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『王家大混乱!──そして、香り比べ&勝者は誰?』
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王宮・庭園奥の泉
王子が駆けつけた時、そこには確かにいた。
近衛騎士アルファルの傍らに立つ、ジニー。
距離は、寄り添うには充分近く――見ようによっては、抱き合っているようにすら見えた。
「……何をしている」
低く冷えた声に、二人が振り向く。
アルファルは慌てて距離を取り、片膝をつくが、王子の視線はジニーだけに注がれていた。
「私を……疑うのですね」
ジニーの声は震えていた。
「見れば分かる」
「では、証明します。命にかけて」
次の瞬間、ジニーはドレスの裾も構わず泉の縁へと駆け――
ドボンッ!
大きな水しぶきが、月光に銀色の弧を描く。
泉は古くから“自殺の名所”と呼ばれてきた場所。
底は深く、一度沈めば二度と浮かび上がらないと恐れられている。
「ジニー!」
王子が叫び、アルファルも飛び込もうと身を乗り出す。
しかし――水面はすぐに静まり返った。
泡も、影も、もうどこにもない。
「……くそっ!」
王子の怒鳴り声が庭に響く。
その夜、宮廷に駆け巡ったのは、
“即妃ジニー、泉に身を投げ行方不明”という衝撃の報だった。
王宮・謁見の間
「……即妃が、泉に?」
王の声が低く響く。
報告に駆け込んだ近衛が、汗まみれで跪いた。
「はい……水面は静まり返り、未だ捜索の手掛かりは――」
「何をしていた!」
玉座から立ち上がった王が叫ぶ。
「護衛は! 見張りは! どうして一人にした!」
神殿の高位神官たちも顔色を変える。
「これはまずい……式典の祝福も滞ったまま、聖女も行方不明……」
「このままでは、即位の条件どころか、王家の威信が――」
ざわめきは瞬く間に広がり、誰も収拾がつけられない。
泉のほとり
アルファルは全身ずぶ濡れのまま、繰り返し潜った。
何度も、何度も。
肺が焼けるように痛くても、まだ潜る。
「……いない……!」
膝をつき、拳で地面を叩く。
頭の中には、王子の怒りと、ジニーの笑顔が交互に浮かんだ。
(俺が……守れなかった……)
何日も、ひたすら潜って探して、
見つからないと、諦めた、アルファル。
誰に告げることもなく、アルファルは立ち上がる。
泉の縁に歩み寄り、静かに目を閉じた。
「……待っててくれ」
月明かりの下、ひとすじの影が水面に吸い込まれていく。
そして二度と浮かび上がらなかった。
王宮・緊急会議室
夜半、王宮の廊下は人の往来で騒然としていた。
ジニーの捜索隊から戻った兵が、息を切らせて報告する。
「……た、たった今……アルファル騎士も……泉に……!」
「は?」
一瞬、全員の思考が止まった。
「どういうことだ!」
王子が机を叩く。
「お前は護衛だろう! 何故二人を失わせた!」
神殿側の高位神官が顔を引きつらせる。
「即妃と側近の同時失踪など前代未聞ですぞ! 民の噂になれば……!」
「噂どころか……もう広がっておるわ」
冷静なふりをした宰相の声も震えていた。
「“王妃候補は呪われた泉に引き込まれた”などと、下町ではもう……」
⸻
神殿・控えの間
白い祭服の神官長は、机に広げた式典の予定表を握りつぶした。
「……聖女は依然として不在、即妃は泉に、さらに側近まで……」
「これは……神託を偽ってまで婚儀を進めた罰だと受け取られかねませんな」
別の神官が顔を青くしてささやく。
「即位条件が満たされず、聖女も現れず、側妃は消え……このままでは……」
「……王権が崩れる」
⸻
王の私室
王は深く椅子に腰掛け、額を押さえていた。
「……二人の遺体は、必ず見つけろ。
見つからねば……“逃げた”と囁かれるだけだ」
傍らの王妃(仮)マルグリットの椅子は空席のまま。
そして誰も、その空席を見ようとはしなかった。
ーーーーーーー
晴れた午後。
ついに、1ヶ月前に仕込んだ“試作石けん”が、乾燥棚から解禁された。
「いい香り~~!」
「見て、色もちゃんと残ってる!」
ハーブ園で育てたラベンダー・カモミール・ローズマリー、それに森で採れた柚子やスギの葉。
魔法で微調整したとはいえ、すべて手作り。
──ここで恒例の「勝者は誰だ会議」開催。
エントリーNo.1:ジニー(ヒロイン)
・テーマ:バスタイムが楽しくなる!ローズ&柑橘系
・仕上がり:ちょっと泡立ち悪いが香りは最高
・プレゼン:「これ使って王子に愛されましょ♡(なお逃げてきた)」
エントリーNo.2:マルグリット(元・悪役令嬢)
・テーマ:眠れる夜に。ラベンダー&シダーウッド
・仕上がり:硬めで形も美しい
・プレゼン:「王子の顔を思い浮かべたら、ハンマー持ちたくなってこの形に……」
エントリーNo.3:フィーネ(元・聖女)
・テーマ:祈りのあとに。ユーカリ&セージ
・仕上がり:泡立ちと洗浄力抜群
・プレゼン:「これで“神罰”もすっきり!」
試しに魔法使いアデルが使ってみたが、
「どれも悪くない」と真顔で審査員にならず。
代わりに森の妖精マロンが言った。
「お風呂、誰かのとこ行って入って来てよ。感想もらってきて!」
「ええ~!?面倒だよ~!」
⸻
結局、勝者は決まらず。
「商品化はもうちょっと配合練るか……」
「あと、泡立ち増やすにはオイルと灰汁のバランスだね」
「石けんって、これが一番って、その人だからね。肌によって違うし、
雰囲気によって変わるから」
そんなふうに、森の石けん開発部は今日も楽しく進行中。
王子が駆けつけた時、そこには確かにいた。
近衛騎士アルファルの傍らに立つ、ジニー。
距離は、寄り添うには充分近く――見ようによっては、抱き合っているようにすら見えた。
「……何をしている」
低く冷えた声に、二人が振り向く。
アルファルは慌てて距離を取り、片膝をつくが、王子の視線はジニーだけに注がれていた。
「私を……疑うのですね」
ジニーの声は震えていた。
「見れば分かる」
「では、証明します。命にかけて」
次の瞬間、ジニーはドレスの裾も構わず泉の縁へと駆け――
ドボンッ!
大きな水しぶきが、月光に銀色の弧を描く。
泉は古くから“自殺の名所”と呼ばれてきた場所。
底は深く、一度沈めば二度と浮かび上がらないと恐れられている。
「ジニー!」
王子が叫び、アルファルも飛び込もうと身を乗り出す。
しかし――水面はすぐに静まり返った。
泡も、影も、もうどこにもない。
「……くそっ!」
王子の怒鳴り声が庭に響く。
その夜、宮廷に駆け巡ったのは、
“即妃ジニー、泉に身を投げ行方不明”という衝撃の報だった。
王宮・謁見の間
「……即妃が、泉に?」
王の声が低く響く。
報告に駆け込んだ近衛が、汗まみれで跪いた。
「はい……水面は静まり返り、未だ捜索の手掛かりは――」
「何をしていた!」
玉座から立ち上がった王が叫ぶ。
「護衛は! 見張りは! どうして一人にした!」
神殿の高位神官たちも顔色を変える。
「これはまずい……式典の祝福も滞ったまま、聖女も行方不明……」
「このままでは、即位の条件どころか、王家の威信が――」
ざわめきは瞬く間に広がり、誰も収拾がつけられない。
泉のほとり
アルファルは全身ずぶ濡れのまま、繰り返し潜った。
何度も、何度も。
肺が焼けるように痛くても、まだ潜る。
「……いない……!」
膝をつき、拳で地面を叩く。
頭の中には、王子の怒りと、ジニーの笑顔が交互に浮かんだ。
(俺が……守れなかった……)
何日も、ひたすら潜って探して、
見つからないと、諦めた、アルファル。
誰に告げることもなく、アルファルは立ち上がる。
泉の縁に歩み寄り、静かに目を閉じた。
「……待っててくれ」
月明かりの下、ひとすじの影が水面に吸い込まれていく。
そして二度と浮かび上がらなかった。
王宮・緊急会議室
夜半、王宮の廊下は人の往来で騒然としていた。
ジニーの捜索隊から戻った兵が、息を切らせて報告する。
「……た、たった今……アルファル騎士も……泉に……!」
「は?」
一瞬、全員の思考が止まった。
「どういうことだ!」
王子が机を叩く。
「お前は護衛だろう! 何故二人を失わせた!」
神殿側の高位神官が顔を引きつらせる。
「即妃と側近の同時失踪など前代未聞ですぞ! 民の噂になれば……!」
「噂どころか……もう広がっておるわ」
冷静なふりをした宰相の声も震えていた。
「“王妃候補は呪われた泉に引き込まれた”などと、下町ではもう……」
⸻
神殿・控えの間
白い祭服の神官長は、机に広げた式典の予定表を握りつぶした。
「……聖女は依然として不在、即妃は泉に、さらに側近まで……」
「これは……神託を偽ってまで婚儀を進めた罰だと受け取られかねませんな」
別の神官が顔を青くしてささやく。
「即位条件が満たされず、聖女も現れず、側妃は消え……このままでは……」
「……王権が崩れる」
⸻
王の私室
王は深く椅子に腰掛け、額を押さえていた。
「……二人の遺体は、必ず見つけろ。
見つからねば……“逃げた”と囁かれるだけだ」
傍らの王妃(仮)マルグリットの椅子は空席のまま。
そして誰も、その空席を見ようとはしなかった。
ーーーーーーー
晴れた午後。
ついに、1ヶ月前に仕込んだ“試作石けん”が、乾燥棚から解禁された。
「いい香り~~!」
「見て、色もちゃんと残ってる!」
ハーブ園で育てたラベンダー・カモミール・ローズマリー、それに森で採れた柚子やスギの葉。
魔法で微調整したとはいえ、すべて手作り。
──ここで恒例の「勝者は誰だ会議」開催。
エントリーNo.1:ジニー(ヒロイン)
・テーマ:バスタイムが楽しくなる!ローズ&柑橘系
・仕上がり:ちょっと泡立ち悪いが香りは最高
・プレゼン:「これ使って王子に愛されましょ♡(なお逃げてきた)」
エントリーNo.2:マルグリット(元・悪役令嬢)
・テーマ:眠れる夜に。ラベンダー&シダーウッド
・仕上がり:硬めで形も美しい
・プレゼン:「王子の顔を思い浮かべたら、ハンマー持ちたくなってこの形に……」
エントリーNo.3:フィーネ(元・聖女)
・テーマ:祈りのあとに。ユーカリ&セージ
・仕上がり:泡立ちと洗浄力抜群
・プレゼン:「これで“神罰”もすっきり!」
試しに魔法使いアデルが使ってみたが、
「どれも悪くない」と真顔で審査員にならず。
代わりに森の妖精マロンが言った。
「お風呂、誰かのとこ行って入って来てよ。感想もらってきて!」
「ええ~!?面倒だよ~!」
⸻
結局、勝者は決まらず。
「商品化はもうちょっと配合練るか……」
「あと、泡立ち増やすにはオイルと灰汁のバランスだね」
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雰囲気によって変わるから」
そんなふうに、森の石けん開発部は今日も楽しく進行中。
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