未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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惑星ファンタジー迷走編

第45話 千年前から伝わる伝説の剣

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 行方不明になったケイを探しに、マイとユアとメドーラの三人は。惑星ドルフレアの地に降り立つ。
 そこで盗賊に襲われていたこの地の貴族、ローラスを助ける。
 その戦闘に心労が溜まったメドーラを休めるため、ローラスの別荘に厄介になる。
 ローラスはマイ達を受け入れるものの、ローラスのお世話役、セバスはマイ達に疑いの眼を向けるのであった。


「こーぎ?おんみつ?」
 セバスの口から出た言葉だが、マイには意味が分からない。
「この星特有の単語のようです。ケイの調査報告からも、この単語は見当たりません。」
 これが、パートナーのサポートAIのアイの答え。
 だが今のマイには、別のシンクタンクがある。
 この星の集合意思、イデである。
 イデの意思が、マイの心の中に流れ込む。
「え?こーぎって、この星の国王様の事?おんみつって、各地の領主や貴族を見張ってるの?なんで?
 へー、領主達が不正してないか、監視してるんだ。なかなか良い制度じゃん。」
 イデとの対話は、マイの独り言にしか見えない。
 当然、はたから見ているセバスは、疑問に思う。
「マイアミン殿、あなたは誰と会話してるのですかな?」
 セバスのその言葉に、以前のような威圧感や殺気は感じない。
 これは、普通に疑問に思って口から出た言葉だからだろうか?
 マイはその変化を感じつつ、今起こったありのままを答える。
「あの、イデさんとお呼びするべきでしょうか?
 この星の集合意思のようですが。」
「イデ?」
 セバスはマイの答えに驚く。
「ふふふ、イデと対話出来るとは、相当の手練れですな。」
 セバスのその言葉から、威圧感のようなものは、完全に消える。
「いや、あなたを試すような振る舞い、誠にすまなかった。」
 セバスはマイに対して頭を下げる。
「あなたと戦ってみたい気持ちも、ありましたからな。」
 頭を上げたセバスは、そう付け加える。
「そんな事だろうと、思いました。ユアシルク相手だったら、今ごろどうなってた事だか。」
 マイはため息まじりに、そう応える。
「ユアシルク殿も、その辺りは察しておられたようですな。私など、足元にも及ばないようですわ。」
 セバスは屈託のない笑顔を見せる。マイを試すための威圧感は、すでになかった。
「僕だって、ユアシルクと同じくらいは、強いですよ。」
 セバスがユアを持ち上げるため、マイも少しふくれる。
「ふはーっはっは。それは存じておりますよ。
 イデと対話が出来、強力なマナも目の当たりにしましたからな。」
 セバスのその言葉に、マイも悪い気はしなかった。それより、少しむくれてしまった事が、少し恥ずかしかった。
「そう言えば、礼がまだでしたな。」
「礼?」
「あなたは私の怪我を癒してくれたではございませんか。」
 セバスはマイが癒した手首をくねらせる。
「以前よりも、力が湧いてくるのを感じます。その節は、本当にありがとうございました。」
 セバスは深ぶかと頭を下げる。
 これにはマイも、少し照れてしまう。
「それよりセバスさん。あなたが本当に聞きたいのは、こーぎだの、おんみつだのでは、ないですよね?」
「と、言いますと?」
 言葉を返すセバスの眼が怪しく光る。だが、今のマイは気づかない。
「本当に聞きたいのは、僕達がどこから来たのか、何をしに来たのか、ですよね。」
「ほう、これは異な事を申されますな。」
 マイは自分の軽率さにハッとする。
「エティコの方から、ケイネシア殿をお探しに参られたのでは?」
「そ、それはそうなのですが。」
 マイも言葉が詰まる。

「ふはーっはっはっは。少し意地悪がすぎましたかな?」
 セバスはいたずらっぽく笑うが、マイは対処の仕方に困る。
「私が本当にお聞きしたい事は、それではございません。
 あなたの剣を、見せては下さらぬか?」
 セバスの申し出に、マイは少し戸惑う。その質問は想定外だったからだ。
「剣って、これですか?」
 マイはスカートをまくり上げ、左脚の太ももに装着したソウルブレイドのクダを見せる。
「そ、それです。」
 と言いつつセバスは眼を逸らす。
 うら若き乙女の太ももを直視するなんて、セバスには出来なかった。
 ソウルブレイドはマジカルポシェットに収納可能だったが、マイはこの方がかっこいいと言う理由で、こうしている。
 他のふたりは、マジカルポシェットに収納しているぞ。
 剣士にお着替えしたユアは、ソウルブレイドとは別の剣を携えているぞ。
 マイはソウルブレイドのクダを手に取ると、スカートを戻す。
「す、すみません。はしたない真似をして、は、恥ずかしいですわ。」
 マイはソウルブレイドのクダをセバスに差し出しながら、謝る。
「い、いえ、そこに装着するのは、メイドとしてよくある事ですから。」
 セバスも自分で何言ってるのか分からなくなるが、マイからソウルブレイドのクダを受け取る。
「ほう、これは剣の柄の部分だけですな。剣身は、仕込みになってるのですかな?」
 セバスはソウルブレイドのクダを見て、感想を述べる。
「えと、剣をイメージして、気合いを込める感じかな?こんな風に。ふん。」
 マイは右脚の太ももに装着していたソウルブレイドで、剣を作って見せる。
「な、なるほど。しからば私も。ふん!」
 セバスも挑戦してみるが、変化はない。
「やはり、私には無理のようですな。」
 セバスは変化しないソウルブレイドのクダを、まじまじと見る。
「こうして見ると、やはり伝説の剣と、瓜二つですな。」
「伝説の剣ですか?」
 セバスの言葉に、マイはそのままおうむ返す。
「はい、わが主人、ロトレンス家に千年前から伝わる、伝説の剣です。」
「千年前。」
 マイはそこに引っかかる。
「はい、当時の当主、ローラン様をお助けした旅の剣士、かげろうおケイの剣だと、伝えられております。」
 それを聞いて、マイは思う。ケイだ!
「そのお話し、詳しく聞かせて下さい!」
「もとより、そのつもりですよ。」
 セバスは穏やかな笑顔で応える。

 そして、千年前のかげろうおケイについての話しを話しだす。
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