未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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惑星ファンタジー迷走編

第72話 妹の仇

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 この時代に召喚されたマイは、行方不明になった仲間のケイを探しに、惑星ドルフレアの地に降り立った。
 ケイは千年前にタイムスリップしていて、マイ達に三つの封印のほこらを託す。
 ひとつ目の荒野のほこらの封印を解いたマイ達は、山のほこらへと向かう。
 その道中、情報取集のために冒険者ギルドに立ち寄る。
 そこにはなんと、ゴンゴル三姉妹のエアレーがいた!
 そして、あのステーノは実は妹思いのお姉さんだったと明かされる!
 今さらゴンゴル三姉妹といわれても、読者のお友達にはよく分からないだろう。
 だが、星間レースに対ゴンゴル三姉妹戦は、熱い想いで書いたので、作者の思い入れは凄い!
 三つの封印のほこらと言いながら、何が封印されていて、封印解いたらどうなるのか、それが今だに決めかねている、最近の作風とは違うのだよ!


 グリムアに行ったきり、行方不明になったというステーノ。
 その事は、メドーラにも少なからずショックを与える。
「どうでもいい事を話しすぎたわね。」
 エアレーは、ステーノ関連で前回の話しを終わらせてしまった事を、反省する。

「ブルレアから、何しに来たのかしら?」
 エアレーはあらためて、マイ達に問う。
「今の時期、この星に来る理由はふたつにひとつだけどね。」
 エアレーは怪しげな笑みを浮かべる。

「密輸か、取り締まりか。」
 エアレーの言うふたつの事がらを、メドーラが上げる。
 メドーラの表情には、怯えの色が現れる。
 互いの立場が違うのなら、エアレーとメドーラ達は、敵対関係になる。
 メドーラはそれが恐いのだ。敵に回した時のエアレーの恐ろしさは、よく知っているつもりだ。

 エアレーはメドーラが自分の言いたい事を分かってくれたので、機嫌がよくなる。
 かわいいペットが自分の思い通りに行動してくれたので、嬉しくなる。
 そんな感情だ。
「そうそう。もし同じなら協力体制が取れるけど、もし違うのなら、敵対する事になるわね。」
 エアレーはお気に入りのペットを見る様な眼で、メドーラを見つめる。

 ここでマイが口をはさむ。
「あれ、僕達って国が違うんでしょ?だったら敵対じゃん。」
 マイは思った事をそのまま口にする。
 ブルレアとレドリアとでお互いの出身国が違うのだから、片方が密輸なら、もう片方は取り締まりになる。そんな理屈だ。
 それを聞いて、エアレーは笑いだす。
「あはは、やっぱり知的センスを感じさせないヤツは、言う事がおかしいですね。」
「な、何がおかしいのよ!」
 マイも反射的にカチンとくる。
 だが、すぐにメドーラがたしなめる。
「いいえ、マイお姉さま。国の全てが密輸するとかでは、ないのです。」
「え、どゆ事?」
 マイには直接的な言葉でしか、通じない。これはもはや常識である。
 メドーラは言い直す。
「ひとつの国の中にも、良い人と悪い人がいます。
 密輸する人と、それを取り締まる人がいるのです。」
「ああ、なるほど。」
 マイもやっと理解した。
「つまり、国が違っても良い人と悪い人がいるって事ね。」
 それはメドーラが言いたい事でもなかったが、だいたい合ってるとも、言えなくもなかった。
「そう言う事です。問題は、私達の目の前の人が、良い人なのか悪い人なのかって事です。」
 メドーラもマイの考え方に感化され、マイの思考レベルでの答えを言う。

「あはは、あなたも大変ね。」
 エアレーはマイとメドーラとのやり取りを見て、ついおかしくなってしまう。
「そんな事ありません!」
 メドーラも即座に否定する。
 確かにマイお姉さまに何かを伝える事は、難しい。
 でも、それはメドーラにはない、マイお姉さま独自の考え方があるからだ。
「マイお姉さまと一緒なら、私もマイお姉さまから学ぶ事が沢山あります。」
 メドーラの言葉に、マイは少し照れる。

「あなた気に入ったわ。私と組まない?」
 エアレーはマイに対してのメドーラの発言は無視して、メドーラを勧誘する。
「お断りよ。私はあなたなんかより、マイお姉さまを気に入ってるの!」
 メドーラは即座に拒絶する。

「ち。」
 エアレーは表情をくもらせ、マイをにらむ。
「で、あんたは何しにここへ来たの?」
 エアレーは冒頭の質問に戻る。

「僕達は、人を探しに来たのよ。」
「人を?」
 エアレーにとって、マイのその答えは意外だった。
 この星に来る理由は、鉱物資源関連に決まってる。
 それなのに、マイの答えは違った。
「あなたはほんと、予想を超えてくるのね。」
 エアレーは思わず笑いだす。それも、人を小馬鹿にした笑いを。

「何がおかしいのよ!」
 ってこの台詞二回目か。予測変換で出てきたよ。
「あはは、知性の無い人って、言う事も単純なのね。」
 怒ったマイは、二度も同じ言葉を口にする。
 それがエアレーにはおかしかった。
「だから、何がおかしいのよ!」
 マイはまた同じ言葉を口にする。

「三度目にもなると、笑えないわね。」
 エアレーの顔からさげすんだ笑みが消え、元の冷たい眼差しに戻る。
「そう言えば、ブルレアの調査員で、行方不明になった人がいたわね。」
 冷静さを取り戻したエアレーは、その事を思い出す。

「知ってるの?ケイの事を。」
 マイは思わずケイの名を出して、エアレーに問いただす。
「ケイ?行方不明になったのって、あのケイなのね。」
 ケイの名を聞いたエアレーは、マイと会話する気もなく、独り言をつぶやく。

 エアレーは以前、ケイと協力して宇宙怪獣を討伐した事がある。
 読者の諸君も覚えていないだろうが、もちろん、マイも忘れている。
 だがここで、エアレーの頭に疑問がよぎる。
 あの星間レースに参加してたのは、ケイとユアと、もうひとり。

「ねえ、マイアミン。」
「な、なによ。急にあらたまって。」
 エアレーはマイに対してずっと、さげすんだ視線を送ってたが、ここにきて初めて、普通の笑顔を向ける。
「あなたの本当の名前は、何かしら?」
「え、本当の名前?」
 マイは、エアレーの言ってる意味が分からなかった。
 エアレーは、冒険者の腕輪をマイに向けるそぶりをする。
「あなたは、私の名前を知っている。でも、私は知らない。
 これって、不公平じゃない?」
 そう、エアレーはここではエアレードと名乗っている。
 マイアミンと名乗るマイの名前を、エアレーは知らない。
「確かに、不公平ね。」
 マイも、エアレーの言い分はもっともだと思った。
「いけません、マイお姉さま!」
「僕の名前は、マイよ。」
 メドーラが何かを察してマイを止めるが、間に合わなかった。

「おまえがマイかぁ!」
 エアレーの表情が憤怒の表情に変わる。
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