『白い結婚のはずでしたが、夫の“愛”が黒い。 限界突破はお手柔らかに!』

夢窓(ゆめまど)

文字の大きさ
22 / 25

王宮ロビー:登場した瞬間 公爵夫妻

しおりを挟む
王宮ロビー:登場した瞬間に空気が変わる

王宮の大広間前。
重い扉が開き、二人が歩み出た瞬間――

ざわっ……!

臣下
「……あれは?」
「まさかシーラン男爵夫妻か?」
「美しすぎる……!」

タイロンはいつもより少しだけ胸を張り、
ジュディは赤いドレスに小さな緊張を抱えながら、
しかし完璧な淑女として隣を歩く。

ふたりの距離は自然に近い。
指先が触れそうで触れない。

ただ歩いているだけなのに、絵になりすぎる。

◆外務大臣が見つけて叫ぶ

外務大臣
「おおおお……!! これは……!
本物の夫婦だこれ!!」

周囲
「確かに……!」
「息ぴったりだな……!」
「こんなに似合う夫婦、他にいないぞ!」

外務大臣
「いや、もう“白い結婚”とか絶対ウソでしょう!
堂々たるベストカップルだ!!」

ジュディ、真っ赤になる

ジュディ
「ちょ、ちょっと! 私たち仮の夫婦で……!」

外務大臣
「どこが!!」
「その距離感、その雰囲気、
“旦那が奥様を一生守る気満々”の顔じゃないか!」

ジュディ
「(え?顔に出てるの!?)」

タイロン
「……奥様が美しいので、仕方ありません」

外務大臣
「ほらぁぁぁああああ!!!
愛してるやんけ!!!!」

◆完全に本物扱いされる

その場の全員の認識が一致する。

【これは理想の夫婦だ】

臣下A
「本当に……夫婦そのものですね」

臣下B
「誰も疑わないな……」

侍女たち
「素敵……」
「奥様、幸せそう……」

ジュディ(心の声)
(ちょっ……待って……そんな……!)

タイロン(小声)
「……嬉しいです」

ジュディ
「え……?」

タイロン
「“夫婦”に見られることが、です。
奥様が否定しないなら……なおさら」

ジュディ
「~~~っ!!」
(理性が死ぬのは私のほうよ!)




嫉妬したタイロンの“限界突破フラグ”

(王宮帰りの馬車)

馬車の扉が閉まった瞬間、
さっきまで余裕だったタイロンの表情が、
一瞬で険しくなる。

タイロン
「……あの公爵、奥様に近すぎませんでした?」

ジュディ
「え? 仕事の話よ。いつものこと」

タイロン
「それでも……あんなに近寄られると……」

ジュディ
「嫉妬?」

タイロン
「……っ、してはいけませんか」

その声がいつもより低い。
ジュディの胸が一瞬だけ跳ねた。

でも――

ジュディ
「だめよ」

タイロン
「……どうして?」

ジュディ、両腕を組んで、
むすっとした顔で言い放つ。

ジュディ
「指輪もらってない。」

タイロン
「………………は?」

ジュディ
「白い結婚でしょう?
指輪も、誓いも、
白いドレスも、
サンセットキスも、
してなーーーい!」

タイロン
「(サンセット……キス!?)」

ジュディ
「そんな状態で嫉妬とか、ありえないわ。
まず責任を取りなさい。形からでも!」

タイロン、完全に固まる。

次の瞬間――

タイロン
「……わかりました。指輪ですね」

ジュディ
「えっ?」

タイロン
「では、誓いは?
白いドレスの日取りも決めましょうか。
サンセットキスは……海ですか?丘ですか?」

ジュディ
「ちょ、ちょっと待って!?
な、なんでフルコースで来るのよ!?」

タイロン
「奥様が“全部ほしい”とおっしゃったので」

ジュディ
「欲しいなんて言ってない!!
ただ……ロマンが……その……!」

タイロン
「“ロマンが欲しい”……と?」

ジュディ
「……っ!!」

耳まで真っ赤になるジュディ。

タイロンは、ふっと微笑んだ。

タイロン
「奥様。
嫉妬していいように、
一つずつ、私に準備させてください」

ジュディ
「~~~~!!」

馬車の中、
限界突破寸前の二人の熱が満ちる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

君が幸せになりたくなくても

あんど もあ
ファンタジー
来年には王立学園を卒業する伯爵家嫡男のライアンは、いい加減に婚約者を見つけないといけない。そんなライアンが新入生のクリスティナを好きになって婚約するのだが、実はクリスティナは過去の罪の贖罪のために生きていた。決して喜びや楽しさを求めず、後ろ向きに全力疾走しているクリスティナにライアンは……。

どんなあなたでも愛してる。

piyo
恋愛
遠征から戻った夫の姿が変わっていたーー 騎士である夫ディーノが、半年以上の遠征を終えて帰宅した。心躍らせて迎えたシエラだったが、そのあまりの外見の変わりように失神してしまう。 どうやら魔女の呪いでこうなったらしく、努力しなければ元には戻らないらしい。果たして、シエラはそんな夫を再び愛することができるのか? ※全四話+後日談一話。 ※毎日夜9時頃更新(予約投稿済)&日曜日完結です。 ※なろうにも投稿しています。

精霊姫の追放

あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。 「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

『白い結婚』が好条件だったから即断即決するしかないよね!

三谷朱花
恋愛
私、エヴァはずっともう親がいないものだと思っていた。亡くなった母方の祖父母に育てられていたからだ。だけど、年頃になった私を迎えに来たのは、ピョルリング伯爵だった。どうやら私はピョルリング伯爵の庶子らしい。そしてどうやら、政治の道具になるために、王都に連れていかれるらしい。そして、連れていかれた先には、年若いタッペル公爵がいた。どうやら、タッペル公爵は結婚したい理由があるらしい。タッペル公爵の出した条件に、私はすぐに飛びついた。だって、とてもいい条件だったから!

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※「なろう」にも重複投稿しています。

悪女の最後の手紙

新川 さとし
恋愛
王国を揺るがす地震が続く中、王子の隣に立っていたのは、婚約者ではなかった。 人々から「悪女」と呼ばれた、ひとりの少女。 彼女は笑い、奪い、好き勝手に振る舞っているように見えた。 婚約者である令嬢は、ただ黙って、その光景を見つめるしかなかった。 理由も知らされないまま、少しずつ立場を奪われ、周囲の視線と噂に耐えながら。 やがて地震は収まり、王国には安堵が訪れる。 ――その直後、一通の手紙が届く。 それは、世界の見え方を、静かに反転させる手紙だった。 悪女と呼ばれた少女が、誰にも知られぬまま選び取った「最後の選択」を描いた物語。 表紙の作成と、文章の校正にAIを利用しています。

処理中です...