未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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惑星ファンタジー迷走編

第61話 禍々しい剣

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 行方不明になったケイは、千年前にタイムスリップしていた。
 ケイは、この星の鉱物資源を護る事を、千年前の時代から、マイ達に頼む。
 マイ達は了承する。
 ケイとの約束をはたしたグリーンドラゴンのナツキは、ケイのサポートAIであったミイに憑依して、行動を共にする。
 そして森から抜け出た時、執事のセバスが、冒険者のドルクに襲われていた。
 助けにはいるマイ達。
 マイは、セバスを治療する。


 禍々しい剣をふりかざし、ドルクはマイに襲いかかる。
「その服ひんむいてやって、その後は、ぐへへ!」
 ドルクの卑猥な叫び声も、治療に集中するマイの耳には届かない!

「させません!」
 ドルクの前に、ローラスが立ちはだかる。
「邪魔だあ!」
 ドルクは剣を横一線。ローラスを薙ぎ払う。

 ローラスはケイのソウルブレイドで水の剣を展開。
 右手で剣の柄を持ち、左手で剣の峰を支える。
 ドルクの剣戟を受け止める。

「ほう、やるじゃねーか。おまえも装備でレベルを補うクチか?」
 ドルクは冒険者の腕輪で、ローラスの情報を除き見る。
「レベル55?なんだよ、俺よりたけーじゃんか。
 ん?ローラス・ウル・ロトレンス?
 おまえ、あのロトレンスの子孫か。」

 ロトレンス家は250年前、かげろうおケイの民間伝承を抹殺する為、大規模な言論制圧を行った。
 その悪名は250年経った今でも、消える事はなかった。
 何に対しての言論制圧だったのか、今や誰も知らない。
 ロトレンス家の先祖が、魔王を討伐した勇者だった事も、かげろうおケイの伝承とともに抹殺された。
 そして何故没落しなかったのか、何故今も貴族の地位におさまっているのか。
 その理由も知られていない。
 その分、民衆の憎悪は増すものだった。

「丁度いい、おまえも一緒に恥ずかしめてやるぜ。
 恨むんなら、おまえの先祖を恨みな!」
 ドルクは禍々しい剣を、何度も打ちつける。
 ローラスは表情を歪ませながら、ドルクの剣を受け止める。
 避けたら、マイに当たるからだ。
 マイは、治療を終える。
 そして、自分の背後で起きてる惨劇に驚く。

 そのきっかけを、マイのパートナーのアイが、額のチップを通して教えてくれた。
 これには、マイ達は申し訳なく思う。
 元は、ケイとの約束のためである。
 ケイが次元の狭間に迷い込まなければ、こんな事にはならなかったであろう。

「か、勘違いしないでよ。」
 ローラスは、そんなマイ達の空気を感じとる。
「ご先祖さまのおかげで、あなた達に出会えた。
 この時代にあなた達に出会えた事を、ご先祖さまに感謝をすれども、恨むなんて事は、絶対無い!」
 ローラスはドルクの剣を弾き返す。

「く、そやろう、こっちが手加減してりゃあ、いい気になりやがって。」
 ドルクは一旦距離をおく。
 そして禍々しい剣にマナを込める。
「跡形もなく、消し飛ばしてやるぜ。
 お楽しみが無くなっちまうのは残念だがな。」
 ドルクの剣は、禍々しさを増していく。

 それを見て、ローラスも構えを変える。
「ヤサメ、肆の技改。」
 ソウルブレイドの水の剣を形作る水のマナが、回転をはじめる。
 それも、凄まじい勢いで。
 水の剣は、水のチェーンソーに姿を変えていた。

「死ねー!」
 ドルクが禍々しい剣をふりおろ!
「はあ!」
 ローラスも剣を交える!
「殺してはなりません!」
 ミイに憑依したナツキが叫ぶ!

 ナツキの言葉で、ローラスは我にかえる。
 ドルクの剣を叩き斬った直後、チェーンソーは水の固まりになった。
 ドルクの身体に、水をぶっかけた形になった。

 折れた剣からは、禍々しい影が叫び声を上げて出てきて、消えた。

 頭から水をかぶったドルク。
 顔にかかった水を手でぬぐうのだが、マナをおびた水は、そう簡単にはぬぐえない。

「これを使ってください。」
 マイはマジカルポシェットからタオルを取り出し、ドルクの顔をふく。
 ドルクはようやく目を開けられたのだが、マイに見とれて言葉が出ない。

「どうかなさいました?
 早くふかないと、風邪をひいてしまいますよ。」
「は、はい。」
 マイの言葉に、ドルクは慌てて頭をふく。
 ドルクが身体をふき終わると、マイはタオルを受け取ろうと手を差し出す。
 ドルクもタオルを手渡そうとするのだが、その動きを止める。
「こ、これは洗ってお返しします!」
「あら、そのままでもかまわないですよ?」
「い、いえ、私の汗が染み込んだままお返しするのは、レディに対して失礼ですから!」
「まあ、レディだなんて、そんな。」
 マイはドルクの言葉に、少し顔をあからめる。

「おい、どうなってんだ?あいつ、キャラ変わってないか。」
 ふたりの様子を遠巻きに見ていたユアは、ドルクの異変をナツキに聞いてみる。
 確かにドルクは、いかつい冒険者のいで立ちから、純心そうな青年風に、キャラデザ自体も変わっている。
「どうやら、あの禍々しい剣に心を奪われていたようじゃのう。」
 ミイに憑依しているナツキは、ドルクがいつの間にか手放して、地面に落ちてる折れた剣を見て、答えた。
「それと、ローラスさんのマナの水をぶっかけられた事で、魂も洗浄されたようですわ。」
 ナツキの言葉に、メドーラが継ぎ足す。
「ええ、私の水系マナには、浄化作用がありますわ。それにしても。」

 ユアとメドーラとローラスは、思った。
 何このマイとドルクのやり取り。
 なんかキモいんですけど。
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