未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
149 / 215
異次元からの侵略者

第149話 出来れば、知能が同じくらいの人と語りたい

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 宇宙の北の果て、北部戦線のさらに奥。
 超高次元空間にまで足を踏み入れた、マイとユアとメドーラの三人。
 三人は自分達の戦闘機を変形合体させ、オメガクロスを爆誕させる。
 そしてそんな三人の前に、ブルードラゴンが降臨する!
 ミズキと言う少女に化身して。
 ドラゴンの美少女化。
 これは避けられない時代の流れだろう。
 だが待ってほしい。
 みんなが読みたいものではなく、私が書きたいものを書くのがこの作品だと、常々言ってきた。
 なのに、時代にマッチしたものを書くとは、私もブレてしまったのだろうか。
 いや、そんな事は、絶対ない。
 つまり、時代が私に追いついたとも言えよう。
 あ、ブルードラゴンミズキの声は、ケイを幼くした感じで、ケイと同じ声優さんになります。


「あなた何者?」
 ブルードラゴンの化身と言うミズキに、改めて問いかける。
 ブルードラゴンは、北部戦線で怒りに任せて暴れている。
 だったら、今目の前にいるミズキは、何者なのだろうか?

「ふ、何度も言わせるな。
 我は神武七龍神がひと柱、ブルードラゴンなるぞ。」
 ミズキはニヤけながら、マイの問いに答える。
 マイが困惑する理由も、分かってるからだ。
 そんな立場から、分かっていない者を見るのは、なんだか気分がよかった。
 これは、ブルードラゴンがケイと言う人間を取り込んだため、神武七龍神であるブルードラゴンにも、人間くさい感情が芽生えたと言う事である。

「じゃあ、北部戦線のブルードラゴンは、なんなのよ。」
 ニヤけるミズキに対して、マイは少々イラつく。
 そう、こんなとるに足りない事を勿体つけて、さらにこバカにしてニヤけられたら、誰しもムカつく。
 それが人間であり、マイもまた、ひとりの人間である。

「ふふふ、さあな。」
 ミズキは、こんな事も分からないのって感じで、さらに勿体つける。
「まさか、別人?」
 ここで震えながらも、メドーラが口をはさむ。
「あ?」
 ニヤけたミズキの口調も、一気にひきしまる。
「ひ。」
 さらに怯えるメドーラ。
 そんなメドーラを見て、ミズキの感情も落ち着いてくる。

「ふ、魂の姿を偽る者よ。
 いい線をつきよる。
 だが、我は別人というわけではないぞ。」
 ミズキはメドーラの察しの良さに、悦に至る。
 頭の悪いヤツと話すより、健全な話し合いが出来る。
「なるほど。」
 メドーラも、ミズキの今の言葉で全てを理解する。
 北部戦線のブルードラゴンと、この超高次元空間の目の前にいるミズキとの関係性を。
「ど、どう言う事?」
 だけどマイには、理解出来ない。
 隣りのユアは、なんとなくだが、理解した。

「魂の姿を偽る者よ。
 我に代わって説明いたせ。」
 ミズキは腕を組むと、満足げな表情で瞳を閉じる。
 今のメドーラなら、ミズキの意見をそのまま代弁出来る。
 ミズキも、この内容の話しを、これ以上したくはなかった。
 そしてメドーラは理解する。
 ミズキの意見と異なる事を言ったら、ブルードラゴンの逆鱗に触れる。
 それはつまり、自分が消されるかもしれないと言う事を。

「マイお姉さま。」
 メドーラは、慎重に言葉を選ぶ。
「マイお姉さまは先程、私がプリンを食べてしまった事を、怒ってないとおっしゃいましたね。」
「うん、そうだけど。」
 マイは、なぜメドーラがこの話しを突然持ち出すのか、分からない。
「でもあの時、マイお姉さまは凄く怒りました。」
「あー、ごめんね。僕もそんなに怒る気はなかったんだけど、ついカッとなって。」
 マイは過去の自分の行為を、平謝り。
 そんなマイの謝罪を受け流し、メドーラは話しを続ける。

「つまり、怒ってるマイお姉さまと、許してるマイお姉さまの、ふたりが同時に存在すると言う事です。」
「え、そうなの?」
「はあ。」
 マイの理解度の低さに、メドーラは小さくため息をつく。
 そんなメドーラを見て、ミズキはほくそえむ。
「ふ、そやつに物事を理解させるには、苦労するじゃろうて。
 さて、ここからどう理解させるのか、みものじゃの。」

「つまり、表層心理のマイと、深層心理のマイは、別人って事だよ。」
 見かねたユアが、横から口をだす。
「そう、表層心理のブルードラゴンと、深層心理のミズキ。
 北部戦線で暴れるブルードラゴンと、今目の前にいるミズキは、別人格と言う事です。」
 ユアの言葉を、メドーラが補足する。
 そしてミズキは、ちょっとムッとする。
 メドーラに説明させたかったのに、ユアが割り込んできたから。
 だけどユアもちゃんと理解してるようなので、そんなムカつきも、すぐにおさまった。

「え、じゃあ、今目の前のミズキを説得しても、北部戦線のブルードラゴンは止まらないって事?」
「それは。」
 マイの理解に、メドーラも言葉がつまる。
 マイの言う通りだが、止める手段なら、ちゃんとある。
 だけどそれを今、言葉にするべきかと、メドーラは迷う。

「確かに、この次元の我が呼びかけても、低次元の我には届かないな。」
 マイも理解した様なので、言い淀むメドーラの代わりにミズキが口を出す。
 メドーラが言えずにいる止める手段というのを、ミズキも理解している。
 そして、それを言えない理由も、分かりきっている。

「そんな。
 じゃあ、僕達は何しにここにきたの。」
 マイの表情に、絶望の色が浮かぶ。
「ま、あの次元の我が居なくなるだけで、我自身が消えて無くなるわけではないからな。」
 マイの絶望に対し、ミズキは答える。
「え?」
 ミズキの答えは、マイの疑問に対する答えには、なっていない。
 そんなマイには構わず、ミズキは続ける。
「色々鈍いヤツめ。
 力尽きて死ぬのは、あの次元のブルードラゴン。
 我もあの次元には行けなくなるが、なんの問題もあるまい。」

「あるよ、問題、あるよ。」
 マイは言葉が詰まりそうになりながらも、何とか言葉を絞り出す。
「僕は、あなたを止めに来たんだ。
 ナツキにも、頼まれたんだ。」
「ナツキ?」
 その単語に、ミズキの表情が止まる。
 ナツキとは、グリーンドラゴンが少女に化身した姿である。

「そうか、おまえはグリーンドラゴンの加護を受けてたのか。
 どうりで我の威光が効かぬ訳だ。」
 ミズキは自分の周囲の青い光を取り入れ、その姿を変えながら巨大化する。

「マイお姉さま、ブルードラゴンを止める方法ならあります!」
 ミズキの変化に驚くマイに、メドーラが声をかける。
「この超高次元空間のブルードラゴンに大きなダメージを与えれば、北部戦線のブルードラゴンにも、影響はあります。」

 今目の前のブルードラゴンを殺せば、北部戦線のブルードラゴンも死ぬ。
 その事をメドーラは、言いたかった。
 だけど直接的な言い方は、ブルードラゴンの逆鱗に触れそうなので、出来なかった。

「それに、ケイお姉さまの言葉も思い出してください。」
 メドーラの言葉で、マイはケイの言葉を思い出す。
「ブルードラゴンを止めるには、倒すしかない。」

 マイがつぶやくと同時に、ミズキはブルードラゴンとしての変形を終える。
 少女だったミズキは、マイ達のオメガクロスと同じ大きさへと巨大化した。
 そして青を基調にした、メカメカしい人型のロボット調にデザインを変更。
 そのロボット調の頭部は、ドラゴンだった。

 ブルードラゴンは、龍神騎としての姿を顕現させた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~

たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。 だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。 世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。 「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...