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妖精姫は、そっと微笑む――婚約破棄は華麗に
妖精のような美貌を持つ公爵令嬢
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リリベッタ・エヴァレットは、妖精のような美貌を持つ公爵令嬢だった。
透き通る金の髪に、薄紫の瞳。
小鳥のさえずりのような笑みを浮かべるだけで、人々は息を呑む。
――“妖精姫”。
そう呼ばれるのが当たり前になっていた。
だが。
その輝く外見とは裏腹に、彼女の胸には絶えず冷たい風が吹いていた。
「……お兄様。私は、本当に、この婚約で良いのでしょうか」
淡い笑みを浮かべていても、指先には微かな震えが宿っている。
兄ハリスは、静かにその震えを包み込んだ。
「父上の遺言だ。“リリベッタを王家に嫁がせろ”。
だが……私はずっと迷っている。ハインツ殿下では、お前を幸せにできないのではないかと」
その声には、血のつながりを超えた深い愛情と不安がにじんでいた。
リリベッタも理解している。
王太子ハインツの視線は、彼女ではなく、別の少女に向いていることを。
ハインツの乳兄弟であり、侍女となったローラ。
ハインツが微笑むのはいつも、リリベッタではなくローラだった。
――そのことを言葉にするのが、ずっと怖かった。
◆
そして、その瞬間は突然訪れた。
「リリベッタ様が……ローラを突き飛ばしたんです!」
青ざめた侍女が駆け込み、広間はざわめいた。
その中央で、ローラが膝をつき、涙をぽろぽろとこぼしている。
リリベッタは遠くに立っていた。手は触れてもいない。届くほど、近くない。
「……そんなこと、していません」
静かに否定した声は震えていた。
だが、ハインツは彼女を一度も見なかった。
ローラの肩を抱き寄せながら、冷たく告げる。
「……もういい。君には失望したよ、リリベッタ」
鋭い瞳がリリベッタを射抜く。
「嫉妬は理解できるが、侍女を傷つけるなど、王太子妃として失格だ」
「っ……! 誤解です。わたくしは――」
言いかけたリリベッタの言葉は、誰にも拾われなかった。
沈黙を破ったのは、王太子の側近ギデオンだった。
「殿下、リリベッタ様が侍女を突き飛ばすなど……到底、信じられません」
だが。
「ギデオン、控えろ。これは王太子としての決定だ」
冷たく切り捨てられる。
そして、広間に響き渡る宣告。
「――リリベッタ・エヴァレットとの婚約を、ここに破棄する」
時間が止まったような静寂。
リリベッタの瞳の色が、かすかに揺れる。
兄のハリスが立ち上がりかけ、拳を握り締める。
ローラは震える声で、
「わたし……怖かったんです……っ」
と、ハインツの胸に顔を埋めた。
その瞬間――リリベッタの中で、何かが静かに切れた。
「……承知いたしました、殿下」
沈んだ声ではなかった。
むしろ、凛として、美しく、澄みきっていた。
そして。
彼女のすみれ色の瞳の奥に、誰にも知られていない“もう一つの身分”が静かに目覚めていた。
――そういえば、わたくし、帝国の皇女ですが?
世界はまだ、その真実を知らない。
◆
その瞬間、リリベッタはゆっくりと目を閉じた。
――ああ、やっと。
妖精姫は、微笑む。
その笑みに、誰も気づかない。
だってこれは、始まりにすぎないのだから。
◾️
部屋のカーテンは閉じられ、陽の光は届かない。
ふわりと白いリネンのシーツにくるまり、リリベッタはベッドの中で静かに丸くなっていた。
妖精姫と呼ばれた彼女に似つかわしくない――どこか、抜け殻のような姿だった。
「リリィ、入るぞ」
ノックもそこそこに、部屋に入ってきたのはハリス・エヴァレット。公爵家の嫡男にして、リリベッタの“義兄”だった。
テーブルには、花束と、焼きたての焼き菓子。
「リリィの好きなスミレだ。焼き菓子は温かいうちに食べるのが……」
言葉は続かない。
ベッドの上のリリベッタは、シーツの中で顔を隠したまま、ぴくりとも動かない。
「……要らないの」
かすれるような声が、布越しに返ってきた。
「リリィ……」
「……あの人のこと、好きだったわけじゃない。けれど……」
ハリスは静かに腰を下ろし、妹の側にそっと寄り添う。
「ずっと、“王太子の妃になるのがあなたの運命だ”って言われてきた。お父様にも、お母様にも。……だから、ちゃんとしなきゃって思ってたの」
「わかってるよ、リリィ……」
「それなのに、できなかった。あんな、あんな形で……」
布の中から、しゃくり上げるような嗚咽が漏れる。
ハリスはそれを聞きながら、ぎゅっと拳を握った。
――父の遺言。
『リリベッタを、必ず王家に嫁がせよ。
手を出すな。おまえも、ジョセフも、だ』
優しく微笑んでいた父は、そのときだけ、鋼のような瞳をしていた。
(なのに、俺は)
守れなかった。
守るべき婚約を、守るべき妹の尊厳を、なにもかも。
「リリィ……」
ハリスは、そっとリリベッタの背に手を置く。布越しに伝わる、その小さな体の震え。
本当なら、抱きしめてやりたかった。
けれど、それすらも許されていない。
「……お前を、守れなくてごめん」
その言葉に、リリベッタの肩がぴくりと揺れた。
泣いて、泣いて、枯れるほど泣いて。
それでもまだ、涙は止まらなかった。
◆
その夜、屋敷の一角で、弟ジョセフがぽつりと呟いた。
「兄上……リリィのこと、本当は……」
「……黙ってろ。お前も“ダメ”なんだろ」
兄弟の間に流れた、沈黙と諦めのような感情。
それは――静かな夜の帳とともに、部屋に染み込んでいった。
透き通る金の髪に、薄紫の瞳。
小鳥のさえずりのような笑みを浮かべるだけで、人々は息を呑む。
――“妖精姫”。
そう呼ばれるのが当たり前になっていた。
だが。
その輝く外見とは裏腹に、彼女の胸には絶えず冷たい風が吹いていた。
「……お兄様。私は、本当に、この婚約で良いのでしょうか」
淡い笑みを浮かべていても、指先には微かな震えが宿っている。
兄ハリスは、静かにその震えを包み込んだ。
「父上の遺言だ。“リリベッタを王家に嫁がせろ”。
だが……私はずっと迷っている。ハインツ殿下では、お前を幸せにできないのではないかと」
その声には、血のつながりを超えた深い愛情と不安がにじんでいた。
リリベッタも理解している。
王太子ハインツの視線は、彼女ではなく、別の少女に向いていることを。
ハインツの乳兄弟であり、侍女となったローラ。
ハインツが微笑むのはいつも、リリベッタではなくローラだった。
――そのことを言葉にするのが、ずっと怖かった。
◆
そして、その瞬間は突然訪れた。
「リリベッタ様が……ローラを突き飛ばしたんです!」
青ざめた侍女が駆け込み、広間はざわめいた。
その中央で、ローラが膝をつき、涙をぽろぽろとこぼしている。
リリベッタは遠くに立っていた。手は触れてもいない。届くほど、近くない。
「……そんなこと、していません」
静かに否定した声は震えていた。
だが、ハインツは彼女を一度も見なかった。
ローラの肩を抱き寄せながら、冷たく告げる。
「……もういい。君には失望したよ、リリベッタ」
鋭い瞳がリリベッタを射抜く。
「嫉妬は理解できるが、侍女を傷つけるなど、王太子妃として失格だ」
「っ……! 誤解です。わたくしは――」
言いかけたリリベッタの言葉は、誰にも拾われなかった。
沈黙を破ったのは、王太子の側近ギデオンだった。
「殿下、リリベッタ様が侍女を突き飛ばすなど……到底、信じられません」
だが。
「ギデオン、控えろ。これは王太子としての決定だ」
冷たく切り捨てられる。
そして、広間に響き渡る宣告。
「――リリベッタ・エヴァレットとの婚約を、ここに破棄する」
時間が止まったような静寂。
リリベッタの瞳の色が、かすかに揺れる。
兄のハリスが立ち上がりかけ、拳を握り締める。
ローラは震える声で、
「わたし……怖かったんです……っ」
と、ハインツの胸に顔を埋めた。
その瞬間――リリベッタの中で、何かが静かに切れた。
「……承知いたしました、殿下」
沈んだ声ではなかった。
むしろ、凛として、美しく、澄みきっていた。
そして。
彼女のすみれ色の瞳の奥に、誰にも知られていない“もう一つの身分”が静かに目覚めていた。
――そういえば、わたくし、帝国の皇女ですが?
世界はまだ、その真実を知らない。
◆
その瞬間、リリベッタはゆっくりと目を閉じた。
――ああ、やっと。
妖精姫は、微笑む。
その笑みに、誰も気づかない。
だってこれは、始まりにすぎないのだから。
◾️
部屋のカーテンは閉じられ、陽の光は届かない。
ふわりと白いリネンのシーツにくるまり、リリベッタはベッドの中で静かに丸くなっていた。
妖精姫と呼ばれた彼女に似つかわしくない――どこか、抜け殻のような姿だった。
「リリィ、入るぞ」
ノックもそこそこに、部屋に入ってきたのはハリス・エヴァレット。公爵家の嫡男にして、リリベッタの“義兄”だった。
テーブルには、花束と、焼きたての焼き菓子。
「リリィの好きなスミレだ。焼き菓子は温かいうちに食べるのが……」
言葉は続かない。
ベッドの上のリリベッタは、シーツの中で顔を隠したまま、ぴくりとも動かない。
「……要らないの」
かすれるような声が、布越しに返ってきた。
「リリィ……」
「……あの人のこと、好きだったわけじゃない。けれど……」
ハリスは静かに腰を下ろし、妹の側にそっと寄り添う。
「ずっと、“王太子の妃になるのがあなたの運命だ”って言われてきた。お父様にも、お母様にも。……だから、ちゃんとしなきゃって思ってたの」
「わかってるよ、リリィ……」
「それなのに、できなかった。あんな、あんな形で……」
布の中から、しゃくり上げるような嗚咽が漏れる。
ハリスはそれを聞きながら、ぎゅっと拳を握った。
――父の遺言。
『リリベッタを、必ず王家に嫁がせよ。
手を出すな。おまえも、ジョセフも、だ』
優しく微笑んでいた父は、そのときだけ、鋼のような瞳をしていた。
(なのに、俺は)
守れなかった。
守るべき婚約を、守るべき妹の尊厳を、なにもかも。
「リリィ……」
ハリスは、そっとリリベッタの背に手を置く。布越しに伝わる、その小さな体の震え。
本当なら、抱きしめてやりたかった。
けれど、それすらも許されていない。
「……お前を、守れなくてごめん」
その言葉に、リリベッタの肩がぴくりと揺れた。
泣いて、泣いて、枯れるほど泣いて。
それでもまだ、涙は止まらなかった。
◆
その夜、屋敷の一角で、弟ジョセフがぽつりと呟いた。
「兄上……リリィのこと、本当は……」
「……黙ってろ。お前も“ダメ”なんだろ」
兄弟の間に流れた、沈黙と諦めのような感情。
それは――静かな夜の帳とともに、部屋に染み込んでいった。
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