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宇宙召喚編
第19話 対戦相手決定
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これは西暦9980年のはるか未来のお話。
この時代に召喚されたマイは、なぜか気が合わないリムと、勝負する事になった。
ソウルブレイドでのこの戦い、マイは勝利したと思ったのだが、ソウルブレイドでの試合のルールでは、マイの負けだった。
ならば引き分けでいいと、気をゆるしてくれるリムだった。
勝負したからといって、その後すぐに関係がよくなるものでもない。
リムとの仲も、普段からあまり接点がなかったので、目に見えてよくなるような事もなかった。
しかし、マインは違った。
マイに対して、ベタベタと寄り添ってくるようになった。
星間レースへの訓練中のマイ、ユア、ケイに対しての積極的なアドバイス。
それもマイ中心のアドバイスで、まだ召喚したてで初めての実戦のマイに対する優しさと見れなくもない。
しかしユアとケイには、その域を超えてる感じがした。
マイだけを特別扱いするようなマインの態度に内心穏やかではないが、マイのためにやってる事と思うと、何も言い出せなかった。
そんな雰囲気をマイも感じとる。
このままではまずい。
そう思いながらも、何も出来ないマイであった。
そして、星間レース開始まで72時間となった。
参加メンバーの公式発表の時間である。
リム以外のチーム全員が、ラウンジに集合する。
「こ、これは!」
ラウンジの専用モニターに映し出された参加メンバーを見て、まずはメカニックマンのジョーが驚きの声をあげる。
「どちらも、確実に勝ちにきてるな。」
それが参加メンバーを見たジョーの感想。
マイ以外のチーム全員も、同じ感想だ。
レドリア合衆国
ステーノ
エアレー
メドー
この三人は、ゴンゴル三姉妹と呼ばれ、レドリアの中でもトップクラスの実力を持つ。
グリムア共和国
ダントッパ
ブレイブ紫
ブレイブ緑
グリムア内の内乱をひとりで片付けた、伝説の男。その詳細は、他国にはあまり伝わっていない。
ブルレア連邦
期待の超新星マイ
真紅の衝撃ユア
蒼い稲妻ケイ
「ゴンゴル三姉妹か、厄介な相手ね。」
マインは過去の経験を思い出す。
「ええ、戦いたくない相手だわ。」
ケイも同じ思いだった。
「それより厄介なのが、グリムアだ。まさか生ける伝説が出てくるとわな。」
ジョーはグリムアのダントッパに注目する。
「ダントッパ。聞かない名前よ。それにブレイブ紫と緑って何?
ひょっとして、ダントッパの伴機?」
ユアは、初めて聞くその名前に、心当たりはなかった。
「ひとりで参戦なんて、なめてるとしか思えないわ。」
ケイも少し、怒りの表情を見せる。
「おまえら知らないのか、ダントッパの伝説を。
まあ、無理もないか。ほとんど極秘扱いだったからな。」
ジョーは、ダントッパの説明を始める。
ダントッパ。
激突王の異名を持つブレイブ使い。
ブレイブとは三身一体のトライフォースの一種なのだが、詳しくは分からない。
なにせ、ブレイブとはグリムアの秘術。
しかも、使いこなせたのは、ダントッパだけだとされている。
グリムアを支配しようと企んだ威戒王は、魔族十二神軍を率いてある恒星系を制圧。
魔族十二神軍といっても、悪魔とかの類いではない。そう名乗っているだけだ。
その恒星系の反乱軍に、ダントッパはいた。
ダントッパは六色のブレイブを使いこなし、威戒王を倒してグリムアを救った。
「ふーん。でも、こっちには伝わってないんだから、威戒王の内乱ってヤツも、たいした事なかったんじゃないの?」
ジョーの説明を聞いたユアは、そう感想を述べる。
「脅威なのは確かだけど、情報がないわね。」
ケイは不安に思うが、やる事のないもどかしさを感じる。
「そうね、まずは情報のあるゴンゴル三姉妹への対策が先よ。」
マインは今やれる事の具体案を示す。
「そういや、おまえがメドーと戦った時の記録映像があったな。」
ジョーはそう言うやすぐに、その映像を中央テーブルの立体モニターに映し出す。
「ちょ、ちょっと、プライバシーの侵害です。」
マインは慌てるが、ジョーは取り付く島もない。
「何言ってんだ、情報はみんなで共有するもんだぞ。みんなもよく見ておけよ。」
「恥ずかしいですわ。あまり見ないで下さい。」
一般兵二十機を率いて戦場へ向かうマインの機体。
「ふんふんふーん。」
「ごきげんですね、マイン。」
鼻歌交じりのマインに、サポートAIのミサが話しかける。
「だってのがないの映像化決定よ。こんな嬉しい事ってないじゃない。」
「それには今回の戦闘に勝利して、放映権を勝ち取る必要があります。」
浮かれ気味のマインを、ミサが諭す。
「わ、分かってるわよ!それくらい。」
そう言うとマインは一般兵二十機に対する通信回路のスイッチを入れる。
「みんな、絶対のがないの放映権を勝ち取るわよ!」
「おー!」
一般兵のみんなは一斉に応える。
「さあ、私についてくるのよぉ!」
そう言ってマインは、機体の速度を上げる。
「ちょっと、ここから再生するの?」
再生された映像に、マインは少し取り乱す。
「こんな任務に志願するなんて、おかしいと思ってたんだよねー。」
「リム、いつの間に?」
訓練の時間が長引いてたリムが、遅れてラウンジにやって来ていた。
「そりゃ、私も気になるからね。
それにしても、あんたがメドーにやられる前にこんな事があったなんて、とんだ収穫だわ。」
リムの表情は、思わずニヤけてしまう。
のがないとは。
この時代の人気ライトノベル『僕は頭のネジが少ない』の略称。
完結への逆算から作られたその作風は、読み返すたびに新たな発見があり、全宇宙で愛読されていた。キャラクターの人気も絶大で、それぞれのキャラの派閥があった。一番人気は主人公の妹キャラで、その痛かわいさは最強の妹キャラだった。
「へー、この時代でもラノベってあったんだね。」
「ま、待って下さーい。」
マインの機体と一般兵の機体とでは、性能の差がありすぎた。
一般兵はマインについて来れなかった。
「遅いわよー、早くなさーい。」
「マイン、飛ばしすぎです。」
浮かれるマインをミサが注意する。
「もう、しょうがないわね。みんな、待ってるから早くきなさい。」
マインは一般兵のみんなに呼びかける。
しかし、応答はなかった。
「みんな?」
「マイン、レーダーに反応ありません。」
「え?」
マインはあわててレーダーを見る。
味方の一般兵二十機は、影も形も消えていた。
「収容確認。全員脱出用ポッドで戦線離脱。」
ミサは現状を告げる。
「な、なんで?いつの間に?」
マインは現状を把握出来ない。何が起きたのか?
「へー、一機討ちもらしちゃったかー。」
突然、通信に割り込みが入る。
「誰?」
マインは反射的にそう言った。
「機体識別反応確認。ゴンゴルスリー。」
「ゴンゴルスリーって、あのゴンゴルスリー?」
ミサの言葉に、マインも聞き覚えあった。
「あら、私って有名人。そんなあなたも有名人。
シリウスアルファーツーのマイン!」
「マイン、自爆して!」
突然ミサは自爆をせまる。
「早く!後で説明するから!」
マインの機体は自爆した。
「この時、マインの機体は自律制御機能の73%を乗っ取られていた。
自爆が後二秒遅れていたら、マインは機体ごと拿捕されていた。」
この自爆について、ジョーが解説する。
「だほって、つかまえるって事?なんで?」
マイは疑問をぶつける。脱出用ポッドのおかげで、死なない戦争。
どこかゲーム感覚だったマイに、拿捕と言う言葉は、あまりになまめかすぎた。
「捕虜は大切な情報源だ。おおっぴらにはやらないが、影に隠れてどこもやっている。
脱出用システムのおかげで捕虜という概念は無くなったからな。
捕まれば、当然人権なんてない。」
「マイン…、」
マイはジョーの言葉に思わず、マインを見る。
もしかしたら、マインとは会う事がなかったのかもしれない。
そしたら、マインはどうなっていたのだろう?
あまり考えたくないが、それは起こり得る現実。
そう、マイ自身にも。
「過ぎた事よ。そんな心配しないで。
それにのがないファン同士、気が合ったかもよ。」
マインは安心させようとそう言うが、マイの不安はぬぐえなかった。
この時の戦闘分析から、敵はステルス機能を多用している事が判明。
レーダーの探知用の波長を、故意に乱して相手に返す。
これにより、相手は幻覚に襲われる。
敵が見えなかったり、居ない敵が見えたり。
そしてこの時代、複数のレーダーを同時に使用している。
その波長を同時に操る事で、自爆をうながす事も可能。
そして、制御機能を奪う事も。
この戦闘を機に、制御機能の防衛を強化。
この時と同じ攻撃なら、今度は完全に防ぐ事が出来る。
幻覚からの自爆については、対策機能はなかった。
対峙した時、複数のレーダーを切れば防げるからだ。
それは、敵を前にして、目をつぶる行為に等しい。
これを故意ではなく、自動で機能させる事は、出来なかったのだ。
これがマインとメドーとの戦いの顛末。
戦いと言っても、マインが一方的にやられただけだった。
この時代に召喚されたマイは、なぜか気が合わないリムと、勝負する事になった。
ソウルブレイドでのこの戦い、マイは勝利したと思ったのだが、ソウルブレイドでの試合のルールでは、マイの負けだった。
ならば引き分けでいいと、気をゆるしてくれるリムだった。
勝負したからといって、その後すぐに関係がよくなるものでもない。
リムとの仲も、普段からあまり接点がなかったので、目に見えてよくなるような事もなかった。
しかし、マインは違った。
マイに対して、ベタベタと寄り添ってくるようになった。
星間レースへの訓練中のマイ、ユア、ケイに対しての積極的なアドバイス。
それもマイ中心のアドバイスで、まだ召喚したてで初めての実戦のマイに対する優しさと見れなくもない。
しかしユアとケイには、その域を超えてる感じがした。
マイだけを特別扱いするようなマインの態度に内心穏やかではないが、マイのためにやってる事と思うと、何も言い出せなかった。
そんな雰囲気をマイも感じとる。
このままではまずい。
そう思いながらも、何も出来ないマイであった。
そして、星間レース開始まで72時間となった。
参加メンバーの公式発表の時間である。
リム以外のチーム全員が、ラウンジに集合する。
「こ、これは!」
ラウンジの専用モニターに映し出された参加メンバーを見て、まずはメカニックマンのジョーが驚きの声をあげる。
「どちらも、確実に勝ちにきてるな。」
それが参加メンバーを見たジョーの感想。
マイ以外のチーム全員も、同じ感想だ。
レドリア合衆国
ステーノ
エアレー
メドー
この三人は、ゴンゴル三姉妹と呼ばれ、レドリアの中でもトップクラスの実力を持つ。
グリムア共和国
ダントッパ
ブレイブ紫
ブレイブ緑
グリムア内の内乱をひとりで片付けた、伝説の男。その詳細は、他国にはあまり伝わっていない。
ブルレア連邦
期待の超新星マイ
真紅の衝撃ユア
蒼い稲妻ケイ
「ゴンゴル三姉妹か、厄介な相手ね。」
マインは過去の経験を思い出す。
「ええ、戦いたくない相手だわ。」
ケイも同じ思いだった。
「それより厄介なのが、グリムアだ。まさか生ける伝説が出てくるとわな。」
ジョーはグリムアのダントッパに注目する。
「ダントッパ。聞かない名前よ。それにブレイブ紫と緑って何?
ひょっとして、ダントッパの伴機?」
ユアは、初めて聞くその名前に、心当たりはなかった。
「ひとりで参戦なんて、なめてるとしか思えないわ。」
ケイも少し、怒りの表情を見せる。
「おまえら知らないのか、ダントッパの伝説を。
まあ、無理もないか。ほとんど極秘扱いだったからな。」
ジョーは、ダントッパの説明を始める。
ダントッパ。
激突王の異名を持つブレイブ使い。
ブレイブとは三身一体のトライフォースの一種なのだが、詳しくは分からない。
なにせ、ブレイブとはグリムアの秘術。
しかも、使いこなせたのは、ダントッパだけだとされている。
グリムアを支配しようと企んだ威戒王は、魔族十二神軍を率いてある恒星系を制圧。
魔族十二神軍といっても、悪魔とかの類いではない。そう名乗っているだけだ。
その恒星系の反乱軍に、ダントッパはいた。
ダントッパは六色のブレイブを使いこなし、威戒王を倒してグリムアを救った。
「ふーん。でも、こっちには伝わってないんだから、威戒王の内乱ってヤツも、たいした事なかったんじゃないの?」
ジョーの説明を聞いたユアは、そう感想を述べる。
「脅威なのは確かだけど、情報がないわね。」
ケイは不安に思うが、やる事のないもどかしさを感じる。
「そうね、まずは情報のあるゴンゴル三姉妹への対策が先よ。」
マインは今やれる事の具体案を示す。
「そういや、おまえがメドーと戦った時の記録映像があったな。」
ジョーはそう言うやすぐに、その映像を中央テーブルの立体モニターに映し出す。
「ちょ、ちょっと、プライバシーの侵害です。」
マインは慌てるが、ジョーは取り付く島もない。
「何言ってんだ、情報はみんなで共有するもんだぞ。みんなもよく見ておけよ。」
「恥ずかしいですわ。あまり見ないで下さい。」
一般兵二十機を率いて戦場へ向かうマインの機体。
「ふんふんふーん。」
「ごきげんですね、マイン。」
鼻歌交じりのマインに、サポートAIのミサが話しかける。
「だってのがないの映像化決定よ。こんな嬉しい事ってないじゃない。」
「それには今回の戦闘に勝利して、放映権を勝ち取る必要があります。」
浮かれ気味のマインを、ミサが諭す。
「わ、分かってるわよ!それくらい。」
そう言うとマインは一般兵二十機に対する通信回路のスイッチを入れる。
「みんな、絶対のがないの放映権を勝ち取るわよ!」
「おー!」
一般兵のみんなは一斉に応える。
「さあ、私についてくるのよぉ!」
そう言ってマインは、機体の速度を上げる。
「ちょっと、ここから再生するの?」
再生された映像に、マインは少し取り乱す。
「こんな任務に志願するなんて、おかしいと思ってたんだよねー。」
「リム、いつの間に?」
訓練の時間が長引いてたリムが、遅れてラウンジにやって来ていた。
「そりゃ、私も気になるからね。
それにしても、あんたがメドーにやられる前にこんな事があったなんて、とんだ収穫だわ。」
リムの表情は、思わずニヤけてしまう。
のがないとは。
この時代の人気ライトノベル『僕は頭のネジが少ない』の略称。
完結への逆算から作られたその作風は、読み返すたびに新たな発見があり、全宇宙で愛読されていた。キャラクターの人気も絶大で、それぞれのキャラの派閥があった。一番人気は主人公の妹キャラで、その痛かわいさは最強の妹キャラだった。
「へー、この時代でもラノベってあったんだね。」
「ま、待って下さーい。」
マインの機体と一般兵の機体とでは、性能の差がありすぎた。
一般兵はマインについて来れなかった。
「遅いわよー、早くなさーい。」
「マイン、飛ばしすぎです。」
浮かれるマインをミサが注意する。
「もう、しょうがないわね。みんな、待ってるから早くきなさい。」
マインは一般兵のみんなに呼びかける。
しかし、応答はなかった。
「みんな?」
「マイン、レーダーに反応ありません。」
「え?」
マインはあわててレーダーを見る。
味方の一般兵二十機は、影も形も消えていた。
「収容確認。全員脱出用ポッドで戦線離脱。」
ミサは現状を告げる。
「な、なんで?いつの間に?」
マインは現状を把握出来ない。何が起きたのか?
「へー、一機討ちもらしちゃったかー。」
突然、通信に割り込みが入る。
「誰?」
マインは反射的にそう言った。
「機体識別反応確認。ゴンゴルスリー。」
「ゴンゴルスリーって、あのゴンゴルスリー?」
ミサの言葉に、マインも聞き覚えあった。
「あら、私って有名人。そんなあなたも有名人。
シリウスアルファーツーのマイン!」
「マイン、自爆して!」
突然ミサは自爆をせまる。
「早く!後で説明するから!」
マインの機体は自爆した。
「この時、マインの機体は自律制御機能の73%を乗っ取られていた。
自爆が後二秒遅れていたら、マインは機体ごと拿捕されていた。」
この自爆について、ジョーが解説する。
「だほって、つかまえるって事?なんで?」
マイは疑問をぶつける。脱出用ポッドのおかげで、死なない戦争。
どこかゲーム感覚だったマイに、拿捕と言う言葉は、あまりになまめかすぎた。
「捕虜は大切な情報源だ。おおっぴらにはやらないが、影に隠れてどこもやっている。
脱出用システムのおかげで捕虜という概念は無くなったからな。
捕まれば、当然人権なんてない。」
「マイン…、」
マイはジョーの言葉に思わず、マインを見る。
もしかしたら、マインとは会う事がなかったのかもしれない。
そしたら、マインはどうなっていたのだろう?
あまり考えたくないが、それは起こり得る現実。
そう、マイ自身にも。
「過ぎた事よ。そんな心配しないで。
それにのがないファン同士、気が合ったかもよ。」
マインは安心させようとそう言うが、マイの不安はぬぐえなかった。
この時の戦闘分析から、敵はステルス機能を多用している事が判明。
レーダーの探知用の波長を、故意に乱して相手に返す。
これにより、相手は幻覚に襲われる。
敵が見えなかったり、居ない敵が見えたり。
そしてこの時代、複数のレーダーを同時に使用している。
その波長を同時に操る事で、自爆をうながす事も可能。
そして、制御機能を奪う事も。
この戦闘を機に、制御機能の防衛を強化。
この時と同じ攻撃なら、今度は完全に防ぐ事が出来る。
幻覚からの自爆については、対策機能はなかった。
対峙した時、複数のレーダーを切れば防げるからだ。
それは、敵を前にして、目をつぶる行為に等しい。
これを故意ではなく、自動で機能させる事は、出来なかったのだ。
これがマインとメドーとの戦いの顛末。
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