八百屋王女、なんの冗談ですか?ーー行方不明のパパが国王でした!?

夢窓(ゆめまど)

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エドウィンとランディ

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その後――夢のような悪夢
エドウィンの誘惑
ダンスが終わり、ビクトリアとランディがフロアを離れた直後。
エドウィンが、すっと立ち上がった。
側近が、驚いて声をかける。
「殿下?」
エドウィンは答えず、まっすぐランディに向かって歩いていく。

会場が、ざわついた。
「え……?」
「王子が、護衛に……?」
そして――
エドウィンは、ランディの前で立ち止まった。
「ランディ」
「……はい?」
ランディが、戸惑った顔で振り返る。
エドウィンは、真顔で言った。
「俺と、踊ってくれ」
会場が、凍りついた。

女子たち、限界突破
「…………え?」
誰かが、小さく呟いた。
次の瞬間――
立てなかった令嬢たちが、一斉に立ち上がった。
「これは……」
「見逃せない……!」
「這ってでも、見る……!」
セリーヌも、壁にもたれかかりながら立ち上がる。
膝は笑っている。足に力は入らない。
だが――
これを逃しては、一生後悔する。
「無理……でも、見る……!」
令嬢たちは、よろよろとフラフラと、壁や椅子に掴まりながら、必死で視線をフロアに向けた。


音楽隊、空気を読む
音楽隊のリーダーが、素早く指示を出した。
「……タンゴだ」
「え?」
「いいから、タンゴ!」
楽団員たちは、一瞬戸惑ったが――
すぐに理解した。

これは、歴史的瞬間だ。
情熱的で、官能的で、圧倒的な――
タンゴ。
音楽が、鳴り響いた。

二人のダンス
ランディは、少しだけ困惑していた。
「殿下……本気ですか?」
「本気だ」
エドウィンは、真顔で手を差し出した。
ランディは、ため息をついて――
その手を取った。
「……分かりました」
音楽が、始まる。
二人が、動き出した。
会場の空気が、一変した。

耽美なる瞬間
エドウィンのリードは、大胆だった。
力強く、情熱的で、それでいて優雅。
一方、ランディは――
色気が、止まらなかった。
体の動きは流れるように滑らかで、視線は憂いを帯び、指先の動きまでもが艶やかだった。
二人のステップが、床を踏む音だけが響く。

タン、タン、タン――

その音が、まるで心臓の鼓動のように会場に響き渡る。
エドウィンが、ランディを引き寄せる。
ランディが、身を任せる。
回転。
静止。
視線が、交わる。

会場の女性たち、限界突破。
「はぁ……」
「ぐふ……」
「……っ」
異様なため息が、あちこちから漏れる。
だが、誰も――
誰一人として、倒れなかった。

倒れたら、見られない。
だから、必死で意識を保つ。

よろめきながら、壁にもたれかかりながら、椅子に掴まりながら――
全員が、食い入るように見つめていた。

セリーヌの心の叫び
セリーヌは、もはや言葉にならなかった。
(なんなの……これ……)
エドウィン殿下が、あんなに情熱的だなんて。
ランディが、あんなに色っぽいなんて。
そして――
二人が、あまりにも美しすぎる。
「……っ」
セリーヌは、膝が震えるのを必死で抑えた。

これは、夢? 現実?
分からない。
でも――
見届けなければ。

ハリスとマリカの反応
ハリスは、遠くで呆れた顔をしていた。
「……あいつ、何やってんだ」

マリカが、困惑した顔で答える。
「さあ……?」
「王子と踊るって、どういうことだよ」
「でも、美しいですね」
「……それは、認める」
ハリスは、ため息をついた。

ビクトリアの反応
ビクトリアは、少し離れた場所で紅茶を飲んでいた。
「……ランディ、楽しそうだね」
マリカが、驚いて振り返る。
「え? 殿下、気にならないんですか?」
「何が?」
「……いえ、なんでも」
マリカは、諦めた。
この方、本当に何も気にしてない……

ダンス、終幕
音楽が、最高潮に達する。
エドウィンとランディが、最後のステップを踏む。
そして――
静止。
二人の視線が、交わる。
その瞬間。
会場の女性たち、完全にノックアウト。
「ああ……」
バタバタと、令嬢たちが倒れていく。
もはや、意識を保つことができなかった。
セリーヌも、静かに膝をついた。
「……見届けた……」
そして、そのまま倒れた。

音楽、終了
音楽が、止んだ。
会場には、拍手が――
起こらなかった。
なぜなら――
女性たちが、ほぼ全員倒れていたから。
男性貴族たちは、唖然としていた。
「……なんだ、これ」
「女性陣、全滅してるぞ」
「というか、王子と護衛が踊るって……」
誰も、状況を理解できていなかった。

エドウィンとランディ
エドウィンは、静かに笑った。
「ありがとう」
ランディは、ため息をついた。
「……殿下、これ、後でどうなるか分かってますか?」
「分かってる」
「本当に?」
「ああ」
エドウィンは、楽しそうに言った。
「面白かった」
ランディは、呆れた顔をした。
「……王子って、大変ですね」
「お前もな」
二人は、静かにフロアを離れた。

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