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宇宙召喚編
第25話 多次元空間を使った戦闘
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これは西暦9980年のはるか未来のお話。
星間レースに優勝したブルレア連邦に、レドリア合衆国が挑戦状を叩きつけてきた。
恒星系の開発権を取られてしまった腹いせに、ブルレアのシリウス構想の全容をあばきたかったのだ。
マイとマインが挑むのは、レドリアでも最強の地位にいる、ゴンゴル三姉妹。
無敵とも思われるゴンゴル三姉妹だが、撃ち破る手段はあった。
それは、先の星間レースで激突王ダントッパが見せた、ブレイブである。
ブレイブ。
先の星間レースにおいて、ジョーは色々な機材を揃えてブレイブの解析に臨んだ。
激突王の使うブレイブ。
それは言い伝えだけで、ブルレアには記録はなかった。
ジョーも色々仮説を立ててはいたが、どれも確証は得られない。
それが実証出来る機会が訪れたのだ。
ジョーはこの星間レース、マイの活躍よりもむしろ、こちらの期待の方が大きかった。
そのブレイブの解析結果をふまえた上で、ジョーは言った。
「ブレイブの再現は可能。だが、お勧めはしない。」
ブレイブには、幾つかの弱点があった。
それも、致命的な弱点が。
ブレイブは、ブレイブでしか破れない。
つまり、相手もブレイブを使うなら、その時点で必勝ではなくなる。
そして、ブレイブは戦闘継続時間が、あまりにも短すぎた。
連戦は、まず不可能。もって二連戦だ。
それをふまえると、なぜ先の星間レースに参戦したのかが、不思議だ。
レドリアを葬れば、それでよかったとしか、思えない。
そう、レドリアに優勝させなければ、自分達は負けても良かった。
だが、ダントッパは、エネルギー回復装置を持ち込んでいた。
宇宙空間に存在するダークマターを取り込み、機体エネルギーに変換する。
人が大気中から酸素を取り込み、活力に換えるのと同じ原理だ。
つまりダントッパも、優勝は諦めてはいなかった。
だが、結果はわずかにおよばなかった。
ブレイブの継続時間の短さの証明として、ジョーは星間レース中の、ダントッパの機体の遍歴を、投影装置に映し出した。
まずは、スタート直前の映像。
小型のコアシャトルと、小さな球体ふたつ。色は紫と緑の小さな球体型の伴機だった。
そして、ゴンゴル三姉妹との対戦時。
ダントッパの機体は、四足獣に姿を変えていた。
牛のような角のあるその四足獣は、顔がドラゴンだった。
二機の伴機は四足獣の背中に合体し、緑と紫の光を放つ。
臨戦体勢に入ったゴンゴル三姉妹は散開するが、そこへ四足獣の咆哮。
ゴンゴル三姉妹は、何かに吸い寄せられるように、一箇所に集まる。四足獣の突進する軌道の先に。
四足獣はそのまま突進し、ゴンゴル三姉妹は爆散した。
「激突王。」
誰かがそう呟いた。
そう、これがまさに、激突王の由縁だった。
次に、ケイとの対戦時。
四足獣だった機体は、下半身は馬、上半身は人の半人半馬、ケンタルウスに姿を変えていた。
ケンタルウスの顔はドラゴンで、弓を持っていた。
二機の伴機の姿は見えなかった。
苦戦するケイ。
どこからか紫の伴機が出現し、ケンタルウスの背中に合体する。
ケンタルウスの突進に、ケイはなす術がなかった。
そして最後は、マイとの対戦時。
ダントッパの機体はコアシャトルだった。
この時も伴機二機は見えないが、存在はしていた。
手のひらに収まるくらい小さくなった伴機。
ケイとの対戦から、その可能性を考慮して、米粒大でも拾えるレーダーに切り替えて撮影したのだった。
ブレイブの弱点のひとつは、連戦不可能な継続時間の短さ。
それをダントッパは自機の形状を変化させる事で補った。
エネルギー回復装置にまで頼って。
ブレイブ使いと言われるダントッパでさえ、こうなのだ。
素人が付け焼き刃でどうにか出来る代物ではない。
そして、激突王の仕組みはこうだった。
ダントッパは、他次元空間を利用していた。
世界には、無数の次元空間が存在する。
ワープに使用する超空間にも支流は存在する。
おおまかな支流は知られていても、知られていない支流も存在する。
他次元空間も、そうだ。
ダントッパは、その知られていない他次元空間を利用する。
今いる次元空間に存在する物体が、同時に存在する次元空間も存在する。
その他次元空間で物体に何かすれば、この次元空間の物体にも影響を与える。
ダントッパが攻撃する時、他次元空間において相手とダントッパは、トンネル空間に包まれる。
相手は、このトンネルから抜け出る事が出来ない。
その影響は、実在の次元空間にも現れる。
狙われた相手は身動きとれないし、横から攻撃を加えても、トンネル内のダントッパには当たらない。
そしてダブルブレイブ時、そのトンネルは、その場に存在する全ての相手へとのびる。
このトンネルは、出来た瞬間に固定される物ではない。
ダントッパの機体を起点にしている。
つまり、ダントッパはいつでも任意の相手に激突する事が出来る。
ゴンゴル三姉妹に勝ったブレイブ。
それは多次元空間を利用したものだった。
となると当然、ゴンゴル三姉妹にはもう、通用しないのではとの疑問が浮かぶ。
ゴンゴル三姉妹のステルスも、物体が同時に存在する多次元空間に作用しているからだ。
先の敗北から、何かを得てるかもしれない。
だが、ジョーはその可能性は無いと言い切る。
なぜなら、ゴンゴル三姉妹のステルスは、可能性のある全ての多次元空間を網羅してると思ってるからだ。
ブレイブに使う他次元空間は、あまた存在する多次元空間の法則性を理解した先に、存在する。
この法則性が分からない限り、ブレイブの次元空間にはたどり着けない。
だが、多用すれば、いずれ気づく。
気づかれる前に、決着をつけなければならない。
ゴンゴル三姉妹戦をブレイブで勝ち取るには、短期決戦で勝ち取らなければならない。
決戦の回数を重ねれば、その分、対策される可能性が増す事になる。
星間レースに優勝したブルレア連邦に、レドリア合衆国が挑戦状を叩きつけてきた。
恒星系の開発権を取られてしまった腹いせに、ブルレアのシリウス構想の全容をあばきたかったのだ。
マイとマインが挑むのは、レドリアでも最強の地位にいる、ゴンゴル三姉妹。
無敵とも思われるゴンゴル三姉妹だが、撃ち破る手段はあった。
それは、先の星間レースで激突王ダントッパが見せた、ブレイブである。
ブレイブ。
先の星間レースにおいて、ジョーは色々な機材を揃えてブレイブの解析に臨んだ。
激突王の使うブレイブ。
それは言い伝えだけで、ブルレアには記録はなかった。
ジョーも色々仮説を立ててはいたが、どれも確証は得られない。
それが実証出来る機会が訪れたのだ。
ジョーはこの星間レース、マイの活躍よりもむしろ、こちらの期待の方が大きかった。
そのブレイブの解析結果をふまえた上で、ジョーは言った。
「ブレイブの再現は可能。だが、お勧めはしない。」
ブレイブには、幾つかの弱点があった。
それも、致命的な弱点が。
ブレイブは、ブレイブでしか破れない。
つまり、相手もブレイブを使うなら、その時点で必勝ではなくなる。
そして、ブレイブは戦闘継続時間が、あまりにも短すぎた。
連戦は、まず不可能。もって二連戦だ。
それをふまえると、なぜ先の星間レースに参戦したのかが、不思議だ。
レドリアを葬れば、それでよかったとしか、思えない。
そう、レドリアに優勝させなければ、自分達は負けても良かった。
だが、ダントッパは、エネルギー回復装置を持ち込んでいた。
宇宙空間に存在するダークマターを取り込み、機体エネルギーに変換する。
人が大気中から酸素を取り込み、活力に換えるのと同じ原理だ。
つまりダントッパも、優勝は諦めてはいなかった。
だが、結果はわずかにおよばなかった。
ブレイブの継続時間の短さの証明として、ジョーは星間レース中の、ダントッパの機体の遍歴を、投影装置に映し出した。
まずは、スタート直前の映像。
小型のコアシャトルと、小さな球体ふたつ。色は紫と緑の小さな球体型の伴機だった。
そして、ゴンゴル三姉妹との対戦時。
ダントッパの機体は、四足獣に姿を変えていた。
牛のような角のあるその四足獣は、顔がドラゴンだった。
二機の伴機は四足獣の背中に合体し、緑と紫の光を放つ。
臨戦体勢に入ったゴンゴル三姉妹は散開するが、そこへ四足獣の咆哮。
ゴンゴル三姉妹は、何かに吸い寄せられるように、一箇所に集まる。四足獣の突進する軌道の先に。
四足獣はそのまま突進し、ゴンゴル三姉妹は爆散した。
「激突王。」
誰かがそう呟いた。
そう、これがまさに、激突王の由縁だった。
次に、ケイとの対戦時。
四足獣だった機体は、下半身は馬、上半身は人の半人半馬、ケンタルウスに姿を変えていた。
ケンタルウスの顔はドラゴンで、弓を持っていた。
二機の伴機の姿は見えなかった。
苦戦するケイ。
どこからか紫の伴機が出現し、ケンタルウスの背中に合体する。
ケンタルウスの突進に、ケイはなす術がなかった。
そして最後は、マイとの対戦時。
ダントッパの機体はコアシャトルだった。
この時も伴機二機は見えないが、存在はしていた。
手のひらに収まるくらい小さくなった伴機。
ケイとの対戦から、その可能性を考慮して、米粒大でも拾えるレーダーに切り替えて撮影したのだった。
ブレイブの弱点のひとつは、連戦不可能な継続時間の短さ。
それをダントッパは自機の形状を変化させる事で補った。
エネルギー回復装置にまで頼って。
ブレイブ使いと言われるダントッパでさえ、こうなのだ。
素人が付け焼き刃でどうにか出来る代物ではない。
そして、激突王の仕組みはこうだった。
ダントッパは、他次元空間を利用していた。
世界には、無数の次元空間が存在する。
ワープに使用する超空間にも支流は存在する。
おおまかな支流は知られていても、知られていない支流も存在する。
他次元空間も、そうだ。
ダントッパは、その知られていない他次元空間を利用する。
今いる次元空間に存在する物体が、同時に存在する次元空間も存在する。
その他次元空間で物体に何かすれば、この次元空間の物体にも影響を与える。
ダントッパが攻撃する時、他次元空間において相手とダントッパは、トンネル空間に包まれる。
相手は、このトンネルから抜け出る事が出来ない。
その影響は、実在の次元空間にも現れる。
狙われた相手は身動きとれないし、横から攻撃を加えても、トンネル内のダントッパには当たらない。
そしてダブルブレイブ時、そのトンネルは、その場に存在する全ての相手へとのびる。
このトンネルは、出来た瞬間に固定される物ではない。
ダントッパの機体を起点にしている。
つまり、ダントッパはいつでも任意の相手に激突する事が出来る。
ゴンゴル三姉妹に勝ったブレイブ。
それは多次元空間を利用したものだった。
となると当然、ゴンゴル三姉妹にはもう、通用しないのではとの疑問が浮かぶ。
ゴンゴル三姉妹のステルスも、物体が同時に存在する多次元空間に作用しているからだ。
先の敗北から、何かを得てるかもしれない。
だが、ジョーはその可能性は無いと言い切る。
なぜなら、ゴンゴル三姉妹のステルスは、可能性のある全ての多次元空間を網羅してると思ってるからだ。
ブレイブに使う他次元空間は、あまた存在する多次元空間の法則性を理解した先に、存在する。
この法則性が分からない限り、ブレイブの次元空間にはたどり着けない。
だが、多用すれば、いずれ気づく。
気づかれる前に、決着をつけなければならない。
ゴンゴル三姉妹戦をブレイブで勝ち取るには、短期決戦で勝ち取らなければならない。
決戦の回数を重ねれば、その分、対策される可能性が増す事になる。
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