【R18】完璧皇太子の仮面を支える私が悪役を演じる理由

冬花美優

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4話

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私の父、エバス・ロン・ハールブルクが反逆者として逮捕されたことは、国内の貴族社会を震撼させる出来事だった。  
さらに一部の貴族からは、私、シャル・イン・ハールブルクが自分の家を裏切り、国家に暴露して自分だけ助かった、まさに極悪非道の悪役令嬢という、消えない烙印を押されたようなものだった――。

シャルは、薄暗い地下へと続く階段を降りていく。  
壁や床は、砲撃でも破壊されない頑丈な岩でできていて、手で触れるとひんやりと冷たく、自分の心の温度に近い気がした。  
しかし、壁に掲げられた松明の温かさと小さな炎が、シャルの姿を長く影として映し出す。

そして、シャルのヒールの音だけが響く。

「なんだ、お前か……自ら実家を見捨てた気分はどうだ?」

「清々しい気分ですわ……お父様」

そう、私は実の父が捕らわれている牢獄にいる。  
その父は、いつもと変わらない風格を保ちながら、冷たい床にあぐらをかいて座っていた。

「シャルよ、ハールブルク家の新しい当主はお前が継げ」

「嫌と言ったら?」

エバスは、凛とした表情でシャルを見つめる。

「なら、ハールブルク家は貴族と爵位を剥奪されて一般人になるまでよ……」

やんわりとした誤魔化し方だが、シャルは知っている。  
貴族の身分を剥奪された家は普通なら一般人として生活できるが、謀反を企てた貴族は違う。  
おそらく貴族剥奪はもちろん、男性は極刑……女性は、辱められる運命だろう……。

シャルは両手の拳を強く握りしめ、指の間から赤い水滴が小さく、ぽたりと床に落ちた。

父のエバスは目を閉じ、何も言わずに佇んでいる。

「あたしは悪役令嬢のシャル・イン・ハールブルクよ。なら悪役令嬢らしく、実家の面倒は見ますわ!」

シャルは鉄格子の中のエバスに背を向け、去っていく。

(お父様……あたしは貴方の娘で誇らしいです。せめてもの償いをするなら、最後まで気高い悪役令嬢としてのシャル・イン・ハールブルクを演じきります……)

「お父様……大好きです」

シャルは誰にも気づかれないよう、小さく囁いた。

「もういいのか?」

地下の階段を上がり、地上の入口に出ると、シャルの目の前には愛するケイヤが待っていた。

「えぇ、大丈夫……」

ケイヤはシャルが両手を背中に回しているのに気づき、柔らかい細い片腕を掴んで手のひらを見た。

シャルの手のひらは真っ赤になっていた。  
拳を握りしめすぎた力がどれほど強かったかを物語るように。

「見ないで……これは転んだだけ……」

「転んだにしては、ドレスは綺麗だな……」

ケイヤはシャルの片腕を握ったまま、もう片方の腕で腰を抱き寄せ、優しく抱きしめた。

「お願い……今は優しくしないで……」

「ああ、わかった」

シャルの目からは大粒の涙が止まらなかった。  
ケイヤは何も言わずに、ただ優しく抱きしめ続けた。

二人は夕焼けの光に照らされ、外の木々の葉が優しい微風に揺れると、シャルの黒髪も揺れて涙を隠すようにしていた――。

ケイヤはシャルの肩を優しく抱いて屋敷へと一緒に帰り、シャルの専属従者ハナヨを呼び、シャルの手のひらの治癒をさせて、夜は過ぎていく。
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