魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

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ユミコ争奪編

第40話 勇者アイドル?のイベントに遭遇

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 長きに渡った、ユミコ争奪戦。
 その茶番の終わりを告げても、会場は戸惑うばかりだった。


「シリウスシスターズって何?」
 俺は小声でユミコに聞いてみる。
「知らないわよ、そんなの。」
 ユミコも小声で答える。
「解説のクマガイさん、これは一体どうした事でしょう。」
 もう一度小声で、ユミコに聞いてみる。
「さあ、私にもさっぱりです。何かの手違いでも、あったのでしょうか。」
 ユミコも小声で答える。
 顔を見合わせた俺たちは、思わず吹き出してしまう。

「みんなぁ、ごめんねー。」
 戸惑う俺とユミコの後ろの方で、金髪女が会場に手を振ってる。

「新規加入メンバーの獲得に、失敗しちゃったー。」
 青髪女も、観客に手を振る。

「えー、会場にお集まりの皆さま。
 見ての通り、私たちの力不足で、新メンバーの加入にはいたりませんでした。」
 赤髪女は、手を振らずに現状を説明する。

「これはひとえに、私たちの実力の無さから、こんな結果になってしまいました。
 ファンの皆さまのご期待を裏切り、誠にごめんなさい。」
 と銀髪女が頭を下げる。

「すみませんでしたー。」
 他の三人も、頭を下げる。

 会場は少しざわつく。
「そんな、頭を上げてください、マイン様ー。」
「らしくないぞー、リムちゃーん。」


「みんなー、こんな私たちに、あったかい声援、ほんとにありがとー。」
 金髪女が頭を上げ、会場の声援に答える。
 他の三人も頭をあげ、ポジショニングを気にして、立ち位置を移動する。

「私たちはこれからも、四人で!」
「シリウスシスターズです!」
 銀髪女の掛け声に、他の三人が応える。
 それらしいポーズをとり、背後でバーン!と煙が上がる。

「きゃー、マイン様ーマイン様ーマイン様ーマイン様ーマイン様ー!」
「ユア様も素敵ー!」
「リムちゃんは、俺の嫁だぁ!」
「ふ、ケイちゃんの魅力に気づかないなんて、まだまだですね。」

 なんか会場中が、すげー盛り上がってる。
 さっきまでのユミコ争奪戦の戦闘は、なんだったのか。
 まるでアイドルのイベント会場みたいだ。
 銀髪のマインと赤髪のユアは、女性人気がすごいみたい。
 金髪のリムと青髪のケイが、男性に人気、ってところか。
 そしてこの会場、女性ファンの方が圧倒的に多い。

「けほ、けほ、もうほんとに何なのよ。」
 先ほどの煙でむせるユミコ。
 最早ユミコ争奪戦の主役も蚊帳の外。
 完全にアイドルグループのイベント会場だ。

「それじゃあ、聞いて下さい。
 私たちのメドレー!」
 銀髪女の掛け声で、どこからともなく伴奏が流れる。

 俺とユミコも闘武場の上にいるのだが、場違い感が半端ない。
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