未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
96 / 215
異次元からの侵略者

第96話 偽物との戦い

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 この時代の人類は、地球を離れ宇宙に進出していた。
 そして宇宙をまたにかけて争っていた。
 脱出用ポッドの出現により、誰も死なない戦争が可能になった事で、戦争もゲーム感覚になっていた。
 しかし、この脱出用ポッドを使えるのは魂の波長のあった人間のみだったので、魂の波長のあう人間が、過去の時代から召喚される事になる。
 こんなこの時代の常識も、覆りつつあった。
 宇宙は広い。
 未知の侵略者には、そんな常識も通用しない。
 その未知の侵略者を、北部戦線に調査にきたユアとメドーラ。
 ふたりはここで、過去の時代へと行方不明になったケイの姿をした、謎の人物に出会う。
 こいつはどうやら敵らしいのだが、ユアとメドーラは捕獲の機会を逸してしまう。
 敵とおぼしき人物は、ユアとメドーラの等身大立体映像を連れてきて、本物のふたりの行手を阻ませる。
 そして物語は泥沼化する。
 べ、別にこの先の物語を、思いついてない訳じゃ、ないんだからね。
 過労で構想をねる時間が、ないだけなんだからね。


 ケイの姿をした謎の人物は、その部屋をあとにした。
 残されたのは、立体映像のユアとメドーラと、本物のユアとメドーラだった。
 偽物のふたりは、ソウルブレイドの剣を展開すると、本物のふたりに襲いかかる
 偽物のふたりは元々、マイが退屈しのぎに作った立体映像である。
 その時立体映像のふたりに剣戟戦をさせたため、立体映像のソウルブレイドでも、剣への展開が可能だった。
 しかし、剣以外への展開は、出来ないぞ。

 本物のユアとメドーラも、ソウルブレイドの剣を展開させ、偽物の一撃を受ける。
 ちなみにこの時、メドーラは右手に光線銃を、左手に剣を持っている。
 ユアは右手に剣を持ち、もう一本のソウルブレイドはクダ状に戻し、左脚の太ももの定位置に収めている。

 偽物のふたりは、本物と同等のちからを持っていた。
 いや、作り手のマイの思いが込められている分、本物よりも強かった。

 ユアは偽物の動きを先読みするも、防ぐのが精一杯だった。
 反撃の糸口を見いだせない。
 ユアは自分と同等以上の相手と戦うのは、初めてだった。
 久しく忘れていた死への恐怖が、ユアの心の奥底からあふれてくる。
 しかしユアは、どこかそれが心地よかった。
 それがユアの感覚を冴え渡らせ、自分と同等以上の相手に、互角の戦闘を繰り広げていた。

 メドーラは苦戦する。
 偽物の剣戟を左手の剣で受けながら、右手の光線銃を撃つ機会をうかがう。
 だが、偽物の動きは、それを許さない。
 鋭い一撃が、メドーラの反撃を許さない。
 メドーラはいつしか、光線銃を剣に変え、二本の剣で応戦していた。
 これでとっさの反撃も出来るようになった。
 しかし、メドーラの劣勢は変わらない。

 自分の偽物と戦う時の必勝法は、ふたつある。
 ひとつは、偽物のちからを上回る事。
 そしてもうひとつが、偽物の知らない新技を繰り出す事。もしくは、相手を変える事。

「ねえ、相手を交換しない?」
 ユアは偽物の攻撃に耐えながら、メドーラに声かける。
「じょ、冗談言わないでください。」
 メドーラも偽物の攻撃を受けながら、ユアに応える。
「私がユアお姉さまのお相手を、務まる訳がございません。
 瞬殺されて終わりですわ。」
 メドーラのその言葉に、ユアはハッとする。

 ユアは偽物のメドーラを瞬殺して、それからふたりでユアの偽物を攻撃しようと思っていた。
 だがそれは、相手の偽物達にも出来る事!
 ユアの偽物は、突然メドーラに狙いを変える!
 ユアの偽物の鋭い一撃が、メドーラを襲う!
「くっ。」
 ユアはその攻撃に反応し、メドーラの前に移動してメドーラをかばう!
 しかし不意を突かれた攻撃だったため、ユアの踏ん張りが効かず、ユアはバランスを崩す。
 そこへ、メドーラの偽物が斬りつける!

 やられた!

 ユアは自分の死を覚悟する。
 バランスの崩れた今の状態で、メドーラの偽物の一撃に対応する事が出来なかった。
 だが本物のメドーラが、ユアに足払いをかます!
 バランスを崩しながらも踏ん張ろうとするユアの身体が、こける。
 偽物のメドーラの攻撃はスカされる。
 本物のメドーラは足払いした右足が、床に着く寸前で左脚で床を蹴って飛び上がり、そのまま左の後ろ回し蹴りをかます!
 まともに蹴りをくらった偽物のメドーラが吹っ飛ぶ!

 足払いをくらったユアは、死への覚悟を、瞬時に切り替える。
 ユアは足払いで身体が宙に浮いてる状態から、床に叩きつけられる間の一瞬に、全てをかける。
 足払いをくらった瞬間に、両膝を曲げて身体を丸める。
 この動きで勢いがつき、ユアは頭から床に落ちる体勢になる。
 右手をソウルブレイドの剣から離すと、頭の上に右手をもってくる。
 ソウルブレイドを握る左手に力をこめると、偽物のユアの動きが一瞬にぶる。
 だが、作用反作用の法則で、ユアの床に叩きつけられる動きが加速する。
 ユアの右手が床につくと、ユアは丸めた身体を瞬時に伸ばす!
 偽物のユアの胸元目がけて伸びたユアの足先が、クリーンヒット!
 偽物のユアは後方に吹っ飛ぶ。

 ユアは逆立ち状態から元に戻ると、メドーラに礼を言う。
「助かったよ、メドーラ。」
「いいえ、助けられたのは、私の方ですわ。」
 メドーラもユアにお礼を返す。

 吹っ飛んだ偽物のふたりが立ち上がる。
 偽物との戦いは、まだ続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~

たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。 だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。 世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。 「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...