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第9話「恋より筋肉。甘い言葉よりプロテイン」──王子からの贈り物はまさかのアレ
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──ユリウス王子がくれた贈り物、それは香水でも花束でもない、衝撃の“あれ”!?
舞踏演習の翌日、私の元にまたしても王子からの届け物が届いた。
まさか、バラの花束? 香水? もしかして指輪とか?
──違った。
「これ……プロテイン?」
箱を開けた瞬間、ほのかに香ばしいバニラと抹茶の香りがした。
そこには、王家御用達の特製プロテインパウダーが、金のラベルで鎮座していた。
添えられた手紙には、こうあった。
“筋肉を育てる貴女へ、
甘い言葉より、こちらのほうが喜ばれるかと思いまして。
どうか良き筋肉ライフを。”
ーユリウス
……え、ちょっと待って。推せるんですけど。
普通の王子なら、ジュエリーショップで「女性向けギフトセット」を選ぶところ。
でもこの人は、筋肉という共通言語で語ってきた。
「くっ……こんなので……キュンとしないぞ私……!」
揺れる心をなだめるように、私は台所へ行き、プロテインを豆乳で割った。
くいっ。
「……美味い。なにこれ、ちゃんと溶けるし、飲みやすいし……」
だが、その後ふと思った。
「でもさ……プロテインって、“体幹を整える助け”ではあるけど……」
一度、深く息を吐く。
「それだけじゃ、愛にはならないんだよな……」
筋肉は正義。
努力は報われる。
けど、恋っていうやつは――理屈じゃない。
プロテインの甘さが、なんだか切なかった。
「私、まだ恋とか愛とか、よく分かってないのかもしれない……」
そして私は気づく。
筋肉は私を裏切らない。
でも、私自身が、恋に怯えている。
過去の婚約破棄。
あのときの空虚。
だからこそ、筋肉にすがった。
「体幹が整えば、軸は立つ。けど……心の支えには、ならないかもしれない」
──それでも、もう逃げない。
私はこのまま筋肉も愛も、両方向き合う。
まずは、もう一杯。プロテインを飲み干す。
舞踏演習の翌日、私の元にまたしても王子からの届け物が届いた。
まさか、バラの花束? 香水? もしかして指輪とか?
──違った。
「これ……プロテイン?」
箱を開けた瞬間、ほのかに香ばしいバニラと抹茶の香りがした。
そこには、王家御用達の特製プロテインパウダーが、金のラベルで鎮座していた。
添えられた手紙には、こうあった。
“筋肉を育てる貴女へ、
甘い言葉より、こちらのほうが喜ばれるかと思いまして。
どうか良き筋肉ライフを。”
ーユリウス
……え、ちょっと待って。推せるんですけど。
普通の王子なら、ジュエリーショップで「女性向けギフトセット」を選ぶところ。
でもこの人は、筋肉という共通言語で語ってきた。
「くっ……こんなので……キュンとしないぞ私……!」
揺れる心をなだめるように、私は台所へ行き、プロテインを豆乳で割った。
くいっ。
「……美味い。なにこれ、ちゃんと溶けるし、飲みやすいし……」
だが、その後ふと思った。
「でもさ……プロテインって、“体幹を整える助け”ではあるけど……」
一度、深く息を吐く。
「それだけじゃ、愛にはならないんだよな……」
筋肉は正義。
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けど、恋っていうやつは――理屈じゃない。
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「体幹が整えば、軸は立つ。けど……心の支えには、ならないかもしれない」
──それでも、もう逃げない。
私はこのまま筋肉も愛も、両方向き合う。
まずは、もう一杯。プロテインを飲み干す。
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