魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

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名所を巡ろう~虹の架け橋から神帝のほこらへ

第52話 勇者六魔将に遭遇

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 勇者ウラワが、魔王の住む島へと虹の橋をかけたと言う、いわく付きの岬に行ってみた俺。
 俺はそこで、黄色くて清潔感のある布を被ったチビデブの魔物と遭遇する。
 こいつは六魔将のカトウさんと言うらしい。
 つか、なんでユミコは、そんな事知ってんだ?


「え、六魔将のカトウさん?」
 俺はユミコに聞き返す。
「違うわよ、カトウサ。か、と、う、さ。
 元はルギア神殿に仕える神官長だったけど、神殿が魔王の手に落ちるや、とっとと魔王に組みした、最低の人間よ!」
 とユミコは説明する。

「えと、」
 どこで知ったのかな、それ。
 俺は色々突っ込み、もとい、聞きたい事がありすぎて、何から聞こうかと、悩んでしまう。

「精霊ルギアの恩を忘れるなんて、最低の人間よ!」
 ユミコはだいまどうのカトウさん、もとい、カトウサをにらむ。
「くくくく、お嬢さん、誰かと勘違いしてないかな?」
 とカトウさんは不敵に笑う。

「え?違う。その声、カトウサじゃない。」
 ユミコは何かに気づいたみたい。
 つか、俺そっちのけで、ふたりの世界になってない?

「くくくく、いかにも!
 カトウサなど、所詮人間!
 失敗続きで、処刑されたわ!」
「な、なんですってぇ!」
「くくくく、お嬢さんはルギア神殿に仕えてた、巫女のひとりかな?」
「いいえ、違うわ。」
「くくくく、どちらにしろ、カトウサに恨みを持つ者らしい。
 良かったの。お嬢さんの代わりに、処刑しといてやったわい。」
「最低ね、あなた。」

 うーん、完全にふたりの世界だ。
 精霊ルギアだの予備知識の無い俺には、ふたりの会話に入ってけない。

「あのお、カトウさんじゃないなら、あなたのお名前は?」
 俺がふたりの会話に割り込むとしたら、これしか出来ない。

「おっと、これは申し遅れた。
 私はスズキーク。魔王六魔将のひとり、だいまどうのスズキーク!
 六魔将の称号は、魔族である私にこそ、ふさわしい!」

「え、スズキくん?」
「ちっがーう!
 スズキークだ、す、ず、きー、く!」

 うーん、だいまどうと言う種族は、まぎらわし名前を名乗るシキタリか何かがあるのか?

「く、訳の分からん小娘に気を取られてたが、ここに来た勇者を始末するのが、我が使命。」
 スズキくんは、俺に向き直って、杖を構える。
 つか、俺が勇者だって、なんで分かるんだ?
 ただの観光客だったら、どうするんだよ。

「勇者覚悟!ぴかぴーか!」
 スズキくんは俺の心配を無視して、中級の雷撃呪文を唱える。

 俺とスズキくんの距離は離れている。
 いわゆる戦闘の間合いの、外からの呪文攻撃だったが、流石はだいまどう。
 俺もそこそこのダメージを受ける。

 やべー。
 こいつは海底洞窟のドラゴンと同じだ。
 勝てる気しねーし、逃げれる気もしねー。
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