『悪役令嬢に仕立て上げられたけど、猫カフェを開いたら辺境伯が通ってきます』

夢窓(ゆめまど)

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『タキシード、特注×4。ドレス、涙のひらひら回避。』

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ソフィア視点(リハーサル当日)

式の前日。
王都の格式高い教会で、リハーサルが行われる日が来た。

ロイド兄とマーサさん、
そして、私とバルツアー様。

晴れの舞台に向けて、堂々と並ぶはずが――

 

 想像以上に、でかい 

 

式場の中央に立つ、ロイド兄とバルツアー様。

その後ろに並ぶ私とマーサさん。

 

神父様:「……少々、間隔が……詰まりすぎておりまして……」

式場スタッフ:「あの、カメラマンが……入り込めないと申しております」

シャルル:「にゃ(= つまってる)」

 

アラン(袖で見学中):「うちの兄たち、並ぶと壁みたいだな」

マリーナ:「いやもう、祭壇が見えないのよね……完全に“筋肉の壁”」

 

式場の責任者が、メモを片手に頭を抱える。

「……座る椅子のサイズも、再調整を……あと祭壇の段差を上げてバランスを……」

 

そして――

タキシードが、まさかの“特注品”だったことが発覚。

 

ソフィア:「兄さまのも、バルツアー様のも……丈、全然足りなかったんですね」

マーサ:「お袖が、パツパツで破れるかと……」

スタッフ:「通常サイズでは……まったく……無理で……」

 

2人分のタキシードは、
革靴も含め、完全に“戦闘服サイズ”で仕立て直し済み。

 

バルツアー:「……着てみたら、動きやすかった」

ロイド:「……軽い」

ソフィア&マーサ:「そ、そこ!? 感想そこですか!?」

 

そして、一同がようやく並んだ祭壇。

やっと並べた……けど、
正面から見ると――

 

アラン:「……なにこの“絵面の圧”」
マリーナ:「いや、イケメンなんだけど。重厚感が軍事パレード」
司会者:「……感動系のBGM、変更しますかね?」

 

それでも、ソフィアはそっと呟く。

ソフィア:「でも、安心感はすごいです」

バルツアー(耳が赤い):「……同意だ」

 

そしてシャルルが、リハーサル用リングの箱を咥えて登場。

キティがベールの裾を持って、ふんわり歩く。

 

スタッフ:「あ、猫が一番安定してますね」

 

『明日、夫婦になるけれど――今夜、あなたに求婚します』

ソフィア視点(式前夜)

明日、私はバルツアー様と結婚する。
式の準備も終わって、皆も帰って、夜は静かに深まっていく。

けれど、
どこか胸の奥が、まだざわついていた。

(……このままじゃ、だめな気がする)



扉を叩く音がして、
彼が、静かに私の前に立っていた。

白いシャツ姿のまま、ネクタイも外していて、
けれど瞳だけは、いつもよりずっと真剣だった。



「ソフィア」

「……はい」

「明日、私たちは結婚する」

「……はい」

「でも、私は――まだ、正式に、あなたに求婚していなかった」



息が、止まりそうになった。

バルツアー:「……それではいけないと思ったんだ」



「初めてあなたを見たときから、私はあなたが好きだった」

「真っ直ぐで、気高くて――」

「紅茶を入れる手も、猫を抱く姿も、全部、美しかった。ひと目ぼれです。」



「だから私は、あなたに」

「結婚していただきたいのです」



「ただ流れの中で結ばれるのではなく、
 私の意志として、あなたを妻に迎えたい」

「……一生かけて、あなたを幸せにします」



沈黙。
夜風が、カーテンを揺らす音がやけに大きく響く。

私は、喉が熱くて、言葉が出てこなかった。
でも、確かに笑っていたと思う。



ソフィア:「――遅いです」
「もっと早く、言ってくれたら、心の準備が……できたのに」

バルツアー:「……すまない」

ソフィア:「でも……うれしいです」
「はい、喜んで――あなたの妻になります」



彼の手が、そっと私の手を包んだ。

そして、ぎゅ、と抱きしめられた。



「……では、明日、誓いましょう」
「改めて、“ふたりの意志”で、夫婦になることを」

『いよいよ今日、あなたの隣に立ちます』

ソフィア視点(結婚式の朝)

――朝。
カーテン越しの光が、やけにまぶしくて。

まだ夢の中にいるような感覚のまま、
侍女さんたちに「お目覚めですよ!」と声をかけられた。

(……今日なんだ。今日、私は――)

結婚する。



■ 朝のバタバタと“磨かれ”

ドレスに映えるようにと、
髪も、肌も、笑顔も、ピカピカに磨かれる。

マリーナ:「はい、顔、あげて! チーク入れます!」
侍女:「レースの仕上げ、よし!」
シャルル:「にゃっ!(=確認済)」

私は鏡の中の自分に、ぎこちなく笑った。

(……ちゃんと、花嫁に見える?)



■ マーサは別邸から

マーサさんは、侯爵家の自宅から直接来る。
だから今日は別行動だけど、昨夜届いた手紙にこうあった。

「お姉さま、きっと私たち世界一きれいですわ♡」
(……そんな、そんなこと……)

でも、ちょっとだけ嬉しかった。



■ 父とヴァージンロード

そして。

父が迎えに来た。
いつもは無骨な父が、今日は――緊張している。

昨日のリハーサルで、右手と右足が同時に出てたこと、
ソフィアは知っている。

ソフィア:「……がんばって、お父様」

父:「うむ……!(背筋ピン)」

(その声で、すこし背筋を伸ばしてくれたの、嬉しかった)



■ 式場は筋肉まつり

式場には、すでに大勢が集まっていた。

公爵家、侯爵家、そして辺境伯家。
王家からも使節が参列し、
騎士団の面々もフル参加。

筋肉、筋肉、筋肉――!

(圧がすごい……!)



■ でも新郎新婦はホワホワ

壇上に立つ、ロイド兄とマーサさんは――
相変わらず、目を合わせて赤くなっていた。

そしてその隣。
私の視線の先には、
タキシードに身を包んだバルツアー様。

胸に小さな白い花。
いつもより少しだけやわらかく、微笑んでいた。

(あの笑顔を、これからは――私の隣で見られるんだ)



父の腕に手を添え、歩き出す。

右手、左足――
ちゃんとリズムよく。

私たちの始まりの日が、
静かに、でも確かに、幕を開けた。

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