53 / 221
名所を巡ろう~虹の架け橋から神帝のほこらへ
第53話 勇者六魔将から逃げる
しおりを挟む
昔、勇者ウラワが虹の橋をかけたと言う岬で、魔王六魔将のひとり、だいまどうのスズキくんに出くわしてしまった。
レベル差のありすぎる相手に、俺は逃げれる気がしない。
「ユウタ、逃げるわよ!」
「分かった!」
海底洞窟で、俺はドラゴンに殺された。
また死ぬのは、まっぴらだ。
男ならここで、逃げの一手だ。
女にはそんな事は、出来はしないだろうが。
戦闘の間合いに入っていない今なら、逃げられるはず。
しかし俺は、こけてしまった。
「な、何やってんのよ、ユウタ!」
「くそ。」
そうは言うが、ユミコさん。
レベル差がありすぎる相手からは、逃げずらいって。
「いいわ、呪文で逃げましょう。
トラベル!」
ユミコは転移呪文を唱えた。
しかし、何も起きなかった。
ユミコは戸惑う。
「くくくく、無駄ですよ、お嬢さん。
魔法封じの結界を、張らせてもらいましたよ。」
とだいまどうのスズキくんは、ニヤける。
ハッとしてユミコは、辺りを見渡す。
俺たちの周りには、スズキくんと同型の魔物が、数体いた。
どこから出てきたのかは知らんが、おそらくスズキくんと同じく、石像が実体化したのだろう。
チビデブな体格なこいつらは、スズキくんと同じ、黄色い布をまとっている。
だけどスズキくんみたいな清潔感は、皆無だった。
そこが六魔将とやらとの、違いか。
って、よく見ると、赤い布をまとったヤツもいるな。
「くくくく、お嬢さん、あの世でカトウサに、恨み言のひとつでも言ってやりな。」
とスズキくんは、にじり寄ってくる。
「く、これくらいの結界、上位の攻撃呪文には効かないんだけど。」
「えー、だったら使ってよ、ユミコさん。」
「バカ。この時代の魔王と戦うのは、あなたでしょ。
私が出しゃばるのは、駄目なのよ。」
「それで殺されたら、ただのバカじゃん。」
「ユミコ?はて、どっかで聞いたような。」
スズキくんの動きが、ぴたりと止まる。
そりゃあ、勇者ウラワと一緒に、魔王と戦ったひとだからな、ユミコは。
人間の間には伝わってないけど、魔族の間には伝わっているかもしれない。
だけどユミコの事が、スズキくんにバレたらヤバい気がする。
「なら、これ使って逃げればいーじゃん。」
俺は転移の翼を取り出す。
「あ。」
スズキくんは一瞬、ヤバそうな感じをかもし出す。
だけどすぐに気を取り直す。
「くくくく、そんなアイテムが、通用すると思ってるのかな。」
「ああ、思ってるよ、くくくのく。」
俺もスズキくんの真似をしてみる。
「ば、ばか、やめろ。
ここでおまえを取り逃したら、私が魔王様に責められる!」
うん、そんな事、黙ってればいーのにな。
俺は左手でユミコを抱き寄せ、右手で転移の翼を空へ放る。
「くぅくくく、また会おう、スズキくん!」
俺とユミコは、オオミヤ城前に転移した。
レベル差のありすぎる相手に、俺は逃げれる気がしない。
「ユウタ、逃げるわよ!」
「分かった!」
海底洞窟で、俺はドラゴンに殺された。
また死ぬのは、まっぴらだ。
男ならここで、逃げの一手だ。
女にはそんな事は、出来はしないだろうが。
戦闘の間合いに入っていない今なら、逃げられるはず。
しかし俺は、こけてしまった。
「な、何やってんのよ、ユウタ!」
「くそ。」
そうは言うが、ユミコさん。
レベル差がありすぎる相手からは、逃げずらいって。
「いいわ、呪文で逃げましょう。
トラベル!」
ユミコは転移呪文を唱えた。
しかし、何も起きなかった。
ユミコは戸惑う。
「くくくく、無駄ですよ、お嬢さん。
魔法封じの結界を、張らせてもらいましたよ。」
とだいまどうのスズキくんは、ニヤける。
ハッとしてユミコは、辺りを見渡す。
俺たちの周りには、スズキくんと同型の魔物が、数体いた。
どこから出てきたのかは知らんが、おそらくスズキくんと同じく、石像が実体化したのだろう。
チビデブな体格なこいつらは、スズキくんと同じ、黄色い布をまとっている。
だけどスズキくんみたいな清潔感は、皆無だった。
そこが六魔将とやらとの、違いか。
って、よく見ると、赤い布をまとったヤツもいるな。
「くくくく、お嬢さん、あの世でカトウサに、恨み言のひとつでも言ってやりな。」
とスズキくんは、にじり寄ってくる。
「く、これくらいの結界、上位の攻撃呪文には効かないんだけど。」
「えー、だったら使ってよ、ユミコさん。」
「バカ。この時代の魔王と戦うのは、あなたでしょ。
私が出しゃばるのは、駄目なのよ。」
「それで殺されたら、ただのバカじゃん。」
「ユミコ?はて、どっかで聞いたような。」
スズキくんの動きが、ぴたりと止まる。
そりゃあ、勇者ウラワと一緒に、魔王と戦ったひとだからな、ユミコは。
人間の間には伝わってないけど、魔族の間には伝わっているかもしれない。
だけどユミコの事が、スズキくんにバレたらヤバい気がする。
「なら、これ使って逃げればいーじゃん。」
俺は転移の翼を取り出す。
「あ。」
スズキくんは一瞬、ヤバそうな感じをかもし出す。
だけどすぐに気を取り直す。
「くくくく、そんなアイテムが、通用すると思ってるのかな。」
「ああ、思ってるよ、くくくのく。」
俺もスズキくんの真似をしてみる。
「ば、ばか、やめろ。
ここでおまえを取り逃したら、私が魔王様に責められる!」
うん、そんな事、黙ってればいーのにな。
俺は左手でユミコを抱き寄せ、右手で転移の翼を空へ放る。
「くぅくくく、また会おう、スズキくん!」
俺とユミコは、オオミヤ城前に転移した。
1
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる