未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
93 / 215
異次元からの侵略者

第93話 再会?の侵略者?

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 人類が宇宙に飛び出して、争いを繰り返してたこの時代、脱出用ポッドの登場で、誰も死なない戦争が可能になった。
 だがその死なない戦士の条件として、魂の波長が合う事が必要だった。
 そんな魂の波長の合う人物が、過去の時代から召喚される。
 彼ら召喚者の登場により、戦争もいつしかゲーム感覚になっていた。
 だが、北部戦線に現れた謎の侵略者の襲撃は、そんな現状を打ち砕く。
 脱出用ポッドの発動には、コンマ数秒の時間が必要になる。
 だが、瞬時に殺される状況では、脱出用ポッドの発動は期待出来ない。
 さらにいえば、脱出用ポッドは超空間を移動するワープシステムとも言えるのだが、その超空間に細工をされたら、期待する効果は得られない。
 そんな危険な北部戦線。
 偵察に来たユアとメドーラは、そこで怪しい人物を発見する。
 ふたりはこの人物と話しをするため、今は半壊して放棄された衛星基地ソゴムへと、この謎の人物とともに、移動する。


 ソゴムは半壊してるとはいえ、基地としての機能は残っていた。
 ただ、戦場のど真ん中だったため、みんな逃げ出しただけだった。

 メドーラの機体が、ソゴムの中を進む。
 半壊したソゴムへの侵入は容易であった。
 問題は、人が生きられる空間があるかでる。
 つまり、空気があって、ある程度重力のある空間。

 ソゴムの外で見つけた謎の人物と話しをするため、そんな空間を探していた。
 メドーラのパートナーであるサポートAIのアイツウは、メドーラの機体からのレーダーなりからの情報と、元々のソゴムの内部地図とを照らし合わせる。
 アイツウは、格納庫から続く居住区域が、まだ無事らしいと分析する。

 メドーラの機体に誘導され、ユアの機体が続く。
 謎の人物を乗せた機体は、ふたりの機体の間を飛んでいる。
 三機の機体が、ある区画に停まる。

 ぷしゅー。

 その区画内の気圧が上がり、空気が確保される。
 謎の人物を乗せた立体映像の機体が消えると、謎の人物はスタッと床に着地する。
 メドーラとユアも、機体を降りる。
 メドーラはヘルメットを脱ぐ。
 そして、謎の人物に話しかける。

「はじめまして。私はメドーラです。こちらは、ユアお姉さまです。」
 紹介されたユアも、ヘルメットを脱ぐ。
 メドーラは続ける。
「あなたのお名前を、お聞かせください。
 私達は、戦場の調査に来ました。
 あなたはここで、何をなさってたのですか?」

 メドーラの問いかけに、謎の人物もヘルメットを脱ぐ。

 その素顔に、メドーラとユアは驚く。
 その素顔は、ケイそっくりだった。
 というより、ケイ本人にしか見えなかった。
 鉱物資源の密輸の調査中、行方不明になった、あのケイである。

「ケイ?本当にケイなの?」
 ケイの姿に、ユアは再会の喜びの感情がわきあがってくる。
 ケイとおぼしき人物は、ニコりと微笑む。
「ケイ、無事だったんだね。」
 ユアはケイに駆け寄ろうとするが、その動きをメドーラが制する。

「お待ちください、ユアお姉さま。」
 メドーラはユアの腕を掴む。
「ケイお姉さまであるはずが、ございません。
 あなたは誰ですか!
 なぜその姿で、私達の前に現れるのですか!」
 メドーラは、ケイとおぼしき人物をにらむ。

 ケイであるはずがない。
 ケイは千年前の時代に、かの神武七龍神のひとり、ブルードラゴンと一体化してしまった。
 そう、今の時代、ケイの姿はどこにもないのだ。
 その今はいないはずのケイの姿で、今メドーラの目の前に現れる。
 メドーラは怒りを覚える。

「待ってよ、メドーラ。
 あれはやっぱりケイだよ。」
 ユアは、惑星ドルフレアでのケイ捜索任務の顛末を知らない。
 ユアはその任務には、最初しか参加していない。
 千年前のケイからの伝言で、三つの封印のほこらを巡ったのだが、ユアはそのひとつ目のほこらの封印を解く前に、任務を離れた。
 ユアは、ほこらの封印を全部解けば、ケイは戻ってくると思ってた。
 しかし、実際には戻ってこなかった。

「ケイはきっと、自力で戻ってきたんだよ。
 そうでしょ、ケイ。おかえりなさい。」
 ケイに話しかけるユアの声も、最後は涙声になる。
 ユアの言葉に、ケイはにっこり微笑む。

「あの、どこか人をバカにした様な笑顔。
 確かにケイお姉さまのものですわ。」
 メドーラもユアにつられて、ケイではないかと思い始める。
「ケイお姉さまだとしたら、ブルードラゴンと分離したのですか?」
 これに納得いく答えが返ってくるのなら、目の前の人物を、メドーラもケイだと確信するだろう。
 だが、ケイはメドーラの言葉にも、にっこり微笑むだけだった。
「ケイお姉さま、答えてください!」
 メドーラは、何も話さないケイに、少しじれてくる。

「言語解析終了。翻訳機能作動。」
 ケイは小声でそうつぶやいた。
 この声は、メドーラもユアも、聞き取れない。
 ふたりのパートナーであるサポートAIのふたりも、感知出来なかった。

「ごめんね、メドーラ。なんて説明したらいいのか、考えがまとまらなかったんだよ。」
 ケイはやっと口を開く。
 その言葉に、メドーラは少し安堵する。
「本当に、ケイお姉さまなのですね。」
「メドーラ、私の顔を忘れちゃったの?
 なんか、色々心配させちゃって、ごめんね。」
 ケイは照れ笑いを浮かべる。
「いえ、私より、ユアお姉さまの方が心配してましてよ。」
 メドーラはユアに視線を向ける。

「ユアお姉さま?」
 メドーラがユアに視線を向けると、ユアは顔面蒼白だった。
「違う、こいつはケイじゃない。」
 ユアはぼそりとつぶやく。
「ユアお姉さま?なぜその様な事をおっしゃるのですか?」
 メドーラは、ユアがケイだと信じるから、その気になってきたの
 だ。
 それなのに、ユアは今度は否定する。
 どこか納得いかない気持ちと、やっぱりかという気持ちが交差する。

「ケイは、メドーラと会っていない。
 なんでメドーラを知ってるの?」
「ユアお姉さま、それはどういう意味です?」
 ユアの言葉に、メドーラも疑問を持つ。
「メドーラ、あなたはメドーラとしてケイと会った事があるの?」
 ユアのその言葉に、メドーラはハッとする。

 メドーラは、ゴンゴル三姉妹のメドーとしてしか、ケイと会っていない。
 メドーは幼女の姿だった。
 アバターを成長させてメドーラになった。
 だがこの時、ケイは星間パトロールの任務についていた。
 そのまま行方不明になったケイ。

 つまりケイは、メドーラを知らない!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~

たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。 だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。 世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。 「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...