28 / 215
宇宙召喚編
第28話 未来の部屋の中
しおりを挟む
これは西暦9980年のはるか未来のお話。
この時代に召喚された召喚者には、サポートAIがつく。
召喚者はチップを内蔵した鉢巻をする事で、サポートAIへの意思伝達が出来る。
そして、情報のダウンロードが可能となる。
サポートAIは、常に召喚者と一緒にいる。
召喚者が戦闘機に乗り込む時は、一緒にいられないが、額に当てがったチップにより、意思伝達は可能。
司令室の一角にある専用カプセル内にいるサポートAIの声は、召喚者の左手のリストバンド型通信機から、召喚者に届く。
それが不可能な時は、召喚者の脳内に直接届ける。
こうして、常に共にいる事が前提の、召喚者とサポートAI。
この前提が、崩れる時が来てしまった。
マインの部屋の前でマインを待つマイとジョー。
マイは、ジョーの横顔をまともに見る事が出来なかった。
「ゼロ!」
ジョーのカウントダウンが終わる。
「ま、まだ待ってよー。」
中からマインの声がする。
「待てなーい。開けるぞー。」
ぐいーん。
ジョーは部屋の扉を強引に開く。
「さ、マイ。いってらっしゃい。」
「はい。」
ジョーの凛々しい笑顔にキュンとするマイ。
「ん?どうしたの?早くしないと。」
「は、はい!」
ジョーに見とれて動けなくなったマイを、早く行こうとうながす。
「い、行ってきます。」
「おう、行ってこい。」
ジョーに促されて、マイは恐る恐るマインの部屋に入る。
「お、お邪魔しまーす。」
マインの部屋はモノがあふれ、マイの部屋より広かった。
「広ーい。これが女の子の部屋か。初めて入った。」
マイは第一印象を述べる。
「女の子の部屋って、あなたも女の子でしょ。」
マインは少し照れて、そう返した。
「えと、」
中身はおっさんなマイ。それを言おうか迷ったが、やめておいた。
「僕以外の女の子って意味だよ。」
それを聞いて、マインは疑問に思った。初めて入った女の子の部屋。
「えと、気を悪くしたら、ごめんね。マイって友達いなかったの?」
その言葉に、こくりとうなずくマイ。
「ご、ごめんなさい。実は私も友達少なくて、友達を部屋に入れるのは、初めてなの。」
そう言うマインも、少し照れ顔だ。
「って、マイって記憶が曖昧なんだっけ。」
マインは、マイとの以前の会話を思い出す。
「そうなんだけど、友達は少ないって言うか、居なかったような感じなんだよね。」
マイは記憶をたどってみても、記憶は曖昧すぎて、よく分からん。
まるで、数日前に見た夢を思い出そうとしてるような、そんな感覚だ。
「それも変なのよねぇ。」
マインはマイの様子を不思議がる。
「普通は覚えているものよ。何月何日の朝に召喚されたのか。
最後に食べた食事は何だったのか、くらいは。」
「随分違うんだね、所で、」
マイはマインの部屋を見渡す。
ベッドがあって、本棚があってテレビがあって、レコーダーの類いがあって、ゲーム機っぽいのが数台。マイにも見覚えのあるゲーム機も混じっている。
「随分違うんですけど、僕の部屋と。」
「マイは召喚されたばかりだからね。これから増えてくわよ。」
マイの言葉に、先輩ヅラなマイン。
マイの返しを待つのだが、マイの反応がない。
「マイ?」
会話の途切れたマイに、マインは声をかけてみる。
それで我にかえるマイ。
「あ、ごめん。いつもだったらアイがインストールしてくれるんだけどね。」
マイはチップを内蔵した鉢巻をくるくる回しながら応える。
「そっか、いつもはインストール入るんだっけ。今は、私の説明がいるのね。」
マインも鉢巻を外した弊害に気がつく。
「うん、説明お願い出来るかな。」
慣れない事を頼むのは、マイには少し気がひけた。
「いいわ、ミサがやってくれたようにやればいいのね。」
マインは、どちらかといえば、乗り気だが。
「それでは、こほん。
私達召喚者はね、働きの報酬として、好きなモノを貰えるわ。」
「好きなモノ?お金とかじゃないの?」
早速説明に割り込むマイ。
「いい質問ね。」
長文説明待ったなしと思ってたマインは、ひと呼吸おけるこの展開は、どちらからというと、嬉しかった。
「お金で貰っても、私達の移動区画内にお店はないから、お金は使えないの。」
「でも、居酒屋区画ってのがあるんでしょ?アイとミサがしょっちゅう行ってるじゃん。」
早速つっこみを入れるマイ。あったよね、そゆの。
「私はお酒飲めないから、よく分からないんだけど、多分、ポイント対応なんだと思う。」
「ポイント対応って?」
「んー、私の説明が良くなかったわね。報酬で貰えるのは、モノじゃなくてポイント。このポイントをモノに換えてるイメージかな?」
マイは早くも頭がいたくなる。
「ちょっと待って、ポイントってポイントカードとかあるわけ?
今マインは、何ポイント持ってるの?」
「さあ?」
マインも早速説明に行き詰まる。
書いてるヤツも迷走してるのは、秘密だぞ。
「私も報酬であれ欲しい、これ欲しいって言うだけで、ポイント意識した事ないから、よく分からなーい。
でもちょっとお菓子食べたいって時のミサの反応だと、ポイント対応だと思うのよ。」
マインも、よく分かっていないらしい。
書いてるヤツも、今思いついた設定だから、なんとなくで理解しよう。
マイも、なんとなくで理解した。
「欲しいモノなら、多分何でも貰えるわ。例えばこれ。」
マインはゲーム機の山を指差す。
「この時代のゲーム機はもちろん、私の時代のゲーム機、もっと古い昔のレトロなゲーム機。
なんか、イメージ出来るモノなら、いけるみたい。」
またもや曖昧な説明。アイの補完説明が欲しい所だ。
でも、普段何気なくやってる行動を言葉にしようとしたら、こんなとこだろう。
「ゲーム機か。」
マイは、八台くらいあるゲーム機の山に興味を持つ。
こんな沢山のゲーム機。プレイする時間はあるのだろうか?
一応建前としては、マイ達召喚者は、戦争するためにこの時代に召喚されている。
ゲーム機のコントローラーを手に取って見比べてみるも、時代によっての変化は、あまりなかった。
「ゲームに興味あるの?やってみる?」
マインはコントローラーをいじりはじめたマイに、聞いてみる。
「いや、今はマインと話していたいから。」
「ま、マイったら。」
マイの応えに、少し照れるマイン。
そんなマインにお構いなく、マイの興味は次に移る。
今度は本棚だ。
五段の本棚で、横幅は十メートルはありそうだ。
「これ、全部読んだの?」
「当然。」
マインは鼻を高くして応える。
「本も報酬で貰えるわ。歴史に関する本はダメだったけれど、それ以外なら貰えたわ。この時代に発見された理論に関する本なんかは、ちゃんと貰えたわ。」
「それはなんともいい加減な判断基準だね。」
「ほんとよ。歴史モノの創作物はよくて、歴史書はダメってなんなのよ?」
マインも、曖昧な判断基準をグチにする。
「西暦5000年頃を舞台にした本なら、史実だろうが創作だろうが、こっちには分からないじゃん。どっちも空想よ。」
マインのグチも、もっともなような、違うような。
マイにはよく分からなかった。
そんなマイに、一冊の本が渡される。
「これが『のがない』よ。この前話しに出てきたでしょ?」
かわいらしい女の子のイラストが表紙に描かれたその本。
そしてその本は、マイには読めなかった。
「これ、何語で書かれてるの?英語でもなさそうだし。」
「何語って、現代語だけど。あ、そっか。チップないから、翻訳機能働かないのか。」
「ふーん、これが現代語か。アルファベットでもないようだし、八千年もすれば変わるもんだねぇ。
ってあれ?マインって英語を喋ってるんだよね?僕は日本語」
「マイ!」
マイは、何かに気づく。
それ以上考えるなとばかりに、マインは叫んだ。
何事かとマインを見るマイに、マインはあたふたと言い繕う。
「あ、あのね、マイ。えっとね、えっと、そう!
この時代って、夢みたいなもんなのよ。
召喚された夢を見ているの。現実には、ちょっと違うけど。
分かる?」
「ああ、そんな説明されたっけ。それがどうしたの?」
マインは、ひとまず理解してくれたマイに、ほっとする。
「夢なのよ。夢の中なら、出来る事はなんでも出来る。
意思疎通なんて、出来て当たり前でしょ?
私達はずっと会話してきたのよ。これは出来て当然なの。」
マインの説明に、どこか疑問を持ったような表情のマイ。
「マイ、お願い、私を信じて。
私達は、ちゃんと話せてる。英語、日本語、関係ない。
私達は、意思疎通出来てるの。この事はもういいでしょ?
これ以上考えないで。お願い。」
マインの切実な表情に、この先何かあるとマイは思った。
それは何かと興味はあるが、マインは詮索しないでほしいみたいなので、マイは考えるのをやめた。
出来る事は出来る。
つまり、出来ない事は出来ない。
英語と日本語で、何で会話が成立するんだ?
こう思った瞬間、会話は成立しなくなる。
会話は出来なくても、意思疎通は出来る。
こう思えれば、意思疎通は出来る。
だがこの考え方は、会話を媒介にしない状況では、かなり危うい。
次にマイは、部屋の片隅に、敷物を被せられた棚らしきモノに興味がわく。
マイは敷物をめくる。
「だ、ダメー、そこはダメー」
マインは止めに入るも、間に合わなかった。
敷物の下に隠されていたのは、店によくあるショーケースだった。
中身は、美少女フィギュアが多数。
「み、見られた。見られたくなかったのに。」
マインは床にがっくし両手をつく。
マイが部屋に入るまでの十秒の猶予。
その間に出来たのは、ここに敷物を被せる事だけだった。
「えー、いいじゃん、これ。見られたっていいじゃん。」
「ほんと?」
マイの言葉に、マインもほっとする。
美少女が言ってると思うと、凄くいい場面だ。
しかし、中身はおっさんな事を思うと、凄く気色悪い!
これは、触れないでおこう。後で削除するんだ、このシーンは。
この時代に召喚された召喚者には、サポートAIがつく。
召喚者はチップを内蔵した鉢巻をする事で、サポートAIへの意思伝達が出来る。
そして、情報のダウンロードが可能となる。
サポートAIは、常に召喚者と一緒にいる。
召喚者が戦闘機に乗り込む時は、一緒にいられないが、額に当てがったチップにより、意思伝達は可能。
司令室の一角にある専用カプセル内にいるサポートAIの声は、召喚者の左手のリストバンド型通信機から、召喚者に届く。
それが不可能な時は、召喚者の脳内に直接届ける。
こうして、常に共にいる事が前提の、召喚者とサポートAI。
この前提が、崩れる時が来てしまった。
マインの部屋の前でマインを待つマイとジョー。
マイは、ジョーの横顔をまともに見る事が出来なかった。
「ゼロ!」
ジョーのカウントダウンが終わる。
「ま、まだ待ってよー。」
中からマインの声がする。
「待てなーい。開けるぞー。」
ぐいーん。
ジョーは部屋の扉を強引に開く。
「さ、マイ。いってらっしゃい。」
「はい。」
ジョーの凛々しい笑顔にキュンとするマイ。
「ん?どうしたの?早くしないと。」
「は、はい!」
ジョーに見とれて動けなくなったマイを、早く行こうとうながす。
「い、行ってきます。」
「おう、行ってこい。」
ジョーに促されて、マイは恐る恐るマインの部屋に入る。
「お、お邪魔しまーす。」
マインの部屋はモノがあふれ、マイの部屋より広かった。
「広ーい。これが女の子の部屋か。初めて入った。」
マイは第一印象を述べる。
「女の子の部屋って、あなたも女の子でしょ。」
マインは少し照れて、そう返した。
「えと、」
中身はおっさんなマイ。それを言おうか迷ったが、やめておいた。
「僕以外の女の子って意味だよ。」
それを聞いて、マインは疑問に思った。初めて入った女の子の部屋。
「えと、気を悪くしたら、ごめんね。マイって友達いなかったの?」
その言葉に、こくりとうなずくマイ。
「ご、ごめんなさい。実は私も友達少なくて、友達を部屋に入れるのは、初めてなの。」
そう言うマインも、少し照れ顔だ。
「って、マイって記憶が曖昧なんだっけ。」
マインは、マイとの以前の会話を思い出す。
「そうなんだけど、友達は少ないって言うか、居なかったような感じなんだよね。」
マイは記憶をたどってみても、記憶は曖昧すぎて、よく分からん。
まるで、数日前に見た夢を思い出そうとしてるような、そんな感覚だ。
「それも変なのよねぇ。」
マインはマイの様子を不思議がる。
「普通は覚えているものよ。何月何日の朝に召喚されたのか。
最後に食べた食事は何だったのか、くらいは。」
「随分違うんだね、所で、」
マイはマインの部屋を見渡す。
ベッドがあって、本棚があってテレビがあって、レコーダーの類いがあって、ゲーム機っぽいのが数台。マイにも見覚えのあるゲーム機も混じっている。
「随分違うんですけど、僕の部屋と。」
「マイは召喚されたばかりだからね。これから増えてくわよ。」
マイの言葉に、先輩ヅラなマイン。
マイの返しを待つのだが、マイの反応がない。
「マイ?」
会話の途切れたマイに、マインは声をかけてみる。
それで我にかえるマイ。
「あ、ごめん。いつもだったらアイがインストールしてくれるんだけどね。」
マイはチップを内蔵した鉢巻をくるくる回しながら応える。
「そっか、いつもはインストール入るんだっけ。今は、私の説明がいるのね。」
マインも鉢巻を外した弊害に気がつく。
「うん、説明お願い出来るかな。」
慣れない事を頼むのは、マイには少し気がひけた。
「いいわ、ミサがやってくれたようにやればいいのね。」
マインは、どちらかといえば、乗り気だが。
「それでは、こほん。
私達召喚者はね、働きの報酬として、好きなモノを貰えるわ。」
「好きなモノ?お金とかじゃないの?」
早速説明に割り込むマイ。
「いい質問ね。」
長文説明待ったなしと思ってたマインは、ひと呼吸おけるこの展開は、どちらからというと、嬉しかった。
「お金で貰っても、私達の移動区画内にお店はないから、お金は使えないの。」
「でも、居酒屋区画ってのがあるんでしょ?アイとミサがしょっちゅう行ってるじゃん。」
早速つっこみを入れるマイ。あったよね、そゆの。
「私はお酒飲めないから、よく分からないんだけど、多分、ポイント対応なんだと思う。」
「ポイント対応って?」
「んー、私の説明が良くなかったわね。報酬で貰えるのは、モノじゃなくてポイント。このポイントをモノに換えてるイメージかな?」
マイは早くも頭がいたくなる。
「ちょっと待って、ポイントってポイントカードとかあるわけ?
今マインは、何ポイント持ってるの?」
「さあ?」
マインも早速説明に行き詰まる。
書いてるヤツも迷走してるのは、秘密だぞ。
「私も報酬であれ欲しい、これ欲しいって言うだけで、ポイント意識した事ないから、よく分からなーい。
でもちょっとお菓子食べたいって時のミサの反応だと、ポイント対応だと思うのよ。」
マインも、よく分かっていないらしい。
書いてるヤツも、今思いついた設定だから、なんとなくで理解しよう。
マイも、なんとなくで理解した。
「欲しいモノなら、多分何でも貰えるわ。例えばこれ。」
マインはゲーム機の山を指差す。
「この時代のゲーム機はもちろん、私の時代のゲーム機、もっと古い昔のレトロなゲーム機。
なんか、イメージ出来るモノなら、いけるみたい。」
またもや曖昧な説明。アイの補完説明が欲しい所だ。
でも、普段何気なくやってる行動を言葉にしようとしたら、こんなとこだろう。
「ゲーム機か。」
マイは、八台くらいあるゲーム機の山に興味を持つ。
こんな沢山のゲーム機。プレイする時間はあるのだろうか?
一応建前としては、マイ達召喚者は、戦争するためにこの時代に召喚されている。
ゲーム機のコントローラーを手に取って見比べてみるも、時代によっての変化は、あまりなかった。
「ゲームに興味あるの?やってみる?」
マインはコントローラーをいじりはじめたマイに、聞いてみる。
「いや、今はマインと話していたいから。」
「ま、マイったら。」
マイの応えに、少し照れるマイン。
そんなマインにお構いなく、マイの興味は次に移る。
今度は本棚だ。
五段の本棚で、横幅は十メートルはありそうだ。
「これ、全部読んだの?」
「当然。」
マインは鼻を高くして応える。
「本も報酬で貰えるわ。歴史に関する本はダメだったけれど、それ以外なら貰えたわ。この時代に発見された理論に関する本なんかは、ちゃんと貰えたわ。」
「それはなんともいい加減な判断基準だね。」
「ほんとよ。歴史モノの創作物はよくて、歴史書はダメってなんなのよ?」
マインも、曖昧な判断基準をグチにする。
「西暦5000年頃を舞台にした本なら、史実だろうが創作だろうが、こっちには分からないじゃん。どっちも空想よ。」
マインのグチも、もっともなような、違うような。
マイにはよく分からなかった。
そんなマイに、一冊の本が渡される。
「これが『のがない』よ。この前話しに出てきたでしょ?」
かわいらしい女の子のイラストが表紙に描かれたその本。
そしてその本は、マイには読めなかった。
「これ、何語で書かれてるの?英語でもなさそうだし。」
「何語って、現代語だけど。あ、そっか。チップないから、翻訳機能働かないのか。」
「ふーん、これが現代語か。アルファベットでもないようだし、八千年もすれば変わるもんだねぇ。
ってあれ?マインって英語を喋ってるんだよね?僕は日本語」
「マイ!」
マイは、何かに気づく。
それ以上考えるなとばかりに、マインは叫んだ。
何事かとマインを見るマイに、マインはあたふたと言い繕う。
「あ、あのね、マイ。えっとね、えっと、そう!
この時代って、夢みたいなもんなのよ。
召喚された夢を見ているの。現実には、ちょっと違うけど。
分かる?」
「ああ、そんな説明されたっけ。それがどうしたの?」
マインは、ひとまず理解してくれたマイに、ほっとする。
「夢なのよ。夢の中なら、出来る事はなんでも出来る。
意思疎通なんて、出来て当たり前でしょ?
私達はずっと会話してきたのよ。これは出来て当然なの。」
マインの説明に、どこか疑問を持ったような表情のマイ。
「マイ、お願い、私を信じて。
私達は、ちゃんと話せてる。英語、日本語、関係ない。
私達は、意思疎通出来てるの。この事はもういいでしょ?
これ以上考えないで。お願い。」
マインの切実な表情に、この先何かあるとマイは思った。
それは何かと興味はあるが、マインは詮索しないでほしいみたいなので、マイは考えるのをやめた。
出来る事は出来る。
つまり、出来ない事は出来ない。
英語と日本語で、何で会話が成立するんだ?
こう思った瞬間、会話は成立しなくなる。
会話は出来なくても、意思疎通は出来る。
こう思えれば、意思疎通は出来る。
だがこの考え方は、会話を媒介にしない状況では、かなり危うい。
次にマイは、部屋の片隅に、敷物を被せられた棚らしきモノに興味がわく。
マイは敷物をめくる。
「だ、ダメー、そこはダメー」
マインは止めに入るも、間に合わなかった。
敷物の下に隠されていたのは、店によくあるショーケースだった。
中身は、美少女フィギュアが多数。
「み、見られた。見られたくなかったのに。」
マインは床にがっくし両手をつく。
マイが部屋に入るまでの十秒の猶予。
その間に出来たのは、ここに敷物を被せる事だけだった。
「えー、いいじゃん、これ。見られたっていいじゃん。」
「ほんと?」
マイの言葉に、マインもほっとする。
美少女が言ってると思うと、凄くいい場面だ。
しかし、中身はおっさんな事を思うと、凄く気色悪い!
これは、触れないでおこう。後で削除するんだ、このシーンは。
0
あなたにおすすめの小説
Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~
たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。
だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。
世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。
「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる