未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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宇宙召喚編

第26話 特訓開始

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 前回はブレイブの解説だけで終わってしまった。
 本来、設定の羅列ではなく、キャラの会話劇で話しを進めるべきだ。
 しかし、キャラの会話劇だと、四倍の分量を使う。
 さらに、話しが脱線し、別のエピソードを挟む可能性も出てくる。
 人気作品になる為には、魅力的なキャラ達の活きた会話劇は欠かせない。
 これを放棄する事は、人気作品になる事を諦めたとも言える。
 それでいいのだろうか?
 それだと、何の為に書いてるのだろうか?
 この際、この作品のキャラは魅力的なのかは、さておこう。
 このお話は、人気作品になる為の会話劇を書くか、
 それとも、自己満足の為にストーリーの羅列を書くか、
 その狭間で揺れ動く、ひとりの男の葛藤の物語でもある。


 マイとマインは、来たるゴンゴル三姉妹戦に対しての特訓を開始する。
 ゴンゴル三姉妹に見立てたダミーの機体を、マイとマインの機体が前後から挟み撃ち。
 つまり、マイとマインの機体をつなぐ直線上に、ダミーの機体がいる。
「いくよ、マイ!」
「オッケー!」
 マインの掛け声で、ふたりの機体はダミー機体への距離を詰める。
 ズガガガガ、ズガガガガ!
 二機からの攻撃を、ダミー機体はひょいとかわす。
 このダミー機体は遠隔操作されているのだ。
「回避!」
「回避!」
 マイとマインは同時に叫ぶ。
 そして同時に右旋回。衝突を防ぐ。
 ふたりが安堵すると同時に、ジョーからのお怒りの通信が入る。
「おまえらー、ちゃんとアンカー打ってんのかぁ?」
「やってますよー!」
 マインが即座に応答する。
「これ、意外と難しいんですよー!」
 とマイが付け加える。

 激突王ダントッパの使ったブレイブ。
 これは、マイ達のシリウスアルファーシリーズにも再現可能だった。
 と言っても、激突王の使うそれとは、少し違う。
 今いる次元空間と、物体が同時に存在する多次元空間に、アンカーを打つ。
 ふたつのアンカーを結ぶ直線に、次元の裂け目が出来る。
 これに対象を引っ掛ける事で、ブレイブのトンネル空間とほぼ同様の効果になる。
 元々トライフォースとは、これを想定していた。
 四機の機体で三角錐を作り、多次元空間にアンカーを打ち込む事で、その内側に対象物を閉じこめる。
 これは、質量を持ったフォログラフの投影機体では出来ない。
 伴機を使ってのひとりでの活用は、可能ではあるが事実上不可能だった。
 と言うのも、離れた位置にある四つのスイッチを、同時に入れる方法があるなら、こっちが聞きたい。
 そんな訳で、四機の機体と四人のパイロットが必要になる。
 だが、多次元空間にアンカーを打てる機能は、シリウスアルファーシリーズにしか実装されていない。
 ここまでやる必要もないのでは、という事で、ベータシリーズ以降の機体には、実装されていない。後付けで搭載しても、シリーズをこえた運用は出来ない。
 マイとマイン以外のアルファーシリーズの機体、シリウスアルファースリーとシリウスアルファーゼロのパイロットは、今はいない。
 マイとマインの二機でやる場合、直線上に相手を置く、この方法しかなかった。
 敵の位置など、三角錐の内側ならどこでもいい四機での運用と違い、二機での運用は、タイミングがシビアすぎた。

「もう一度いくよ、マイ!」
「オッケー!」
 マインの呼びかけに、マイが応える。
 このアンカーを多次元空間に打つ作業は、意外と難しい。
 動きながらだと、打ち込み可能な領域把握が厄介だった。
 そして、二機で同じタイミングで打たなければならない。
 千分の一秒の狂いも許されなかった。

「タイミングは、あってきたわね。」
 何百回目の挑戦後、マインがそう語りかける。
「そうね、もう少しだね。」
 マイもそう応え、まだ続ける。
「いや、今日はここまでだ。」
 ジョーはふたりの練習を中断させるべく、ダミーの機体を回収する。
「ちょ、ちょっとジョー、何するのよ。」
 マイはそう叫ぶが、マインは気づいた。
「マイ、残り燃料が少ないわ。今日はここまでよ。」
「えー、そんなー。」
 マイは少し残念だった。燃料無くなったら、自爆して帰ればいいじゃんと言いかけたが、やめておいた。
 その場合、機体再生に20時間はかかる。
「じゃあ、燃料補給したら、再開しよ。」
 自爆しない代わりの案を、マイは口にした。
「ええ、もう少しなんだから、出来るまで続けましょう!」
 マインも同意するが、ジョーは水をさす。
「いや、これ以上やっても無駄だ。だから」
「無駄って何よ!」
 ジョーの発言をさえぎって、マイは叫ぶ。
「これが出来ないと僕達、レドリアに捕まっちゃうのよ!」
「だーかーら!」
 話しを最後まで聞かないマイに、ジョーも少しいらつく。
「おまえらの息が合わない限り、何度やっても結果は」
「私達の息はぴったりよ!」
 今度はマインがジョーの発言をさえぎる。
「私達は親友よ。マイが私に取られちゃうからって、妬かないでよ!」
「ああ、もう!」
 マイもマイなら、マインもマインだなと、ジョーは思った。
「今以上に、息を合わせないと駄目なんだよ!」
「今以上、」
「合わせる?」
 マイとマインは、お互いの顔を見合わせる。
 といっても、宇宙空間をそれなりの距離を離れてはいるが。
「そうだ、これから最低24時間、一緒にすごしてもらうぞ、マインの部屋で。」
「えー?私の部屋でですかー?」
 ジョーの提言に、マインは思わず叫ぶ。
 この時代に召喚されたばかりのマイの部屋には、何もない。
 ベッドとシャワーとトイレ、それと電子書籍の端末があるだけだ。
 召喚された者達は、働きによって望む報酬を得る。
 まだ活躍していないマイと違い、マインの部屋はそれなりに充実されていた。
 何もないマイの部屋で一緒に過ごすより、マインの部屋で過ごした方が、会話もはずむだろう。
「そ、そういう事なら、仕方ないですね。ちょっと恥ずかしいけれど。」
 それぞれの部屋の状況を、額のチップからダウンロードされ、マインは渋々認めた。
「ああ、その恥ずかしさがなくなるまで、一緒にいてもらうぞ?」
「えー?なんでですかー!」
 ジョーのそっけない発言に、マインは早くもこっ恥ずかしさがこみあげてくる。
「それくらい息を合わせてくれないと、困るんだよな。」
 そう言うジョーの表情がにやける。
 マイにはふたりを気づかう優しい微笑みに見えた。
 マインには、悪魔の微笑みに見えた。
 といっても、サウンドオンリーで画像はないのだが。

 こうしてこの日の訓練を終え、宇宙ステーションに戻るマイとマインであった。
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