触手無双 エッチなスキルとはもう言わせない

イッシー

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第一章 出会い

一本目『しょくしゅぱわー』

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主人公sideまたの名をコウイチside

 同情心により、オレはオジサンことガルマーダが、自身の住処に案内してくれて、自分がどこにいたのか、教えてくれた。

 先ほど、クマがいたこの森は【はじまりの森】と呼ばれており、とんでもない場所らしい。

 なんせ、よくあるRPGの初期の冒険に出てくる森ではなく、ラストダンジョン前の周辺。要するに裏ボスが出そうなSランクしか来ない最強の森だとか。

 ……あのクマの一撃で死ななかったのはある意味奇跡らしい。どうもテレジアさんがかけてくれた【母なる守護】という魔法のおかげで即死級の攻撃を防いでくれたと、ガルマーダが語った。

 よくもまぁ、頭から血が流れるだけで済んだもんだ。これ、普通なら上半身が消しとんでいたらしいよ。

 かつてSランクのギルド組員――通称『ギルダー』――らしく、伝説のギルダーのガルマーダだからこそ、あのクマを倒せた。

 そんな独身のオジサンがなぜここで木こりをしているのかと言うと、貴族やら王族の干渉。

 しまいには、質の悪いハニートラップまで仕掛けてきて、世俗に嫌気をさしたらしい。

 トラップの詳細を言うと幼馴染みの初恋の少女が金で雇われて、誘惑されたらしい。

 そりゃ、女性不信になるわな。

「そのおかげで新たな道を開拓できたんだぜ」
「何の道?」
「男を掘る道だ」
「とんでもねー道を悟りやがった!」
「俺の目覚めたハートは止まらねーぜい」
「目覚める前に止まればよかったのに」
「ちなみにお前さんを拾ったのは将来、イイオトコになりそうだからだ」
「将来イケメンになりたくなくなった」

 とか、話していたけどジョークではなく、ガチの貞操の危機です。なんかいろいろ強くならないとヤバス。

 という会話をしてから【はじまりの森】を抜けた。

 その翌日、ガルマーダの住処であるログハウスにて、オレはいろいろ強くなることを決意した。

 このままでは、オレは何もできない無力だ。今世のオレが弱かったばかりで、母に守られてばかりだった。そんな後悔だらけの人生なんて嫌だ。

 だからこそ、伝説クラスのガルマーダに戦い方を教えてもらうことを頼み込んだ。

 最初はやんわり断られ、孤児院に入れられそうになったが、自分の今の立場と状況を説明したら、あっさり受け入れてくれた。

 理由を聞くと……。

 「その選民意識のバカにムカついたから」

 因縁のないあっさりとした理由でした。まあ、ムカつく一家だしね。今のオレのマミーの仇だし。

 それから、ガルマーダに鍛えられながらここがどこなのか、教えてくれた。

 まあ、そんなことがあってか。今世の名前を忘れたオレは、自ら『ワインレット』と名乗り上げ、ガルマーダに鍛えられることとなった。




 この世界はレベルという概念がある。経験値を積み上げることで、レベルアップしていくらしい。

 1~10までが一般人クラス。村人町民は大体最高が10までらしい。
 11~15までがビギナークラス。ギルド組員初心者だ。
 16~20までがベテランクラス。ギルド組員ベテランクラスだ。
 21~30で、ギルド組員では名のあるプロと呼ばれる。

 レベルによってその者の実力がわかるらしい。

 また、ステータスはS~Gで設定されている。


《以下一般的な平均ステータス》

――――

【一般人】レベル10

筋力:F
耐久力:F
速力:F
魔力:G
技能:E
知能:E

【筋力】
攻撃力。装備によってステータス変化

【耐久力】
防御力。装備によってステータス変化。レベルが上がるごとに変化。

【速力】
スピード。装備の有無によってステータス変化。レベルが上がるごとに変化。

【魔力】
魔法を使うためのエネルギーの保有量。レベルが上がるごとに変化。

【知能】
かしこさ。魔法の習得率や唱える早さが変化する。レベルが上がるごとに変化。

【技能】
手先の器用さ。高ければ高いほど、技術的なものが身に付きやすい。レベルが上がるごとに変化。

――――

 と、まあこんな感じに表示される。最初に聞いたときにはどこのRPGだと思ったことか。

 なお、ステータスの変化は経験値――――つまり、戦闘などのレベルアップか、技量を磨きあげることで加算されて上昇されるとか。ちなみにDランクで平均クラスらしい。

 そんなオレの魔力は【Dランク】。初級上、中級ギリギリの魔法が使え、一般人からすれば優秀らしいが、貴族が求めるのは【Cランク】で保有する属性が最低三つだ。

 その結果、オレはあの家では落第者扱いだったというわけだ。

 ならば、と考えたガルマーダはオレに剣とか槍の使い方を教えてくれた。

 日々、素振りと案山子の打ち込みを毎日繰り返した。そして、驚くべきことが判明したのだ!



「オマエ、才能ねぇな」
「マジっすか」
「なんつーか……今まで見てきた中で普通の中の普通だし、それほど強いってわけでもないし」

 それを聞いたとき、我輩は絶望した。

 だって、剣と魔法のファンタジーだぜ? その二つも使えないってどんな主人公だよ。悲しすぎて、涙が出てきた。

「安心しろ。オマエにそんなもんなくても、なんとか生きていけるだろ」
「じゃあ、Cランクくらいの盗賊が襲ってきたら?」
「そのときは斬られたフリでやり過ごせ」
「オイ」
「しゃーねじゃん。オマエ、才能ないし。才能ないし」

 二回も言われた挙句、ガハハと笑われた。そのことが悔しくて悔しくて、オレは何か才能が眠っていないか試行錯誤しながら、鍛錬を続けた。

 剣の技能や槍の技能、または斧の技能とか鍛えられてもどうもパッとしなく、一流にはなれないとガルマーダに笑われてから、ずっと魔法か剣の使い方を試行錯誤した。

 雨の日も、風の日も、晴れの日も。面倒くさがりなオレは、ガルマーダに言われたことを見返すために頑張った。

 けれど、ガルマーダに成果を見てもらうために、呼び出していくうちに、彼がなんとも言えない顔になる度に気づいた。

 あぁ。これは魔法や武器で達人にはなれないと。

 どんなにがんばっても、届かないんだって気づいた。そんな悲しすぎるでござる事実を改めて悲観したオレが、四つん這いになった。

 そのときだった。

 何やら身体に力が湧いたような感じがした。

 それこそが【スキル】の発現だった。【スキル】とは魔法とは違うエーテルを使う能力だ。基本的に、一人につき一つの超能力みたいなもので、先天的だったり、後天的だったり、発現する条件が不明でランダムだ。

 その後天的に発現したオレは有頂天になり、ガルマーダに自慢するために、模擬戦に使う広場に呼んだ。

「スキル、ねぇ……。まあ、ある意味レアと言えばレアだが。ホントに何を得たのかわかんないぞ?」
「それでもオレはこの能力にかける! カモン、我がスキルよ!」

 フォオオと謎の掛け声を出しながら、スキルを使った!



 さてここで話を変えるが『触手』とは何かと皆さんは知ってるだろうか。

 まず想像するとしたら、ウネウネ動くタコやらミミズみたいなもの。そこには魔法少女が、辱しめられるという光景を想像する者が大多数ではなかろうか。

 ……認めよう。触手とはだいたいエッチなものが多い。

 なんでこんなこと言うのかと言うと……。



「…………それがオマエのスキルってか?」
「あぁ、見ろ。これが我がスキィィィルを!」
「……………」

 ガルマーダ沈黙。オレの背中から、ウネウネと透明な触手が揺れている。

 改めて、ガルマーダにウネウネするモノを見せつける。

「触手だぜ」
「どっから出したそんなイヤラシイもの」
「背中」
「見りゃわかる」

 なぜに呆られ、その後笑われた。謎だ。発現した【スキル】が触手だと知るや否や、笑われるとは、いと遺憾なり。

 ガルマーダは一頻り笑った後、武器の技能について語ってくれたように発現したスキルについて説明してくれた。

「【触手】ってスキルはな。使いようがないただのエロスキルだよ」
「……マジッスか」

 触手さんはエーテルで構成された腕らしく、使いどころは荷物持ちやら夜の営みしかないようだ。

 愕然としたオレにガルマーダは爆笑して……。

「強くなりたきゃ、これまで以上に鍛練することったな」

 まあ、無理そうだが、と余計な一言と木刀を残して家に戻りやがった。

 悔しい。悔しすぎる。【触手】とは本当に使えないものだろうか。

 そう考えたオレは日夜、触手を鍛え、鍛えに鍛えた。木刀ではなく、触手さんをだ。

 雨の日も、風の日も、ガルマーダが男の人を誘拐してきても、男の人がナニカに目覚めたときも。

 ある日、触手さんの秘密を知った。いや、知ってしまった。

 そのことを証明するためにガルマーダに模擬戦を挑んだ。

「って、それを使うのかよ。しかも武器なしとかナメてるのか」
「拳も立派な武器だろ。あと触手も」
「いやお前のステータス、筋力が《G》だろ」
 
――――
【ワインレット】レベル15

ステータス:

筋力:G
耐久力:D
速力:F
魔力値:D
知能:F
技能:D

スキル:

【触手】

――――

 魔法家系だったので普通とは優秀なくらいの我がステータス。でも、魔法使いからしたら普通らしいし、また筋力がGなのは子どもだからという理由である。

 耐久力が上がっているのは、戦士の平均くらいあるのは一度、Sクラスの攻撃を受けたから加算されたしい。このようにステータスは上げていけるらしいが、ぶっちゃけ、もう何度も受けたくない。

 この耐久力のおかげでガルマーダの攻撃も何度か耐えられたけど、何度も受けたらさすがに死ぬよ。

 だけど、まぁ……クマよ、マジ感謝。今日までガルマーダの模擬戦で立てられるのは、お前のおかげだ。

 もう二度と受けたくないけど。

「ボコボコにしてやるからかかってこい」
「オヤジ殿が息子に容赦ない」
「教育だ教育。二度とそんなこと考えられないくらいに適度にしてやる」

 ガルマーダの適度は半殺しだと体験してますが。

「いくぞー」
「おーおー。とっとと来やがれ」

 触手が伸びる。

 それがガルマーダへ向かっていく――――










――――マッハの速度で。

「あびばぁ!?」

 ジュドンッ!!

 ガルマーダはボールとなった。これで君も触手の友達ボールさ。

 さて、これほどまでに触手が強いのかと言うと触手を筋肉がある太い腕にしたからである。

 本来ならば、魔力の塊である触手ではガルマーダのような巨漢をここまで吹き飛ばせる力がない。ではそれを解決させたのは何かと答えをあげると、それこそが『筋肉』である。

 筋肉は、動物の持つ組織のひとつであり、それが収縮することにより力を発生させる。

 筋肉が収縮することにより発生する力を筋力と呼び、これは収縮する筋肉の断面積に比例する。つまり筋力は、筋肉の太さに比例している。

 あの筋肉で太い腕だからこそ、魔力の塊であんな馬鹿力が発生したのだ。

 もっとも、単に腕が太いだけでなく、細かい筋肉繊維を積めていった究極の触手筋肉であるが。

 触手のマッスルはまさに理想の筋肉なのであーる!

「い、いつつつ……マジかよ。Sランクの俺が吹き飛ばされるなんて」
「それで無傷とかどうかしてる」
「伊達に鍛えてねぇよ」
「樹木を粉砕した一撃をかよ」

 さすがはSランク。その名は伊達じゃないってか。

「つーか、めちゃくちゃ震えてるじゃねーか。今ので魔力を使いきったのか?」
「筋肉をイメージして構成するだけでほとんどもってかれた。今、普通に一撃を受けたらマジで無理」
「そんなにフラフラしていたらなぁ……。とにかく今日は休め。俺に一撃を与えた褒美だ」

 どうやらお仕置きは無しになったようだ。

「またやろうな!」
「だが断る」

 もうやりたくないでごわす。

 見ろよガルマーダの目。獲物を狩る獣の目みたいだぜ。
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