魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

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ユミコ争奪編

第41話 勇者闘武場を降りる

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 ユミコ争奪戦の会場は、一転、アイドルのイベント会場になってしまった。
 俺と対戦した女性四人組は、シリウスシスターズという名で活動中の、超売れっ子アイドルだった。
 俺はニュース番組でも、スポーツ芸能になったらチャンネル変えるタイプなんで、この人達の事は知らなかった。


 呆然と立ち尽くす俺とユミコを尻目に、伴奏が流れ出す。
 曲の振り付けの一部なんか知らんが、銀髪女が踊りながら近づいてくる。
「この場は、私たちに任せてくれ。」

 と言われても、何が何やら。
 まあ、俺たちには出来る事ないしな。

「ふたりとも、無事魔王を倒せる事を祈ってるぞ。」
 銀髪女はそう言うと、踊りながら遠ざかる。

「この女性に変な事したら、ただじゃおかないからな。」
 赤髪女も近づいてきて、ガンを飛ばして去っていく。

「ほら、ここは私たちがなんとかするから、早く行って。」
 青髪女が、はよ退場しろと言ってくる。

 俺はコンサートの邪魔にならない様に、闘武場から降りようとするが、そんな俺の横で、ユミコはプルプル震えている。

 あ、やべー、ユミコさん怒ってらっしゃる。
 そりゃー、自分主役のイベントを、かっさわれちまったんだもんな。
 このまま超絶爆発呪文でも、唱えそうな感じだ。

「ユミコ、ごめん。」
 俺はすかさず、ユミコのお腹を殴る。
 が、俺のコブシはユミコにガッチリ止められる。
「ユウタ、なんのまねかしら。」
 ユミコは、にっこり聞き返す。

「えと、ユミコさんを気絶させて、かっこよく立ち去ろうかな、って思って。」
 俺も笑顔で答えるが、その笑顔も引きつる。
 ユミコは俺のコブシを、強く握りしめる。
「ゆ、ユミコさん、ここは一旦引きましょう。」
 俺の額にも、脂汗がにじむ。

「はあ。」
 ユミコはため息とともに、力を緩める。
 俺の脂汗も止まる。

 四人組の女性が歌い出す横で、俺とユミコは闘武場を降りた。

「このイベントの主役は、私よ!」
 会場裏に引っ込んでも、ユミコはプンプンしてる。
 とは言え、ユミコ争奪戦と言うイベントで、こんなに集客出来るだろうか。
 確かにユミコは、知的で気品があって優雅なレディだ。
 この美女が誰とパーティ組むか、それも気になるが、この一連の茶番劇、人気絶頂アイドルグループの新メンバーと捉ええる事も出来る。

 つか、そっちが普通。
 おそらく、ユミコ争奪戦の参加者にあの四人組がいる事に気づき、運営スタッフがイベント内容を変えたのだろう。
 だからこその、この集客力。
 そんなダシに使われて、ユミコもご機嫌ななめだ。

 しかし、ユミコもこんな事にこだわる性格とは、思わなかった。
 400年以上生きた人だから、もっとサバサバしてる性格かと思ったよ。
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