5 / 5
第5話 真実
しおりを挟む
桃兵衛《ももべえ》たち一行は、浜辺にたどり着く。
沖合に見える島が鬼ヶ島だ。
数年前、一夜にして突如現れた鬼が住む島。
村人たちの恐怖の対象となっている島だ。
この島を恐れて、漁に出る者は少ない。
鬼ヶ島が怖くても、漁に出ないと生活は出来ない。
桃兵衛は近くで野良作業している漁師に話しかける。
桃兵衛の話しかけた漁師は、女性だった。
編み笠を目深に被り、額の突起を隠すその女性の肌は、日に焼けて赤くなった感じだった。
ポチもエテも、この娘は普通の人間ではないと、すぐに気づく。
だけど普通に話しかける桃兵衛に、何も言えなかった。
「この辺りの漁師さんですか。実はあの鬼ヶ島に行きたいので、船をお借りしたい。」
「ほー、お兄さん、そんな格好して何しに行くんです?」
「ちょっと確かめたい事がありまして。」
「確かめたい事?」
「はい。あの島に住む鬼は、何者なのか。何が目的で村を襲っているのか。それを確かめたいのです。」
「わん、」
「うきゃ、」
鬼退治に行くと思ってたポチとエテが驚く。
「どしたん?」
人と鬼との区別がつかないスミスは、2匹の対応の意味が分からなかった。
「確かめる?」
「はい。俺のお爺さんが言うには、鬼にも何か事情があるかもって事でして。」
「で、それを確かめた後で、鬼を斬るんですか。その刀で。」
「まさか。」
桃兵衛は刀を肩幅ほど、抜いてみせる。
「この刀には、刃引き処理がされてます。斬れませんよ、この刀では。」
「はっはっは。」
漁師の娘は笑いだす。
「交渉の切り札をいきなり見せるとはな。」
「いけませんか。」
「いやなに。爺さんの言う事をそのまま信じるその純心さ。残虐なピーチクッパーの血を引いてるとは思えなくてな。」
「ぴーちく、?」
「まあよい。案内してやるから、ついてこい。」
漁師の娘は、桃兵衛たちを舟に乗せる。
エンジンで進むこの舟を、漁師の娘は水神様の加護のおかげと説明する。
鬼ヶ島の崖の一部が開かれ、桃兵衛たちを乗せた舟が中に入る。
「着いたぜ。おまえが会いたい鬼の総大将とやらは、この通路の先の部屋で待ってるからな。」
「分かった。連れてきてくれて、ありがとう。」
桃兵衛は漁師の娘に礼を言うと、その通路を歩きだす。
「だんな。気をつけてくださいよ。」
「ポチの言う通りですぜ。見られてる感じはするのに、気配は全く感じませんぜ。」
ポチもエテも、辺りを警戒する。
「空が見えないんじゃあ、あっしも斥候に行けまへんなぁ。」
スミスはポチの背中で羽を休める。
その通路の先の部屋に、桃兵衛たちは入る。
中にはひとりの大男が待っていた。
額にふたつの突起があり、全身の皮膚は日に焼けたように赤く、軍服に身を包んでいる。
「来たか。ピーチクッパーの忌み子よ。」
「うー、」
「うきー、」
口を開いた鬼の総大将に、ポチもエテも警戒心を露わにする。
桃兵衛はそんな二匹を制する。
「鬼の総大将とお見受けする。あなたに見せたい物がございます。」
桃兵衛は懐から、爺さんから預かった手紙を取り出す。
鬼の総大将は手にした光線銃をしまい、その手紙を受け取る。
「ふ、いきなり襲いかかってくるかもと、思ってたんだがな。」
鬼の総大将は、受け取った手紙をぱら見する。
それは桃兵衛の本当の両親が遺した手紙。
母国語のピーチクッパーの言語ではなく、侵略して滅ぼされたマルィージオの言語で書かれていた。
その内容はすでに、鬼の総大将は見ていた。
桃兵衛たちにつけていた監視衛星で。
爺さんの後悔も知ったが、ピーチクッパーの血を引く桃兵衛の行動は、警戒していた。
侵略者の気配を見せない桃兵衛に、鬼の総大将も全てを話す。
自分たちは宇宙の侵略者、ピーチクッパー星の追っ手から逃れてきた事。
その存在をこの星の人間に伝えに行った娘が、爺さんに斬られた事。
そして桃兵衛は、ピーチクッパーからの亡命者の子である事を。
鬼の総大将、いや総司令は、桃兵衛の決意を促す。
この星は桃兵衛の居る場所ではない。一緒に宇宙へ行かないかと。
きび団子で強化された家来たちも、この星の生命の理《ことわり》から外れ、宇宙に行くしかない。
桃兵衛は決意する。
この星を離れる事を。
そんな桃兵衛の前に、先ほどの漁師の娘が、着飾って登場。
桃兵衛が天神さまの子と思われてるなら、それを迎えに来た天女がいるべきだろうと。
鬼ヶ島と呼ばれていた戦艦は、ステルス機能を発揮して、その姿を消して浮上する。
爺さんの家の前に、桃兵衛と天女の姿をした娘が降り立つ。
その天女の娘が、自分が斬った鬼の娘だと、お爺さんは気づく。
天女の娘はにこりと微笑んで、お爺さんを許す。
桃兵衛は鬼ヶ島の脅威は去り、自分も天に帰ると言い残し、爺さんと婆さんに別れを告げる。
桃兵衛と天女の娘を拾った戦艦は、自分たちを受け入れてくれる星を探しに、宇宙へと飛び立った。
沖合に見える島が鬼ヶ島だ。
数年前、一夜にして突如現れた鬼が住む島。
村人たちの恐怖の対象となっている島だ。
この島を恐れて、漁に出る者は少ない。
鬼ヶ島が怖くても、漁に出ないと生活は出来ない。
桃兵衛は近くで野良作業している漁師に話しかける。
桃兵衛の話しかけた漁師は、女性だった。
編み笠を目深に被り、額の突起を隠すその女性の肌は、日に焼けて赤くなった感じだった。
ポチもエテも、この娘は普通の人間ではないと、すぐに気づく。
だけど普通に話しかける桃兵衛に、何も言えなかった。
「この辺りの漁師さんですか。実はあの鬼ヶ島に行きたいので、船をお借りしたい。」
「ほー、お兄さん、そんな格好して何しに行くんです?」
「ちょっと確かめたい事がありまして。」
「確かめたい事?」
「はい。あの島に住む鬼は、何者なのか。何が目的で村を襲っているのか。それを確かめたいのです。」
「わん、」
「うきゃ、」
鬼退治に行くと思ってたポチとエテが驚く。
「どしたん?」
人と鬼との区別がつかないスミスは、2匹の対応の意味が分からなかった。
「確かめる?」
「はい。俺のお爺さんが言うには、鬼にも何か事情があるかもって事でして。」
「で、それを確かめた後で、鬼を斬るんですか。その刀で。」
「まさか。」
桃兵衛は刀を肩幅ほど、抜いてみせる。
「この刀には、刃引き処理がされてます。斬れませんよ、この刀では。」
「はっはっは。」
漁師の娘は笑いだす。
「交渉の切り札をいきなり見せるとはな。」
「いけませんか。」
「いやなに。爺さんの言う事をそのまま信じるその純心さ。残虐なピーチクッパーの血を引いてるとは思えなくてな。」
「ぴーちく、?」
「まあよい。案内してやるから、ついてこい。」
漁師の娘は、桃兵衛たちを舟に乗せる。
エンジンで進むこの舟を、漁師の娘は水神様の加護のおかげと説明する。
鬼ヶ島の崖の一部が開かれ、桃兵衛たちを乗せた舟が中に入る。
「着いたぜ。おまえが会いたい鬼の総大将とやらは、この通路の先の部屋で待ってるからな。」
「分かった。連れてきてくれて、ありがとう。」
桃兵衛は漁師の娘に礼を言うと、その通路を歩きだす。
「だんな。気をつけてくださいよ。」
「ポチの言う通りですぜ。見られてる感じはするのに、気配は全く感じませんぜ。」
ポチもエテも、辺りを警戒する。
「空が見えないんじゃあ、あっしも斥候に行けまへんなぁ。」
スミスはポチの背中で羽を休める。
その通路の先の部屋に、桃兵衛たちは入る。
中にはひとりの大男が待っていた。
額にふたつの突起があり、全身の皮膚は日に焼けたように赤く、軍服に身を包んでいる。
「来たか。ピーチクッパーの忌み子よ。」
「うー、」
「うきー、」
口を開いた鬼の総大将に、ポチもエテも警戒心を露わにする。
桃兵衛はそんな二匹を制する。
「鬼の総大将とお見受けする。あなたに見せたい物がございます。」
桃兵衛は懐から、爺さんから預かった手紙を取り出す。
鬼の総大将は手にした光線銃をしまい、その手紙を受け取る。
「ふ、いきなり襲いかかってくるかもと、思ってたんだがな。」
鬼の総大将は、受け取った手紙をぱら見する。
それは桃兵衛の本当の両親が遺した手紙。
母国語のピーチクッパーの言語ではなく、侵略して滅ぼされたマルィージオの言語で書かれていた。
その内容はすでに、鬼の総大将は見ていた。
桃兵衛たちにつけていた監視衛星で。
爺さんの後悔も知ったが、ピーチクッパーの血を引く桃兵衛の行動は、警戒していた。
侵略者の気配を見せない桃兵衛に、鬼の総大将も全てを話す。
自分たちは宇宙の侵略者、ピーチクッパー星の追っ手から逃れてきた事。
その存在をこの星の人間に伝えに行った娘が、爺さんに斬られた事。
そして桃兵衛は、ピーチクッパーからの亡命者の子である事を。
鬼の総大将、いや総司令は、桃兵衛の決意を促す。
この星は桃兵衛の居る場所ではない。一緒に宇宙へ行かないかと。
きび団子で強化された家来たちも、この星の生命の理《ことわり》から外れ、宇宙に行くしかない。
桃兵衛は決意する。
この星を離れる事を。
そんな桃兵衛の前に、先ほどの漁師の娘が、着飾って登場。
桃兵衛が天神さまの子と思われてるなら、それを迎えに来た天女がいるべきだろうと。
鬼ヶ島と呼ばれていた戦艦は、ステルス機能を発揮して、その姿を消して浮上する。
爺さんの家の前に、桃兵衛と天女の姿をした娘が降り立つ。
その天女の娘が、自分が斬った鬼の娘だと、お爺さんは気づく。
天女の娘はにこりと微笑んで、お爺さんを許す。
桃兵衛は鬼ヶ島の脅威は去り、自分も天に帰ると言い残し、爺さんと婆さんに別れを告げる。
桃兵衛と天女の娘を拾った戦艦は、自分たちを受け入れてくれる星を探しに、宇宙へと飛び立った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる