魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

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章なしで行きたいんだが~オオミヤからチチブへ

第122話 勇者第七感を閉ざす

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 チチブの宿屋で寝込んでた俺は、ユミコの手料理を食べる。
 はっはっは、うらやましがるでない、読者ども。
 そう、ユミコは俺の嫁!
 って浮かれる俺は、忘れていた。なぜユミコが手料理を食べさせてくれたのかを。



「な、なんかごめん。」
 なぜか呆れてるユミコに、とりあえず謝った。
「はあ、なんで私が手料理をごちそうしたのか、分かってるよね。」
 ユミコはため息混じりに聞いてくる。

「それは、」
 と言って俺は言葉につまる。
 同棲気分を味わいたいから、って続けようとしたが、思いとどまった。
 俺は慌てて記憶をたどる。

 えと、確か、チチブの入り口でゴーレムと戦った後、気を失って、気がついたらここで、ここがどこだかユミコに聞いても、答えてくれなくて、回復呪文使ったらなぜか気が遠くなって、ユミコに説明したよねって怒られて、ユミコの手料理を食べて、つまりユミコは俺の嫁!
「って違ーう!」

 やばい、二話続けてユミコは俺の嫁妄想してたから、未だに抜けきらない。
 ユミコはタカスナが好き。
 俺はタカスナの子孫だが、タカスナを奪ったスーシ姫の子孫でもある。
 ユミコも心の底では、よく思ってはいないはずだ。

「そう言えば、説明してくれる、って言ってたよな。」
 俺はやっと本筋を思い出す。
「はあ、何をかしらね。」
 ユミコはため息をついて、聞き返す。

「それは、」
 いや、説明してくれるって、何をだよ。
 俺はいじけた顔で、ユミコをにらむ。

「まあいいわ。体力の回復した今なら、ちゃんと理解してくれるかも、だし。」
 ユミコもしょうがないわね、って感じで、説明してくれる。
 うん、ここまで来るのに、何もったいぶってたんだろか。

「いい事、ユウタ。
 あなたはゴールドゴーレムを装着した事で、第七感を無理矢理目覚めさせられたのよ。」
「そっかなるほど。だからゴールドゴーレムと対等に戦えたんだな。」
 俺はチチブ入り口での、ゴールドゴーレムとの戦いを思い出す。
 だがあの時感じた、魂の根源から湧き出る力を、今は感じない。

「あの力。俺は次元の違う力を手に入れたのにな。」
「無くていいわよ、あんな力。」
「え?」
 事もなく言うユミコに、俺は戸惑う。

「あれは五感や六感の先にある力。ユウタの言う通り、次元が違うのよ。」
「でも、あの力があれば、って、あれ?」
 俺は握ったコブシを見つめ、疑問が生じる。
 あの力で戦う姿が、想像つかないのだ。

「気がついたようね。ユウタの使ってた呪文や剣技って、五感や六感を駆使して使う力。第七感とは違うのよ。
 だから、第七感を使った戦闘でのダメージは、回復呪文では回復しない。」
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