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惑星ファンタジー迷走編
第73話 過去との決別
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これは西暦9980年のはるか未来のお話。
惑星ドルフレアにて、ケイが遺した三つの封印のほこらを巡るマイ達一行。
ふたつ目の山のほこらに向かう前に立ち寄った冒険者ギルドで、なんと、ゴンゴル三姉妹のエアレーに出会った。
エアレーは、同じゴンゴル三姉妹だったメドーラには気づかなかった。
ゴンゴル三姉妹だった頃のメドーラは、メドーと名乗る幼女だった。
それが今や、美女のメドーラに姿を変えている。
あ、これ、美女になった伏線回収とかって言わないからね。
普通の物語の流れなんだからね。
メドーラには気づかなかったエアレー。
だが、この星ではマイアミンと名乗るマイの事は、気づいてしまった。
「おまえがマイかぁ!」
エアレーはソウルブレイドの剣を展開させると、そのままマイに斬りかかる!
キイン!
エアレーの剣を、メドーラが受ける。
メドーラも咄嗟にソウルブレイドの剣を展開した。
「どけよ、この野郎!」
「どきません!」
エアレーのドスの効いた声に、メドーラも叫び返す!
激しく鍔迫り合いをするふたり。
「へー、あなたは普通に感情表現出来るんだ。」
「なに?」
マイは思った。
エアレーはマイだと知ると、いきなり斬りかかった。
メドーを殺された復讐心があるのだろう。
ステーノのそれとは違い、素直にその復讐心をぶつけてきた。
これは、エアレーはメドーを愛していたからだろう。
メドーが愛されていたと思うと、マイも妙にうれしかった。
「だって、メドーの復讐に、僕に斬りかかってきたんでしょ。
ステーノは違ったから。」
「知ったような事言うんじゃないよ。」
エアレーは鍔迫り合いの状態から力をぬき、一歩後方に飛ぶと、剣先を床に向ける。
そして俯き加減でマイに答える。
「メドーはね、あまったれた子でね、それはもう、かわいかった。
特に、困った時の表情や仕草は、最高だった。」
エアレーのメドーに対する感情の独白。
しかし、マイが想像する愛情表現とは、どこか違う。
「そう、私はわざとメドーを困らせるの。
そしたら、あの子はどうすると思う?
私の気をひこうと、あまえてくるわけよ。
まるで、飼い主の気をひこうとする、ペットのように。」
エアレーはメドーに対する感情を、マイに語りかける。
その表情は、歪んだ笑顔になり、エアレーの心の有り様を物語る。
マイはドン引く。
そしてハッとしてメドーラに視線を向ける。
メドーラはうつむいている。
メドーラの斜め後ろに立つマイの位置からは、その表情を見る事は出来なかった。
「そんなメドーを、おまえが殺した。
私は、おまえを許さない。」
エアレーは剣先をマイに向ける。
エアレーは無表情だ。先ほどまでの歪んだ笑顔とは対照的に。
「そう、あなたもステーノと同じなのね。」
対するマイからも、表情が消える。
マイは左ひざを高く上げる。右脚だけで立っている状態だ。
メイド服のスカートのすそが、重力に逆らえずに、マイの左太ももを滑る。
マイの左太ももに装着されている、ソウルブレイドのクダが取りやすくなった。
マイはソウルブレイドのクダを手に取ると、左脚を床におろす。
「あなたも、歪んでいるのね。あなたは違うと思ったのに。」
マイはこみ上げてくる怒りを、なんとか抑える。
宇宙ステーションに殴りこんできたステーノ。
ステーノの歪んだ感情に、マイは激怒した。
それに対して、エアレーはまともだと思っていた。
それはマイの、勝手な思い込みだったのかもしれない。
その自覚があるからか、ステーノの時のように、怒りを感情のままに爆発させる事が出来なかった。
一触即発のこんな時に、エアレーの冒険者の腕輪が震え出す。
「なによ、こんな時に。」
エアレーは冒険者の腕輪をはめた左手を、左の耳にあてる。
こうする事で、他の冒険者と通信する事が出来るのだ。
「ちょっと、今はプライベート中よ。邪魔しないでよ。」
エアレーは冒険者の腕輪を通じて、誰かと会話する。
「え?バッドメアの内部情報をつかんだ?
ふんふん、そう。分かったわ、すぐ行く。」
エアレーは通信を終えると、ソウルブレイドの剣を元のクダ状に戻す。
「おまえへの復讐は、おあずけね。」
「どうしたの?僕はここで決着つけても、いいんだけど?」
マイはソウルブレイドの剣をエアレーに向けたままだ。
「ここには、おまえを殺しに来たんじゃない。
任務優先は当たり前なの。お馬鹿なおまえには、分からないみたいだけど。」
「なんですって。」
エアレーはマイをこ馬鹿にして挑発する。
マイにも、エアレーの言う意味は分かる。
今は優先させるべき事がある。それは、ケイとの約束だ。
マイも、ソウルブレイドをクダ状に戻す。
それを見たエアレーの表情が、心なしか、少しゆるむ。
「ふふ。」
「何がおかしいのよ。」
そんなエアレーに、マイは何度目かの言葉をかける。
「バッドメアに、営業特課ってのがあるのが分かったわ。」
エアレーは先ほどの通信の内容を説明する。
「今度、バッドメアに家宅捜査に入るから、その準備に戻ってこいですって。」
エアレーはマイに向かって歩き出す。
途中、メドーラとすれ違う。メドーラはうつむいたままだ。
そして、マイの横で歩みを止める。
「おまえを殺すのは、ここじゃない。宇宙(そら)で待ってなさい。」
エアレーは冒険者ギルドを後にする。
残されたマイとメドーラ。
「メドーラ…。」
マイはうつむいたままのメドーラに、かける言葉が見つからない。
「せ、せいせいしましたわ。」
メドーラはそんなマイの気持ちを感じて、語り出す。
「あんな人達と縁が切れたのです。」
メドーラはマイの方に振り向く。
「私はマイお姉さまに救われて、幸せです。」
メドーラは笑顔を見せる。
だが、それが無理をした笑顔だと言う事くらい、マイはすぐに分かった。
「メドーラ、無理しなくていいわよ。」
マイは優しくメドーラに語りかける。
「無理など、しておりませんですわ。」
メドーラは、そう強がるのだが。
「なら、なぜ泣いてるの?」
「え?あれ?」
メドーラはマイに指摘されて初めて気付く。自分が泣いてる事に。
「あれ、止まらない。なんで私、泣いてるのかしら。」
そんなメドーラを、マイは放っておけなかった。
なんて言葉をかけたらいいか分からないが、何か言うべきだと思った。
「メドーラ、ううん、今はメドーって呼ぶべきかしら。
メドーはふたりの事が大好きだったのね。」
メドーラはマイの言葉にうなずくと、涙が止まらない。
メドーラはマイに抱きつくと、マイの胸の中で号泣した。
「メドー、今は僕があなたのお姉さんだよ。」
今のマイに出来る事は、そう言ってメドーラの頭を優しく撫でる事だけだった。
惑星ドルフレアにて、ケイが遺した三つの封印のほこらを巡るマイ達一行。
ふたつ目の山のほこらに向かう前に立ち寄った冒険者ギルドで、なんと、ゴンゴル三姉妹のエアレーに出会った。
エアレーは、同じゴンゴル三姉妹だったメドーラには気づかなかった。
ゴンゴル三姉妹だった頃のメドーラは、メドーと名乗る幼女だった。
それが今や、美女のメドーラに姿を変えている。
あ、これ、美女になった伏線回収とかって言わないからね。
普通の物語の流れなんだからね。
メドーラには気づかなかったエアレー。
だが、この星ではマイアミンと名乗るマイの事は、気づいてしまった。
「おまえがマイかぁ!」
エアレーはソウルブレイドの剣を展開させると、そのままマイに斬りかかる!
キイン!
エアレーの剣を、メドーラが受ける。
メドーラも咄嗟にソウルブレイドの剣を展開した。
「どけよ、この野郎!」
「どきません!」
エアレーのドスの効いた声に、メドーラも叫び返す!
激しく鍔迫り合いをするふたり。
「へー、あなたは普通に感情表現出来るんだ。」
「なに?」
マイは思った。
エアレーはマイだと知ると、いきなり斬りかかった。
メドーを殺された復讐心があるのだろう。
ステーノのそれとは違い、素直にその復讐心をぶつけてきた。
これは、エアレーはメドーを愛していたからだろう。
メドーが愛されていたと思うと、マイも妙にうれしかった。
「だって、メドーの復讐に、僕に斬りかかってきたんでしょ。
ステーノは違ったから。」
「知ったような事言うんじゃないよ。」
エアレーは鍔迫り合いの状態から力をぬき、一歩後方に飛ぶと、剣先を床に向ける。
そして俯き加減でマイに答える。
「メドーはね、あまったれた子でね、それはもう、かわいかった。
特に、困った時の表情や仕草は、最高だった。」
エアレーのメドーに対する感情の独白。
しかし、マイが想像する愛情表現とは、どこか違う。
「そう、私はわざとメドーを困らせるの。
そしたら、あの子はどうすると思う?
私の気をひこうと、あまえてくるわけよ。
まるで、飼い主の気をひこうとする、ペットのように。」
エアレーはメドーに対する感情を、マイに語りかける。
その表情は、歪んだ笑顔になり、エアレーの心の有り様を物語る。
マイはドン引く。
そしてハッとしてメドーラに視線を向ける。
メドーラはうつむいている。
メドーラの斜め後ろに立つマイの位置からは、その表情を見る事は出来なかった。
「そんなメドーを、おまえが殺した。
私は、おまえを許さない。」
エアレーは剣先をマイに向ける。
エアレーは無表情だ。先ほどまでの歪んだ笑顔とは対照的に。
「そう、あなたもステーノと同じなのね。」
対するマイからも、表情が消える。
マイは左ひざを高く上げる。右脚だけで立っている状態だ。
メイド服のスカートのすそが、重力に逆らえずに、マイの左太ももを滑る。
マイの左太ももに装着されている、ソウルブレイドのクダが取りやすくなった。
マイはソウルブレイドのクダを手に取ると、左脚を床におろす。
「あなたも、歪んでいるのね。あなたは違うと思ったのに。」
マイはこみ上げてくる怒りを、なんとか抑える。
宇宙ステーションに殴りこんできたステーノ。
ステーノの歪んだ感情に、マイは激怒した。
それに対して、エアレーはまともだと思っていた。
それはマイの、勝手な思い込みだったのかもしれない。
その自覚があるからか、ステーノの時のように、怒りを感情のままに爆発させる事が出来なかった。
一触即発のこんな時に、エアレーの冒険者の腕輪が震え出す。
「なによ、こんな時に。」
エアレーは冒険者の腕輪をはめた左手を、左の耳にあてる。
こうする事で、他の冒険者と通信する事が出来るのだ。
「ちょっと、今はプライベート中よ。邪魔しないでよ。」
エアレーは冒険者の腕輪を通じて、誰かと会話する。
「え?バッドメアの内部情報をつかんだ?
ふんふん、そう。分かったわ、すぐ行く。」
エアレーは通信を終えると、ソウルブレイドの剣を元のクダ状に戻す。
「おまえへの復讐は、おあずけね。」
「どうしたの?僕はここで決着つけても、いいんだけど?」
マイはソウルブレイドの剣をエアレーに向けたままだ。
「ここには、おまえを殺しに来たんじゃない。
任務優先は当たり前なの。お馬鹿なおまえには、分からないみたいだけど。」
「なんですって。」
エアレーはマイをこ馬鹿にして挑発する。
マイにも、エアレーの言う意味は分かる。
今は優先させるべき事がある。それは、ケイとの約束だ。
マイも、ソウルブレイドをクダ状に戻す。
それを見たエアレーの表情が、心なしか、少しゆるむ。
「ふふ。」
「何がおかしいのよ。」
そんなエアレーに、マイは何度目かの言葉をかける。
「バッドメアに、営業特課ってのがあるのが分かったわ。」
エアレーは先ほどの通信の内容を説明する。
「今度、バッドメアに家宅捜査に入るから、その準備に戻ってこいですって。」
エアレーはマイに向かって歩き出す。
途中、メドーラとすれ違う。メドーラはうつむいたままだ。
そして、マイの横で歩みを止める。
「おまえを殺すのは、ここじゃない。宇宙(そら)で待ってなさい。」
エアレーは冒険者ギルドを後にする。
残されたマイとメドーラ。
「メドーラ…。」
マイはうつむいたままのメドーラに、かける言葉が見つからない。
「せ、せいせいしましたわ。」
メドーラはそんなマイの気持ちを感じて、語り出す。
「あんな人達と縁が切れたのです。」
メドーラはマイの方に振り向く。
「私はマイお姉さまに救われて、幸せです。」
メドーラは笑顔を見せる。
だが、それが無理をした笑顔だと言う事くらい、マイはすぐに分かった。
「メドーラ、無理しなくていいわよ。」
マイは優しくメドーラに語りかける。
「無理など、しておりませんですわ。」
メドーラは、そう強がるのだが。
「なら、なぜ泣いてるの?」
「え?あれ?」
メドーラはマイに指摘されて初めて気付く。自分が泣いてる事に。
「あれ、止まらない。なんで私、泣いてるのかしら。」
そんなメドーラを、マイは放っておけなかった。
なんて言葉をかけたらいいか分からないが、何か言うべきだと思った。
「メドーラ、ううん、今はメドーって呼ぶべきかしら。
メドーはふたりの事が大好きだったのね。」
メドーラはマイの言葉にうなずくと、涙が止まらない。
メドーラはマイに抱きつくと、マイの胸の中で号泣した。
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