝き、瞬く間に広がる。
そして――
気づいた時には、俺と同じ背丈まで伸びていた。
咲いたのは、花が一輪だけ。
その中心に、巨大なひとつの“眼”が収まっていた。
ぎょろり、と眼球が動く。
パチリ、と瞬きをした。
意識を持っているとしか思えない、確かな意思。
その眼は、育ての親である俺を一瞬だけ映すと――
すぐに興味を失ったように視線を逸らし、じっと遠くを見つめ始めた。
そこは、白銀の光が満ちつつある、西の空だった。
パチリ、パチリと音を立てて飛び散る。
昔、どこかの山でドラゴンと殴り合ったときによく見た光景に似ていた。
「……なあ、じいさん。俺の家を壊すのはやめてくれ」
熱核魔法が、俺の家の壁にじわじわと穴を開けていた。
「じいさん、何がしたいんだ。もしその”軽い金属”が足りないなら、まだあるだろうから探してくるよ。だから、まずはその物騒な火を止めてくれ」
魔法を帯びていた白い瞳が、ぱちりと瞬く。
いつもの可愛らしい目に戻った。
「早く言わんかい」
……切り替えが雑すぎる。
それから俺は、以前“軽い金属”を見つけた滝の場所まで、じいさんを案内した。
どうやら、じいさんには作りたいものがあるらしい。
理由は聞いていない。
じいさんは、目をきらきらさせる。
俺が、「こっちにあるぞ」と教えるが――
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、じいさんは杖で地面をつつき、水音の向こうを覗き込んだ。
俺の指差しなど、最初から視界に入っていない。
まるで、宝探しでもするように。
じいさんは、嬉しそうに金属を探していた。
「わしもじゃが……勇者くんも、あの頃はこれに目もくれなかったな」
そう言われても、今の俺が、同じものを見ているとは思えない。
魔王城に、こんなものがあっただろうか。
――いや、あったのかもしれない。
ただ、俺は、真正面しか見ていなかった。
剣を振るう先だけを追って、足元も、脇も、見る余裕がなかった。
若さ、というより――
速さに慣れすぎていたんだな。
「では、行くかの」
その声と同時に、じいさんの瞳が、再び白く見開かれた。
地面が、震える。
滝が、悲鳴を上げるように砕け散った。
まるで、山の奥で眠っていたベヒモスが、喉を鳴らしたかのような音だった。
粉々になった土も、引き裂かれた水も、重さを忘れたように空中へと浮かび上がる。
そういえば昔、精霊魔法にまで精通しているのか、と聞いたことがあった。
「ただの物理魔法じゃ」
じいさんは、そう言っていた。
あの頃は、みんなで馬鹿みたいに褒めまくったな。
――ただ、それから誰も褒めなくなると、この魔法も使われなくなった。
俺は浮かび上がる土と水を見上げながら思った。
褒めておいたほうが、いいだろうか……と。
「勇者くん、今じゃ。引っ張り上げるんじゃ」
崩れた山肌の中に、“軽い金属”が埋まっていた。
――いや。
見た目だけなら、まったく軽そうには見えない。
土に半ば飲み込まれた、とても巨大な金属の塊だ。
俺は足を踏ん張り、両腕に力を込める。
土の抵抗が、じわりと腕に伝わってきた。
何とかそれを引き抜き、転がすようにして横へ降ろした。
これは一体……。
まるで、立方体の部屋ひとつが、そのまま埋もれていたようだった。
「じいさん。この部屋は、なんだ?」
振り返った時には、滝はもう直っていた。
少し形は違うが、さきほど壊した気配は、まるきり残っていない。
「じいさん凄いな……」
それは、思わず口からこぼれた、素直なひとことだった。
「さあ、家に持ち帰ろうか」
「いいや、ここでいいじゃろ。試したいことも、色々あるのでの」
じいさんは、杖で金属の表面に線を書き出していた。
「なんじゃ? 少し持って行くか?」
考えてみれば、どちらも道具だと言われた、この金属と種だ。
どちらも、自分なりに調べてみようと思い、少しだけもらうことにした。
金属の塊から、どう切り出すべきか――
マルチツールを手にした。
何の問題もない。
軽くパンを切るようにして、小さな立方体の金属を切り出す。
先ほどまで機嫌がよかったじいさんが、何やらぼそぼそと呟いた。
「選ばれし者はいいのう。これを、そんな簡単に切るのじゃから」
昔から、幾度となく聞いた、似たようなセリフだ。
……何だか、懐かしかった。
それだけ言うと、じいさんは金属の壁に向かっていった。
……まあ、何かあれば、呼べばいいか。
俺は、持った気にならないほどの“軽い金属”を片手に、そこを後にした。
家に帰ると、そこではトリスが駆け回っていた。
頭の上にミナリーを乗せているせいか、操縦されているようにも見える。
何をしに来たのかと聞いてみた。
「あ、なんだか火事というか……すごい音、しましたよね?」
「いいや、何にもないよ」
家の壁には穴が開き、焦げ跡も残っている。
匂いだって、まだしている。
だが、説明するのは面倒だった。
「火事なら、あたしに任せて」
ミナリーが腕をバッテンにする。
ポン、ポンと軽い音を立てながら、水玉が生まれて飛んでいった。
気づけば、至るところ水浸しだ。
どうせなら、畑に撒いてくれればいいのだけれど――
そう思ってから、ふと気づく。
最近、種を蒔いていない。
そこで、ひとつ新しい気持ちが湧いてきた。
手の中にある“軽い金属”と、“虹の種”。
これを使って、何かを育てるのは――
きっと、悪くない。
……だけど。
以前のような失敗は、したくない。
どうすればいいんだ?
種の革袋を覗いていると、ミナリーがやってきた。
「ふーん、種袋なんだ。どんな花があるの?」
……まだ、花を咲かせたことはない。
考えてみれば、“いろんな”種なのだろうか。
“虹の種”の個体差なんて、今まで気にも留めていなかった。
俺は袋の中身を、半分ほど取り出す。
掌から地面へ、静かに置いた。
ミナリーも一つ手に取っては、置いて、また別のものを見る。
ころころと、気ままに選んでいた。
そして――
俺にとっては、一瞬で背筋がひやりとすることを言い出した。
「これ、食べたら美味しいかしら?」
……いや。
俺も、最初はこいつらでお茶を飲んでいた。
しかも、種の中身は食べられると聞いたこともある。
そう考えれば――
食べたとしても、おかしくはない。
はずなのだが。
「水の精霊が、これを食べるのか……?」
「あたしたちは、飲んだりするのよ。味付けに、花の蜜とかね」
「そうか。蜜を、か……なるほど」
「でもね、種の中身をかき混ぜてから飲むのも、美味しいって聞いたわ」
……俺は、ミナリーからそっと種を取り返そうとした。
それを察したのか――
「あたしは、飲まないわよ! ……勝手には、ね」
そう言いながら、種を持ったまま、俺の手から逃げていく。
……あいつは、鳥か?
羽もあるしな。
やっぱり、周りを囲わないと駄目だろうか。
種も金属も、目の前に置いたまま考えていた。
どうすれば、新しい芽を出せるのかを。
外か、内か。
囲むとしても、薄い殻のようなものなら……問題ないかもしれない。
水の中で育てるのも、悪くはない。
そんな時、ミナリーが、すぅっとやってきた。
何も言わず、立方体の金属の上に、種を置く。
悪戯っ子のような笑みを浮かべて、そのまま去っていった。
……食べてないよな?
気になって、種を取り上げようとした、その瞬間だった。
種の表面が割れ、芽が顔を出し始めていた。
ミナリーの、おかげなのか?
それとも、水か。
金属か。
考える間もない。
もう、育ち始めている。
……これでは、前と同じだ。
そう思った。
でも、何かが違う。
芽の先に、黒い“眼”があった。
金属質の光沢を帯び、夕日を受けて、ぬらりと反射する。
生き物の眼のように、こちらの姿を虹彩に映しながら――
それは、見る見るうちに育っていった。
それは、金属で育っているのか……
それとも――
薄い金属の衣を、まとっているだけなのか。
判別はつかない。
ただ一つ確かなのは、
芽が伸びるたびに、金属が、少しずつ減っていくことだった。
双葉、三つ葉、四つ葉。
葉脈の一本一本までが銀色に輝き、瞬く間に広がる。
そして――
気づいた時には、俺と同じ背丈まで伸びていた。
咲いたのは、花が一輪だけ。
その中心に、巨大なひとつの“眼”が収まっていた。
ぎょろり、と眼球が動く。
パチリ、と瞬きをした。
意識を持っているとしか思えない、確かな意思。
その眼は、育ての親である俺を一瞬だけ映すと――
すぐに興味を失ったように視線を逸らし、じっと遠くを見つめ始めた。
そこは、白銀の光が満ちつつある、西の空だった。
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