未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

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異次元からの侵略者

第154話 いやいや、もっと早くパワーアップしなさいよ

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 超高次元空間にその姿を、ついに顕現させた神武七龍神のひとり、ブルードラゴン。
 マイとユアとメドーラの三人は、ブルードラゴンを倒すためのケイの言葉を思い出す。
 弱点は、ここ。
 だけどそこを攻めるための武器が無かった。
 無ければ作ればいい。
 マイはビームサーベルの設計図のイメージを作り出す。
 その間のオメガクロスの操縦を、ユアとメドーラに託す。
 ユアはすぐにオメガクロスを自在に操る事が出来た。
 しかし、メドーラには難しかった。
 これは、ふたりの召喚の違いとイコールだった。
 ユアは、マイと同じチームとして召喚された。
 これは最終的にマイとの合身を想定している。
 だから合身状態での意思疎通もスムーズにでき、思考コントロールの操縦にも対応出来た。
 だけどメドーラは違う。
 元はマイとは違うレドリア合衆国に召喚され、マイに連れられてブルレア連邦に亡命したに過ぎない。
 つまりメドーラは、合身システムにはイレギュラーな存在だった。
 そんなメドーラには、大雑把な操縦しか出来なかった。


「ありがとう、メドーラ。後は僕に任せて。」
「はい。」
 メドーラは返事をすると、マイから顔を背けてうつむく。
 自分がユアやマイのように、オメガクロスを操縦出来なかった事がショックだった。
 この感情はマイとユアにも伝わるが、ふたりはあえてふれなかった。

 オメガクロスは、ブルードラゴンの足元に着地する。
「ぐがああ!」
 ブルードラゴンは右手の鋭い爪を、オメガクロスめがけて振り下ろす。
 オメガクロスは上空へジャンプして、その攻撃をかわす。
 そして左腰に装着されたソウルブレイドのクダを手にする。

「はあ!」
 マイが気合いを込めると、刀身が姿を現す。
 ここに、ビームサーベルが完成する。
 オメガクロスはそのまま、ブルードラゴンの左胸へと斬りかかる!


 ありがとう、マイちゃん。


 ふと、マイの頭にケイの姿が浮かぶ。
「え?」
 マイはその事に驚き、そして攻撃の最中、その意味を理解する!
「まさか!」

 どごっ。
 オメガクロスは、ブルードラゴンの左胸に激しくぶつかる。
 両膝と左手をブルードラゴンの左胸に張りつかせ、右手に握ったビームサーベルはソウルブレイドのクダに戻っていた。

 すぐさまブルードラゴンは右手でオメガクロスを握りしめると、そのまま地面へと叩きつける!

 ブルードラゴンのはるか前方へとリバウンドするオメガクロスの機体。
「な、何してるのですか、マイお姉さま。」
 メドーラは攻撃をやめたマイを攻める。
 ブルードラゴンは四つん這いでオメガクロスに近づく。
 手足を動かす時は、下を見つめ、動き終わったら、前方のオメガクロスを見つめる。

「ね、ねえ、もしかして」
 マイの言葉が震える。
「あそこにケイが居るんじゃ」
「ええ、そうですわ!」
 マイが言い終わる前に、メドーラが言い返す。
「でもそれって、ケイを殺すって事」
 マイの言葉に、ユアはうつむく。
 ユアも、マイと同様つらい気持ちだ。
 だけど、メドーラは違った。
「だから、ケイお姉さまが与えてくれた、折角のチャンス。
 なんでやらなかったのですか!」
 メドーラはマイを責める。

「だ、だって、ケイを殺すなんて、そんな事出来」
「マイお姉さま!」
 マイが言い終わる前に、メドーラはどなる。
「ケイお姉さまはすでに死んでいます。
 何甘ったれた事を言ってるのですか!」
「違う!」
 マイは涙を溜めたその瞳を、メドーラに向ける。
「ケイは、あそこに居る。死んでなんか、いない!」

「マイお姉さまには、ケイお姉さまの意思が、分からないのですか!」
 メドーラはマイの涙を溜めた瞳を、正面から受け止める。
「出来る訳ないでしょ!」
 マイもメドーラに怒鳴り返す。
「マイ、メドーラの言う通りだ。」
 ユアのその言葉に、マイはユアの方を振り向く。
 そしてにらむのだが、ユアの瞳にも涙が見え、何も言い返せなかった。

「マイお姉さま、やるしかないのです!
 ケイお姉さまの意思を、無駄にしないでください!」
「でも、でも。」
 うつむくマイの瞳から、涙がこぼれだす。

 オメガクロスめがけて前進していたブルードラゴンは、龍神騎の時に使っていた槍を見つける。
 その槍を右手でつまみ上げると、そのまま右手の爪で弾き飛ばす!

 ドゾっ!
 槍はオメガクロスの左胸を貫いた。

「え?」
 マイが左を向くと、そこにユアの姿は無かった。
「ユアーーー!!!」
 マイは慟哭の悲鳴を上げる!
「マイお姉さま!あなたがまごまごしてるから!」
 メドーラの怒りも爆発!
「ユアお姉さまを殺したのは、あなたです!」
 メドーラのその言葉が、更にマイを追い詰める!

「あああーーー、」
 慟哭のマイは、いつしか蒼白い光に包まれる。
「何これ?」
 驚くメドーラを尻目に、その蒼白い光はオメガクロス全体を包み込む。
「ーーーー!」
 マイの声にならない叫びに、蒼白い光はその濃さを増す。

 そして傷ついたオメガクロスの機体が治っていく。
 その過程で、ユアの身体も蘇る。
 しかしそのユアの身体に、メドーラは違和感を覚える。
 そう、このユアの身体は、アバター体にすぎない。
 魂は召喚されていない。
 魂のない抜け殻だ。

 叫び終えたマイは、キリッと眼を見開く。
 その瞳は、蒼白く光っていた。
 そして、右手を天にかかげて叫ぶ。
「来い、王狼機!」
 と同時に、超高次元空間に稲妻が走る!
 その稲光が消えると、オメガクロスの後ろの空間に、巨大な人型機体を模したワイヤーフレームが浮かぶ。

 そしてもう一度稲光が光ると、ワイヤーフレームの機体は実体化する。
 その人型機体の胴体の装甲が開く。
 オメガクロスは後ろ向きのまま、その人型機体の胴体へとジャンプする。
 オメガクロスが中に入ると、その装甲が閉じられる。
 そして、この機体とオメガクロスとがつながっていく。

「時代を越え、交わりし魂の叫びが大宇宙に響く時、
 時空を超え、次元を超越し、狼機の王が降臨する!」

 人型機体は、合身過程を終える。
「バイワンラァン!」
 マイがこの人型機体の名を高らかに叫ぶ。
 ビームサーベルは剣と化し、バイワンラァンはその剣握ると、ポーズを決める!
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