未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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異次元からの侵略者

第90話 復活の超新星

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 この時代に召喚されたマイは、仲間の召喚者のユアとメドーラとともに、激戦の北部戦線への参戦に向けて、特訓をしていた。
 その渦中に、侵略者の巨大戦艦が姿を現す。
 巨大戦艦に苦戦するも、マイは謎の声の導きで、巨大戦艦見事撃破する。
 しかし、巨大戦艦を撃破するために、巨大な立体映像を投影してしまう。
 この投影された立体映像を動かすのは、機械やコンピュータではない。
 召喚者の生命力である。
 元々立体映像の投影は、自機と同じ大きさの伴機を投影する事を目的にしている。
 それ以外も投影可能だが、それは武具の範疇しか想定していない。
 つまり、巨大すぎる人型機体など、想定外なのだ。
 マイはその巨大すぎる人型機体の操縦に、全ての生命力を注ぎ込んでしまう。
 生命力を使い尽くしたマイは、仮死状態になってしまう。
 生命力とは、生きる希望持っている限り、無限に湧き出るものである。
 しかし、生命活動に最低限必要な生命力は、無ければ生きられない。
 マイは今、その瀬戸際に立っていた。


 ここはどこだろう?

 マイは、よく分からない空間を彷徨っていた。
 誰かが呼んでいる気がする。
「マイー。」
 マイを呼ぶ声が、はっきりと聞こえてくる。

「僕はここだよ、あなたは誰なの?」
 マイは大きな声で問いかけたつもりでも、なぜか声のトーンは小さい。
「私は私だよ、マイ、早くー。」
 誰かの声を追いかけるマイ。
 だが、追いつける気がしない。
 逆に遠ざかってるようにも感じる。

「もう、待ってよー。」
 マイはあゆみを止める。
「どうしたのー、マイー。」
 声の主は、近寄ってくる気がする。

 マイはふと背後に気配を感じ、素早く振り返る。
 誰もいない。
「なーに?マーイ?」
 だけど声はする。

「あなたは誰なの?ここに居るの?」
 マイは透明人間らしきその人物に、問いかける。
「えー、私は私だよー。」
 返ってくる答えは、マイにはよく分からない。
「あー、そっか。今のマイは、私を知る前のマイか。」
 話しのかみあわない会話だったが、声の主は何か納得した様子だ。

「どーゆーことー?」
「そのうち分かるよー。分からないかもしれないけどー。」
 再び尋ねるマイだが、マイには、やはり意味が分からない。

「それよりマイー、あなたはどこに行きたいのー。」
 声の主が問いかけてくる。
 どこ?
 マイは考える。
 僕は、どこに行くつもりだったのだろう?
 確か、何処かに行かなければならなかったはず。
 それなのに、何故か思い出せない。

「それでは、ここにふたつの道がありまーす。
 どっちにするか、選んでくださーい。」
 思い悩むマイに、声の主はふたつの道を示す。

「まずは、穏やかで平穏で、平和な道でーす。」
 マイの左手方向に、一本の道が見える。
「次は、危険で危なくて、争いの絶えない道でーす。」
 今度はマイの右手方向に、一本の道が現れる。

「そんな、平和か争いか言われたら」
 平和な道じゃん。

 マイは思わず口にしそうになるが、言わなかった。
 左手の平和な道に目を向けると、そこには何も無かった。
 ただの暗い闇が広がるだけだった。
 右手の争いの道は、色があった。暖かい何かを感じる。
 マイは自然と、右手の争いの道に吸い込まれるように歩きだす。

「ふーん、今度のマイは、そっちを選ぶんだー。」
「え?」
 マイは声のした方へ、振り返る。
 だがマイは争いの道に吸い込まれていく。
「もう、ここへは、来るんじゃないよー。」
 その声も、次第に遠ざかっていく。

 マイは眼を開けた。
 よく知った天井が、そこにはあった。
 マイは宇宙ステーションのメディカルルームのベッドの上で、目が覚めた。
「マイー、良かったー。」
 マイの右手を握っていたアイが、抱きついてきた。
「心配したんだからねー。」
「く、苦しいぉ」
 マイはアイを突き放そうとするが、アイの力が強くて無理だった。

「アイは、ずっとおまえの事を心配してたんだ。それくらい我慢しろ。」
 マイは、声のした方を振り返る。
 ミサだ。
 ミサが壁によりかかっている。
 マイは、ミサと反対方向に目を向ける。
 どでかいメスシリンダーみたいなカプセルに入ったマインがいた。
 マインはまだ治らないみたいだ。

「マイ、なんであんな無茶をしたのよ。」
「え?」
 泣きやんだアイは、マイに尋ねてきた。
 マイには、なんの事だか分からない。
「ちょっと、何も覚えてないの?」
「んー。」
 アイの言葉に、マイは記憶をたどってみる。
 マイの脳裏に、戦闘機を飛ばす自分の視界が映る。
 自分の前方を、ユアとメドーラの機体が飛んでいる。
「そうだ、ふたりとも無事なの?」
 マイは、自分が巨大戦艦のエネルギー砲の射程から逃れるため、戦闘機を飛ばしてた事を思い出す。
 ふたりはこの部屋にいない。
「ねえ、メドーラは、ユアは、無事なんでしょ、だからここにいないんでしょ。」
 マイはアイにつめよる。
 だが、マイの聞きたい事とアイの聞きたい事は、かみあわない。
「マイ、思い出してほしいのは、その後よ。」
 アイはそう聞いてくるが、これに対して、マイは答えを持ち合わせていない。
「後って、後は僕がここに寝ていた事だけだよ。
 ねえ、ふたりはどうなったの?答えてよ!」
 マイは自分にある記憶を頼りに、アイの質問に答えるが、アイの聞きたい答えではない。

「んー、ふたりは北部戦線へ偵察中なんだけど、覚えてないのか。
 なら今回は特別、私が思い出させてあげるわ。えい。」
 アイは、巨大な人型機体を投影した辺りの記録映像を、マイの脳裏にダウンロードする。
「あ、あ、あ、」
 マイも、思い出してきた。そして思わず叫ぶ。
「やめてー!」
 マイは両手で頭を抱えて、うつむく。
 身体の震えが止まらない。
「大丈夫、マイ?」
 マイの豹変に、アイは慌てて声をかける。
「お、思い出した。声を聞いたんだ。」
「声?」
 マイは両手を頭から離し、うつむいたまま語りだす。

「そしたら、魂を吸われた。
 なんなの?あれって、悪魔の声だったの?」
 マイは顔をあげ、アイに問いかける。
「そうですか。マイも聞いてしまったのですね、あの声を。」
 アイは、何かを知ってるらしい。
「ねえ、教えてよ。あの声は何?」
 マイは震える声で問いかける。
 アイは首をふる。
「ごめんなさい。今は言えないわ。
 時が来たら話すから、今は聞かないで。」
 そう言うアイの瞳から、涙がこぼれる。
 この涙が、さっきマイの無事を喜んで流した涙の残りなのか、今新たに流れた涙なのか、マイには分からない。

「なら、時が来たら教えてね。」
 マイがそう言った直後、メディカルルームの扉が激しく開かれた。
 アイツウが走り込んできた。

「よかった、目が覚めたのですね、マイ。」
 息をきらせたアイツウは、マイのベッドに近づくと、倒れ込むように両手をベッドについた。

「お願い、メドーラとユアを助けて!
 すぐ北部戦線に来て!」
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