未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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惑星ファンタジー迷走編

第56話 千年前からの伝言

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 行方不明になったケイを探しに、惑星ドルフレアの地に降り立ったマイとユアとメドーラの三人。
 三人はこの地で、千年前に魔王を倒したとされる勇者の子孫、ローラスと出会う。
 千年前に勇者と旅した伝説の剣士、かげろうおケイ。
 このかげろうおケイの使っていた剣が、マイ達のソウルブレイドと瓜二つだそうだった。
 ローラスはバッドメアカンパニーの目を逃れるため、おケイの剣を南の森のほこらに隠した。
 その剣を取りに行くのだが、その剣はなんと、神武七龍神のひとり、グリーンドラゴンが護っていた。
 そしてこのグリーンドラゴンは、森でマイ達が助けた少女だった。


「違うわ、これ。私が納めた剣じゃない。」
 ローラスは手渡された剣に、驚く。
「もっと、古めかしかったはずよ。」
 ローラスはそう言うが、マイ達には見覚えがあった。
 これは行方不明になったケイのソウルブレイドだった。

 これではっきりする。
 かげろうおケイは、ケイだった事が。
 おそらく、バッドメアカンパニーの連中との交戦中、次元振動にでも巻き込まれたのだろう。
 それで千年前にタイムスリップしてしまったのだろう。

 それと、かげろうおケイの剣が新しくなっていたのは、このほこらの効果だった。
 ローランの子孫がマイ達と三つの封印のほこらを巡る旅路に、この剣が必要になるからだ。
 このほこらは、そのために建てられた。
 剣の時間を、千年戻すために。
 そして、その間の護衛が必要だった。
 それがグリーンドラゴンだった。

 グリーンドラゴンから姿を変えた少女は、ほこらの中にあった宝珠を取り出し、マイに手渡した。
 この宝珠を取り出した事により、このほこらは役目を終えた。
 ほこらは崩れさった。
 この宝珠には、ケイのメッセージがつめられているという。
 マイは宝珠にマナを注ぐ。
 宝珠につめられたメッセージが、ケイの声で再生される。

 はーい。
 これが再生されてるって事は、私を探しに来てくれたって事だよね。
 来てくれたのは、誰かな?
 やっぱり、マイちゃんかな?
 だってマイちゃんが、一番暇してるもんね。
 マインもリムも、そんな暇ないしね。
 ユアはどうかしら。
 最近、歌手活動始めちゃったから、やっぱり忙しいよね。
 でもユアの事だから、他の事なんかそっちのけで、探しに来ちゃうんだろうな。
 駄目だよ、ユア。
 私なんかより、ファンを大切にしなきゃ。
 さて、本題にはいるわね。
 私はバッドメアの密輸現場を張ってたの。
 密輸の鉱石は、クイーンクリスタルだったの。
 そして、私の張りこみはバレていて、この取引自体が罠だったの。
 クイーンクリスタルの粒子が辺り一面にばらまかれていて、
 って、マイちゃんには分からないか、クイーンクリスタルの効能。
 クイーンクリスタルにはね、時空を跳躍する効能があるの。
 もちろん、それ単体で使うわけじゃないのよ。
 時空を超える、ワープ航法のエンジンの動力源に使うのよ。
 で、クイーンクリスタルの粒子にマナを注いだら、あら不思議。
 私は次元の狭間に飛ばされちゃったわけ。
 マイちゃんも、イデは知ってるよね。この星の集合意思。
 私はイデの導きで、次元の狭間を抜ける事が出来たの。
 そしたらそこは、はるか過去。
 もう、信じられないって。
 この星に、魔王とか魔族とかが居たっていう時代よ。
 でもこの魔族ってのはね、実は、って、ごめん、これは言えないや。
 この音声、聞いてるのはマイちゃんだけじゃないでしょ?
 一緒に聞いてるはずよね、ローランの子孫さん。
 魔族の事は、ローランが墓場まで持っていくつもりだから、私からは言えないわ。
 気になったら調べてみるといいけど、ローランが魔族の痕跡を全て消したはずだから、真実は闇の中だと思う。
 うん、パートナーのミイを通じてマイちゃんに伝えられたら良いんだけど、ミイとのつながりが、切れちゃったみたい。
 ミイも心配してるかな。
 でも、私は元気にやってるから、心配しないでって、伝えてくれるかな。
 ああ、マイちゃんが聞いてるって事は、アイも聞いてるのか。
 じゃあ、ミイにも伝わってるね。
 ミイ、あれ、なんだろう。涙が出てきた。
 涙が止まらない。なんで。なんで出てくるのよ。止まってよ。
 ごめん、マイちゃん、ちょっと待ってて。
 ミイ、ごめんなさい。もう会えない!
 ごめんなさい、ごめんなさい。
 …
 マイちゃん、ごめんね。続きを話すわ。
 この時代に飛ばされた私は、勇者と呼ばれたローランと行動をともにしたわ。
 ローランがやった事は、多分、魔王討伐って伝わっているかもね。
 私のやった事は、鉱物資源の封印。
 この星の鉱物資源が必要になる日まで、隠しておくつもりだったの。
 これなら、元の時代に、密輸される事もないでしょ。
 でもこれ、よくよく考えたら、失敗だったの。
 私が封印しちゃったから、濃縮されちゃったみたい。
 私も、鉱物の採掘場を中心に封印したんだけどね、なんか、封印のせいでそこに溜まっちゃったみたいなんよね。
 これ、封印してから気づいたんだけど、今封印を解こうにも、封印の効力が強すぎて、駄目なのよ。
 だから、マイちゃん達に解いてほしいの。
 封印の効力も薄まってると思うから、多分いけると思うよ。
 封印が解ければ、そこに集まってた鉱物も、星中に散らばってくれると思うのよ、多分。
 封印の解き方は、ローランの子孫に伝わってるはずよ。
 これを聞いてるローランの子孫さん、ちゃんと八極陣は会得してるよね?
 だったら八極陣に欠けてる型があるのに気付いた?
 それが、封印を解く鍵になるわ。
 この星の資源は、この星の人間が守るのよ。
 マイちゃんも、お手伝いしてあげてね。
 バッドメアも妨害してくると思うから、ローランの子孫をちゃんと守ってあげるのよ。
 マイちゃんと一緒にいられた時間は短かったけれど、楽しかったよ。
 じゃあ、あとはよろしくね、ばいばーい!

 ケイの音声の再生が終わると、宝珠は砕け散った。
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