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ロイドとマーサ、ぎこちない二泊三日の始まり
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カフェ・シャルルの扉が静かに開いた。
「お嬢さま。お屋敷からお呼びです」
振り向けば、アラン家の執事・オーリーが立っていた。
白髪混じりの短髪に、きりっとした背筋。
年配ながら、若い者以上に無駄がない立ち姿だ。
「……兄さまの家よね? 何かあったの?」
「お客様です。ロイド様がお嬢さまに、ぜひ紹介したいと」
「紹介……?」
オーリーは控えめに頷いた。
「ご婚約者とご一緒とのことです」
その言葉に、ソフィアは目を丸くした。
(ロイド兄に……婚約者!?)
⸻
シャルルが「にゃ?」と鳴き、
テーブルの上からひらりと降りる。
「……はいはい、あなたも行くのね」
ソフィアは笑いながら看板を裏返した。
《本日午後、不在です。パンと紅茶は明日また。》
⸻
アラン家の門前には、既に馬車が停まっていた。
磨き込まれた黒い車体。
それだけで“普通の来客”ではないと分かる。
扉のそばに立つのは、言うまでもなく――
兄、ロイド。
相変わらず無表情で、背も肩幅もとんでもなく大きい。
その隣に、小柄な令嬢が並んでいた。
淡いベージュのワンピース。
髪は上品にまとめられ、目線は俯きがち。
ふたりの距離は、妙にぎこちない。
まるで“無言の壁”があるかのように、間に空白がある。
⸻
アランが玄関から出てきて、ソフィアに目を留める。
「来てくれてよかった。紹介するよ」
「お兄さま……その、お相手は?」
アランが頷き、ロイドに目をやる。
ロイドも、無言でマーサに目線を送った。
そして、ようやく。
「……婚約者の、マーサ嬢だ」
ロイドの低く不器用な声に、
マーサがぺこりと頭を下げる。
「は、初めまして……マ、マーサです」
声が震えていた。
というより、ロイドの横にいるだけで、緊張で固まっているようだった。
ソフィアはふと気づく。
マーサの視線が、ロイドに向いた瞬間に、
ほんのわずか――体がすくんでいた。
(……怖がってるのね、たぶん)
でもその横で、ロイドの指先がわずかに震えていたのも、
ソフィアはちゃんと見ていた。
(お兄さま……たぶん、緊張してる)
⸻
シャルルが、ソフィアの足元からするりと前に出た。
ひょいっとロイドを見上げると、何も言わずにマーサの足元へ。
「……にゃ」
その一声に、マーサが目を見開いた。
「猫……!」
そっとしゃがみ込んで、手を伸ばす。
シャルルは逃げなかった。
(……あ。これは)
ソフィアは、ちいさく笑った。
(もしかしたら、猫が先に“仲良くなってくれる”かもしれない)
この家、ラブが溢れてて息ができない
マーサは緊張していた。
いや、さっきからずっとしていたのだけれど――
この家に入ってからの空気は、また別だった。
アラン邸の応接間。
明るい木目の床。差し込む陽光。
そして、その中心で――
「はい、ダーリン♡ お砂糖入れたわよ♪」
「ありがとう、マリーナ。君の入れてくれた紅茶は格別だよ」
ふたりの間に、光が飛んでいた。
見える。ラブのオーラが見える。
⸻
(新婚って……こ、こういうものなんですの?)
マーサが圧倒されていたとき――
マリーナ:「あ、やだ~! 私たち、新婚なんです♡ きゃ♡ 言っちゃった♡」
アラン:「……ふふ」
ロイド:「…………(紅茶を啜る音)」
マーサ:(お、落ち着いて……これは文化なの……たぶん……)
⸻
そして、その足元では――
「にゃあ♡」「にゃあ~♡」
猫が。
猫が2匹、鼻先をすり合わせている。
アラン邸の猫・キティと、ソフィアの猫・シャルル。
ふたりはくるくるとじゃれ合いながら、
そのままソファに並んで丸くなった。
⸻
ソフィア(紅茶を啜りながら):「……うちのシャルル、ここ来ると“恋人モード”になるのよね」
マリーナ:「うふふ、うちのキティも♡」
⸻
マーサ:(猫までいちゃいちゃしてる……)
ロイド:(…………)
マーサが横を向くと、
ロイドの耳がほんのり赤くなっていた。
(兄様……照れてる……?)
⸻
ソフィアがくすっと笑って言った。
「……この家、ちょっと濃いから、最初はびっくりするかも」
「そ、そうですわね……」
「でも、すぐ慣れるわよ。
むしろ、一緒にいると移るかもしれないわ。ラブが」
⸻
その瞬間、シャルルとキティがぴとっとくっついて、同時にこちらを見た。
「にゃっ」
「にゃーん」
マーサはなぜか、心臓が跳ねた。
焼き立てクロワッサンと、
焼けてる恋模様
アラン邸の昼下がり。
バターの香りと、紅茶の湯気。
そして――
「こちら、シナモンロールとクロワッサン、それから……この小さなパンは、子ども向けです」
バルツアーが、いつもの静かな表情で、
紙袋からパンを差し出した。
「わあ……ありがとう、バルツアー様!」
ソフィアが思わず顔を綻ばせて、手を伸ばす。
その手を、彼がそっと支えた。
「熱いので、気をつけて」
「……ん。ありがとう」
何気ないやりとり。
けれど、ほんの少し指が触れただけで、
ソフィアの耳が赤く染まった。
アラン(心の声):「……おいおい、ここにも新婚か」
⸻
マリーナはにこにこ笑いながら、
トングでパンを皿に取り分けていた。
「みんなで食べましょうね。今日はパン祭りです♡」
そこへ――
バタバタバタッ!!
玄関が勢いよく開き、
元気いっぱいの子どもたちがなだれ込んでくる。
「ソフィアせんせー!」
「パンの匂いがしたー!!」
「おにいちゃん(ロイド)もいるー!」
ロイド:「……ぅわ」
マーサ:「きゃっ」
⸻
ソファが埋まり、
テーブルがにぎやかに揺れ、
シャルルとキティが棚の上に避難する。
マリーナ:「ふふ、にぎやかでいいわね♡」
アラン:「もう、パンが足りないぞ」
⸻
バルツアーが、追加の袋を差し出す。
「……まだあります」
「さすがです!」
ソフィアが笑顔でぱんぱんと手を叩き、
子どもたちが列を作る。
バルツアーの隣に、自然に立つソフィア。
その距離が、
さっきよりほんの少し近い気がした。
テーブルにパンの香りが立ちのぼり、
紅茶の湯気がほわりと揺れた午後三時。
子どもたちが「わあい!」と声を上げながら、
それぞれ“お気に入りの膝”を目指して突撃する。
⸻
「ロイドおにいちゃん~!」
「バルツアーさま~!」
⸻
ドスン。
ガシッ。
まるで自然の摂理のように、
ロイドとバルツアーの膝に、
それぞれ子どもが1人ずつぴたりと収まった。
⸻
ロイド:「……重くないか?」
子ども:「へーき! それより、このパンおいしー!」
ロイドが無言でちぎったクロワッサンを渡すと、
子どもが口いっぱいに頬張る。
その様子に、ほんの少しだけロイドの頬が緩んだ。
⸻
一方、バルツアーの膝には、くるくる巻き毛の小さな女の子。
「これ、なぁに?」
「シナモンロールだ。甘い。熱いから、少し待って」
言いながら、
指先でパンをふうふうと冷まして差し出す。
「……ありがと、バルツアーさま。
バルさま、だいすきー」
「……そうか」
感情を表に出さないはずの彼の声が、
いつもよりほんの少しだけ、柔らかく響いた。
⸻
アラン:「よし、紅茶も淹れたぞー。大人用と、子ども用と、両方な」
マリーナ:「わたし、砂糖とミルク持ってくるね♡」
ソフィア:「じゃあ、お皿追加するわね」
⸻
テーブルのまわりがどんどんにぎやかになっていく。
マーサは最初こそ緊張していたものの、
今では子どもたちの笑顔に自然と微笑んでいた。
ロイドの膝でパンを食べる子どもに、
「ゆっくり噛んでね」と小さく声をかけていた。
(この空気……すてき)
⸻
ソフィアはシャルルを抱きながら、
くすくすと笑った。
この町の午後三時は、
パンと紅茶と、にぎやかな笑い声と――
そして、“大きな手で子どもを受け止める男たち”の優しさで、できている。
「お嬢さま。お屋敷からお呼びです」
振り向けば、アラン家の執事・オーリーが立っていた。
白髪混じりの短髪に、きりっとした背筋。
年配ながら、若い者以上に無駄がない立ち姿だ。
「……兄さまの家よね? 何かあったの?」
「お客様です。ロイド様がお嬢さまに、ぜひ紹介したいと」
「紹介……?」
オーリーは控えめに頷いた。
「ご婚約者とご一緒とのことです」
その言葉に、ソフィアは目を丸くした。
(ロイド兄に……婚約者!?)
⸻
シャルルが「にゃ?」と鳴き、
テーブルの上からひらりと降りる。
「……はいはい、あなたも行くのね」
ソフィアは笑いながら看板を裏返した。
《本日午後、不在です。パンと紅茶は明日また。》
⸻
アラン家の門前には、既に馬車が停まっていた。
磨き込まれた黒い車体。
それだけで“普通の来客”ではないと分かる。
扉のそばに立つのは、言うまでもなく――
兄、ロイド。
相変わらず無表情で、背も肩幅もとんでもなく大きい。
その隣に、小柄な令嬢が並んでいた。
淡いベージュのワンピース。
髪は上品にまとめられ、目線は俯きがち。
ふたりの距離は、妙にぎこちない。
まるで“無言の壁”があるかのように、間に空白がある。
⸻
アランが玄関から出てきて、ソフィアに目を留める。
「来てくれてよかった。紹介するよ」
「お兄さま……その、お相手は?」
アランが頷き、ロイドに目をやる。
ロイドも、無言でマーサに目線を送った。
そして、ようやく。
「……婚約者の、マーサ嬢だ」
ロイドの低く不器用な声に、
マーサがぺこりと頭を下げる。
「は、初めまして……マ、マーサです」
声が震えていた。
というより、ロイドの横にいるだけで、緊張で固まっているようだった。
ソフィアはふと気づく。
マーサの視線が、ロイドに向いた瞬間に、
ほんのわずか――体がすくんでいた。
(……怖がってるのね、たぶん)
でもその横で、ロイドの指先がわずかに震えていたのも、
ソフィアはちゃんと見ていた。
(お兄さま……たぶん、緊張してる)
⸻
シャルルが、ソフィアの足元からするりと前に出た。
ひょいっとロイドを見上げると、何も言わずにマーサの足元へ。
「……にゃ」
その一声に、マーサが目を見開いた。
「猫……!」
そっとしゃがみ込んで、手を伸ばす。
シャルルは逃げなかった。
(……あ。これは)
ソフィアは、ちいさく笑った。
(もしかしたら、猫が先に“仲良くなってくれる”かもしれない)
この家、ラブが溢れてて息ができない
マーサは緊張していた。
いや、さっきからずっとしていたのだけれど――
この家に入ってからの空気は、また別だった。
アラン邸の応接間。
明るい木目の床。差し込む陽光。
そして、その中心で――
「はい、ダーリン♡ お砂糖入れたわよ♪」
「ありがとう、マリーナ。君の入れてくれた紅茶は格別だよ」
ふたりの間に、光が飛んでいた。
見える。ラブのオーラが見える。
⸻
(新婚って……こ、こういうものなんですの?)
マーサが圧倒されていたとき――
マリーナ:「あ、やだ~! 私たち、新婚なんです♡ きゃ♡ 言っちゃった♡」
アラン:「……ふふ」
ロイド:「…………(紅茶を啜る音)」
マーサ:(お、落ち着いて……これは文化なの……たぶん……)
⸻
そして、その足元では――
「にゃあ♡」「にゃあ~♡」
猫が。
猫が2匹、鼻先をすり合わせている。
アラン邸の猫・キティと、ソフィアの猫・シャルル。
ふたりはくるくるとじゃれ合いながら、
そのままソファに並んで丸くなった。
⸻
ソフィア(紅茶を啜りながら):「……うちのシャルル、ここ来ると“恋人モード”になるのよね」
マリーナ:「うふふ、うちのキティも♡」
⸻
マーサ:(猫までいちゃいちゃしてる……)
ロイド:(…………)
マーサが横を向くと、
ロイドの耳がほんのり赤くなっていた。
(兄様……照れてる……?)
⸻
ソフィアがくすっと笑って言った。
「……この家、ちょっと濃いから、最初はびっくりするかも」
「そ、そうですわね……」
「でも、すぐ慣れるわよ。
むしろ、一緒にいると移るかもしれないわ。ラブが」
⸻
その瞬間、シャルルとキティがぴとっとくっついて、同時にこちらを見た。
「にゃっ」
「にゃーん」
マーサはなぜか、心臓が跳ねた。
焼き立てクロワッサンと、
焼けてる恋模様
アラン邸の昼下がり。
バターの香りと、紅茶の湯気。
そして――
「こちら、シナモンロールとクロワッサン、それから……この小さなパンは、子ども向けです」
バルツアーが、いつもの静かな表情で、
紙袋からパンを差し出した。
「わあ……ありがとう、バルツアー様!」
ソフィアが思わず顔を綻ばせて、手を伸ばす。
その手を、彼がそっと支えた。
「熱いので、気をつけて」
「……ん。ありがとう」
何気ないやりとり。
けれど、ほんの少し指が触れただけで、
ソフィアの耳が赤く染まった。
アラン(心の声):「……おいおい、ここにも新婚か」
⸻
マリーナはにこにこ笑いながら、
トングでパンを皿に取り分けていた。
「みんなで食べましょうね。今日はパン祭りです♡」
そこへ――
バタバタバタッ!!
玄関が勢いよく開き、
元気いっぱいの子どもたちがなだれ込んでくる。
「ソフィアせんせー!」
「パンの匂いがしたー!!」
「おにいちゃん(ロイド)もいるー!」
ロイド:「……ぅわ」
マーサ:「きゃっ」
⸻
ソファが埋まり、
テーブルがにぎやかに揺れ、
シャルルとキティが棚の上に避難する。
マリーナ:「ふふ、にぎやかでいいわね♡」
アラン:「もう、パンが足りないぞ」
⸻
バルツアーが、追加の袋を差し出す。
「……まだあります」
「さすがです!」
ソフィアが笑顔でぱんぱんと手を叩き、
子どもたちが列を作る。
バルツアーの隣に、自然に立つソフィア。
その距離が、
さっきよりほんの少し近い気がした。
テーブルにパンの香りが立ちのぼり、
紅茶の湯気がほわりと揺れた午後三時。
子どもたちが「わあい!」と声を上げながら、
それぞれ“お気に入りの膝”を目指して突撃する。
⸻
「ロイドおにいちゃん~!」
「バルツアーさま~!」
⸻
ドスン。
ガシッ。
まるで自然の摂理のように、
ロイドとバルツアーの膝に、
それぞれ子どもが1人ずつぴたりと収まった。
⸻
ロイド:「……重くないか?」
子ども:「へーき! それより、このパンおいしー!」
ロイドが無言でちぎったクロワッサンを渡すと、
子どもが口いっぱいに頬張る。
その様子に、ほんの少しだけロイドの頬が緩んだ。
⸻
一方、バルツアーの膝には、くるくる巻き毛の小さな女の子。
「これ、なぁに?」
「シナモンロールだ。甘い。熱いから、少し待って」
言いながら、
指先でパンをふうふうと冷まして差し出す。
「……ありがと、バルツアーさま。
バルさま、だいすきー」
「……そうか」
感情を表に出さないはずの彼の声が、
いつもよりほんの少しだけ、柔らかく響いた。
⸻
アラン:「よし、紅茶も淹れたぞー。大人用と、子ども用と、両方な」
マリーナ:「わたし、砂糖とミルク持ってくるね♡」
ソフィア:「じゃあ、お皿追加するわね」
⸻
テーブルのまわりがどんどんにぎやかになっていく。
マーサは最初こそ緊張していたものの、
今では子どもたちの笑顔に自然と微笑んでいた。
ロイドの膝でパンを食べる子どもに、
「ゆっくり噛んでね」と小さく声をかけていた。
(この空気……すてき)
⸻
ソフィアはシャルルを抱きながら、
くすくすと笑った。
この町の午後三時は、
パンと紅茶と、にぎやかな笑い声と――
そして、“大きな手で子どもを受け止める男たち”の優しさで、できている。
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