未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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異次元からの侵略者

第137話 仲間が駆けつけるたびに、同じ説明を繰り返す

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 星をも破壊する、悪魔の超破壊兵器コアブレイカー。
 衛星基地ソゴムが破壊される前に、アイとユウとアイツウの三人は、パートナーの三人を救うべく、戦闘機を自動操縦で飛ばす。
 その途中、次元超越ビーコンの反応をキャッチする。
 その波長は、ケイのものに近かった。
 千年前に飛ばされたケイ。そのケイのビーコンが、なぜ今なのか。
 とは言え、ケイのものに近いと言うだけで、ケイのものではなかった。
 受信環境によっては、こういう捉え方も出来る。
 それくらいの違いがあった。
 アイは、そこにマイがいると直感し、すぐさま向かおうとした。
 しかし、ユウとアイツウは止める。
 それは、ビーコンの座標軸が、すぐ隣にある人工的に作られた次元空間だったからである。
 これは、どう見ても罠だろう。
 そう、マイ達三人から、サポートAI達三人を引き離すための罠。
 だけど、その次元空間から、マイのビーコンが発動する。
 アイに迷いはなかった。


 突如現れたマイ達三人の戦闘機。
 これでブルードラゴンを止められると、ケイネシアは言う。

「ブルードラゴン?
 おまえをぶっ倒せば、この戦争は終わるんじゃないの?」
 そう言ってユウは、ケイネシアをにらむ。
「ふ。」
 それを見てユアはほくそえむ。
「私も、同じ事を言った。」

「ああ、野蛮人のパートナーは、やはり野蛮人なんだな。」
 ケイネシアの言葉にユアは、パートナーをバカにされた怒りもあるが、どこか笑えてきてしまう。
「何?」
 ユウは殴りかかろうとするが、この場のユウ自身はフォログラフ。
 殴る事が出来ない。
「ユア、何してる。早くこいつをぶっ倒せ!」
 ユアはユウの言葉を無視して、ソウルブレイドのクダを回して見せる。
「ユア?」
 ユウは、ユアが何をしたいのか、分からない。

 召喚者とパートナーであるサポートAIは、召喚者が額にまくはちまきに仕組まれたチップを通じて、意思疎通が出来る。
 だけどこの空間では、そのつながりは遮断されている。

 ユアは回していたソウルブレイドのクダを、握りしめる。
「ユア、まさかおまえ。」
 クダ状のまま、武器に展開されないソウルブレイドを見て、ユウは気づく。
 ユアの精神力が、ソウルブレイドを展開出来ないくらい、疲弊している。

「くそ。マイを護れるのは、おまえしかいないってのに。」
 ユウは険しい表情で吐き捨てる。
「え、僕?」
「む。」
 突然自分の名前が出たので、マイは反応する。
 そしてマイお姉さまを護れるのは、ユアお姉さまだけなのだと、自分をハブられてメドーラはムッとする。

 ユウは今の発言を、少し後悔する。
 聞かれたくなかった、自分の気持ち。
「おまえが死ぬと、アイが泣くんだよ。」
 ユウはマイから視線をそらして、うつむき加減でつぶやく。
 ユウは、以前マイが死んだ時、アイが泣きじゃくるのを見てしまった。
「もう、あんなアイは、二度と見たくない。」

「あ、あの事は、忘れてください!」
 アイは顔を赤らめて叫ぶ。
 無様な泣き顔を、ユウに見られてしまった事を、思い出してしまった。
 それはアイの記憶の奥底に封印しておきたい事だった。
「アイが、泣く。」
 マイの頭の中で、それが意味する事が弾ける。

 みんな知っている?
 僕は脱出用システムを使えないって事を。

 とり乱し気味なアイとユウとは違い、ひとり冷静なアイツウ。
 そんなアイツウは、マイの考えている事を察する事が出来た。
「マイ。あなたの魂が、すでに限界を越えている事は、私もユウも、知っています。」
「そう、なんだ。」
 アイツウの言葉に、マイはどこか安堵する。
 自分が死んでいなくなっても、ユウが聞いてなかったぞって、アイを責める事はないのか。
 そんな事を、マイは思った。

「ですが、安心してください。
 あなたを護るのは、ユアともうひとり、メドーラもいるのですから。」
 アイツウは、マイに向かってにっこりほほえむ。
 だけどアイツウのこの発言には、メドーラは引っかかるものがあった。
「マイお姉さまを、あまりみくびらないでください。」
 と、メドーラは釘をさす。
「そんなつもりは、無いのですが。」
 アイツウはメドーラの発言の真意が分からず、そう弁明する。

 メドーラは、ユアと視線をあわせる。
 ユアはうなずく。
「マイお姉さまがいなかったら、私もユアお姉さまも、生きてはいませんでした。」
 メドーラのこの発言に、サポートAIの三人は、ちと驚く。
 実際、ユアとメドーラはケイネシアの前に、数話に渡ってぶっ倒れていた。
 だけどユウとアイツウが駆けつけた時、ふたりは復活していた。

 マイは、ユアとメドーラに比べたら、明らかに経験不足。
 ふたりの足手まといになりこそすれ、ふたりの助けになるとは思えない。
 これは、マイのパートナーであるアイも、同じ思いだった。
 マイがふたりに対して、劣等感を感じてないか。
 それが心配だった。
 まあ、この心配は、当たっているのだが。

「ユウ、マイが私を負かしてる事、忘れてないよな。」
「それはそうだが。」
 この作品の話数がひと桁の頃、ユウとマイは戦闘機で勝負している。
 そしてユアは負けた。
「だけど、白兵戦では、ユアの方が上だろう。」
 ユアはソウルブレイド戦に特化した召喚者だった。
 ユアの真価は、今回のような任務にある。
 と、ユウは思ってるのだが、ユアは、もう少し現実を見てほしかった。

「マイがいなかったら、私とメドーラは死んでたんだろ、ケイネシア。」
 ここでユアは、ケイネシアに話しをふる。

 ケイネシアは、召喚者達とサポートAI達とのやりとりを、暖かい気持ちで見ていた。
 ケイネシアの中には、サポートAIだったミイの記憶がある。
 自分もかつては、あの輪の中に居た。
 出来る事なら、もっと居たかった。ケイと一緒に。

 だけど今のケイネシアは、その召喚者とサポートAI達とは敵対する身である。
 本人にその気はなくても、もうひとりのケイネシアは違う。
「やっぱり殺してほしいのか?」
 ケイネシアは心にも無い事を言って、強がる。
 それは、サポートAI達を前にしての強がりだと、ユアもメドーラも気づいている。

「もう、そんな挑発には乗らないよ。」
 ユアは右手に持つソウルブレイドのクダをくるくる回し、右太ももの脇にソウルブレイドをしまう。

「そろそろ教えてくれないか。
 ブルードラゴンを止める方法を。」
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